SAKURA CAFE ・ 決算分析← レポート一覧
無印良品の店舗イメージ(無垢材の什器と生成りのテキスタイル)

EARNINGS REVIEW

無印良品(良品計画)

2026年8月期 第3四半期 決算レビュー

証券コード 7453(東証プライム)/ 対象 2025年9月〜2026年5月(9か月累計)/ 開示 2026年7月10日

増収増益、しかも利益の伸びが売上を大きく上回る第3四半期でした。売上にあたる営業収益は6,908億円と前年同期を16.9%上回り、 本業のもうけを示す営業利益は36.0%増。牽引役は海外事業で、とりわけ中国大陸を含む東アジアが伸長し、国内・海外の4事業すべてが増収増益となりました。 この好調を受けて、会社は通期予想を上方修正しています。

営業収益

6,908億円
+16.9%前年 5,911億円

営業利益

808億円
+36.0%前年 594億円

経常利益

824億円
+42.5%前年 578億円

純利益

586億円
+34.3%前年 436億円

※ 親会社株主に帰属する四半期純利益。1株当たり四半期純利益 110.33円(前年 82.25円、株式分割調整後)。金額は決算短信の百万円値を億円に四捨五入して表示。

日本基準の「利益の呼び方」を押さえておく
同社は日本基準で開示しています。利益は次の順で示されます。売上に相当する営業収益から売上原価・販管費を引いたものが営業利益(=本業そのもののもうけ。営業利益率は今期11.7%)。そこに受取利息や為替差益などの財務的な損益を加減したのが経常利益。さらに固定資産の売却損益などの特別損益を反映し、税金を引いて残るのが四半期純利益で、そのうち親会社の株主に帰属する分が実質的な純利益にあたります。
今期の数字を読むうえでの前提(株式分割・一時的な要因)
同社は2025年9月1日付で普通株式1株を2株に分割しました。1株当たりの数値(純利益・純資産・配当)は、前年も分割後ベースに換算して比較しています。また今期の純利益には、政策保有株式の売却益と、前期に受けたランサムウェアによる不正アクセスに関するシステム障害の補償金といった一時的な要因が含まれます。本業の実力は営業利益で見るのが素直です。

01 ── PERFORMANCE

3段階の利益がそろって3〜4割増

営業利益・経常利益・純利益は、いずれも大幅な増益