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産業用ロボットと精密モーション機器のイメージ

EARNINGS REVIEW

安川電機

2027年2月期 第1四半期 決算レビュー

証券コード 6506(東証プライム)/ 対象 2026年3月〜5月(第1四半期)/ 開示 2026年7月10日

半導体・データセンタ向けの需要を追い風に増収スタートを切りました。売上収益は1,389億円と前年同期を10.6%上回りました。 一方で利益は減少。基幹システムの移行にともなう生産への影響や、間接費の増加、欧州の事業構造改革費用が重なり、営業利益は前年同期比19.2%減となっています。 会社は通期の増収増益計画(営業利益+26.8%)を据え置いており、下期での挽回を見込む立ち上がりです。

売上収益

1,389億円
+10.6%前年 1,256億円

営業利益

84.9億円
−19.2%前年 105億円

税引前利益

85.1億円
−13.6%前年 98.5億円

純利益

54.5億円
−21.7%前年 69.5億円

※ 親会社の所有者に帰属する四半期利益。基本的1株当たり四半期利益 21.00円(前年 26.81円)。金額は決算短信の百万円値を億円に四捨五入して表示。

IFRS基準の「利益の呼び方」を押さえておく
同社は国際会計基準(IFRS)を採用しており、日本基準の「経常利益」は使いません。売上に相当する売上収益から売上原価・販管費などを引いたものが営業利益(本業のもうけ)。そこに金融収益・費用や持分法損益を加減したのが税引前利益、税金を引いて残るのが四半期利益で、そのうち親会社の所有者に帰属する分が実質的な純利益にあたります。なお四半期包括利益は、純利益に為替換算差額などの含み損益を加えた総合的な利益で、今期は円安の影響などで106億円(前年比+229.2%)と大きく増えています。
今期の減益をどう読むか(一時的な要因)
売上は伸びたのに利益が減ったのは、主に3つの要因です。①経営基盤強化を目的とした基幹システムの移行にともなう生産稼働への一時的な影響、②間接費の増加、③欧州における事業構造改革費用の計上。いずれも将来に向けた投資・体質改善の側面が強く、需要そのものは半導体・データセンタを軸に好調です。会社は通期では営業利益+26.8%の増益計画を維持しています。

01 ── PERFORMANCE

増収だが、3段階の利益は減少

売上収益は半導体・データセンタ関連の需要拡大を背景に二桁増となりました。一方で、営業利益・税引前利益・純利益はいずれも前年を下回っています。増収と減益が同居する立ち上がりで、利益の押し下げは主に基幹システム移行・間接費・欧州構造改革費用という、一時的あるいは先行投資的な要因によるものです。

主要利益の前年同期比較

単位:億円 / 前年同期(2025年3月〜5月)と当期(2026年3月〜5月)の第1四半期

120億 80億 40億 0 105 98.5 69.5 −19.2% 84.9億 −13.6% 85.1億 −21.7% 54.5億 営業利益 税引前利益 純利益
前年同期 当期
純利益は親会社の所有者に帰属する四半期利益。売上収益は前年1,256億円→当期1,389億円(+10.6%)。

02 ── DRIVERS

半導体・データセンタが需要を牽引

好調だったのは半導体およびデータセンタ関連の設備投資です。AI関連投資に引っ張られ、この領域の需要が全体の増収を支えました。売上を主力のモーションコントロールが押し上げた一方、営業利益は基幹システム移行の生産影響、間接費の増加、欧州の事業構造改革費用が重しとなり減少しました。地域別では、日本・米州・中国・アジアで半導体やデータセンタ、自動化の需要が好調。欧州は自動車が引き続き低調ながら、製造業全般の需要は底入れの兆しが見えます。為替は前年より円安に振れ、米ドル平均は146円台から158円台へと利益・包括利益を下支えしました。

利益を押し下げた3つの要因

需要は強いのに営業利益が減ったのは、基幹システムの移行にともなう生産稼働への一時的な影響間接費の増加、そして欧州における事業構造改革費用の計上によるものです。特にロボットと欧州事業に影響が集中しました。いずれも将来の効率改善に向けた先行的なコストという位置づけです。

03 ── SEGMENTS

モーションコントロールが一人勝ち

事業は「モーションコントロール」「ロボット」「システムエンジニアリング」「その他」の4区分。半導体・データセンタ需要を直接取り込むモーションコントロールが大幅な増収増益となる一方、ロボットは売上ほぼ横ばいながら欧州構造改革費用などで営業利益が8割超の減少。明暗が分かれました。

セグメント別の売上構成

当期 売上収益 1,389億円の内訳(セグメント間取引消去前)

モーションコントロール 49% ロボット 41%
モーションコントロール 676億(49%) ロボット 567億(41%) システムエンジニアリング 98億(7%) その他 48億(3%)
セグメント売上収益前年比営業損益前年比
モーションコントロール676億+21.5%75.6億+50.1%
ロボット567億+2.0%8.9億−82.3%
システムエンジニアリング98億+5.9%19.2億+86.9%
その他48億−5.5%1.9億−49.4%
営業損益は各セグメントの数値。全社費用等の調整(約−21億円)を加減した後の連結営業利益は84.9億円。モーションコントロールはACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成。

モーションコントロールが増収増益を牽引

売上676億円(+21.5%)・営業損益75.6億円(+50.1%)と、全事業で唯一のはっきりした増益。半導体・電子部品・工作機械向けのACサーボが全地域で伸び、インバータもデータセンタの空調・冷却用途や半導体製造の真空ポンプ向けで拡大しました。連結の利益を実質的に一手に支える柱です。

04 ── OUTLOOK

通期は増収増益計画を据え置き

通期(〜2027年2月)予想は前回から変更なし。売上収益5,800億円(前期比+7.0%)、営業利益600億円(同+26.8%)、純利益470億円(同+33.4%)と、通期では大幅な増益を計画しています。第1四半期は減益スタートのため、進捗率は暦の目安である25%を下回っており、利益の回復は下期に傾く前提です。

通期予想に対する第1四半期の進捗率

点線 = 3か月経過=1年の4分の1(25%)の目安ライン

25% 売上収益 24.0% 営業利益 14.1% 税引前利益 13.1% 純利益 11.6%
通期予想:売上収益5,800億円(+7.0%)/営業利益600億円(+26.8%)/税引前利益650億円(+31.1%)/純利益470億円(+33.4%)。1株当たり当期利益 181.21円。

進捗の低さは減益スタートの裏返し ── 下期に配分

利益の進捗が25%の目安を大きく下回るのは、第1四半期に一時的なコストが集中したためです。会社は通期で増益を見込んでおり、基幹システム移行の影響が一巡すること、下期に売上と利益が積み上がることを前提にしています。計画達成には下期の挽回が必要で、半導体・データセンタ需要の持続と欧州事業の立て直しが鍵になります。

05 ── BALANCE SHEET

財務は安定、配当は増配予想

資産合計は前期末から122億円増えて8,246億円。半導体・データセンタ関連の生産に向けた有形固定資産・無形資産の積み増しが主因です。自己資本にあたる親会社所有者帰属持分比率は58.8%と、前期末(59.5%)からわずかに低下したものの、なお安定した水準を保っています。年間配当は前期の68円から72円へ引き上げる予想で、株主還元は着実に強化されています。

親会社所有者帰属持分比率 58.8%

総資産に占める、返済不要の自己資本の割合。60%前後は財務的に安定した水準です。資本合計は4,950億円(前期末比+14億円)。利益剰余金は減少したものの、その他の資本の構成要素が増加しました。

年間配当 72円(前期比+4円)

中間36円+期末36円(予想)で、前期の年間68円から増配の見通し。前回予想からの修正はありません。減益スタートながら、通期の増益計画と安定した財務を背景に、還元姿勢は維持されています。

06 ── SUMMARY

評価と、見ておくべき論点

評価できる点

  • 半導体・データセンタ需要を取り込み売上は二桁増(+10.6%)。
  • モーションコントロールが増収増益(営業+50.1%)で利益を下支え。
  • 減益の主因は基幹システム移行・構造改革費用など先行的コスト
  • 財務は安定(自己資本比率58.8%)、年間72円へ増配予想

留意すべき点

  • 3段階の利益がすべて減益スタート。進捗は25%目安を下回る。
  • ロボットの営業利益が8割超減。欧州の立て直しが課題。
  • 通期増益計画は下期の挽回が前提。需要持続と円安動向に依存。

読みどころ ── 一過性の減益か、実力の減速か

今期の減益は、基幹システムの移行や欧州の構造改革といった「将来のための費用」が主因で、需要そのものは半導体・データセンタを軸に強いままです。ここが一過性であれば、下期は通期計画どおり利益が戻る絵姿になります。逆にロボットの欧州事業や自動車市場の低迷が長引けば、下期の挽回は重くなります。次の四半期で、システム移行影響の一巡と欧州の底入れがどこまで進むかが、通期達成の分かれ目です。

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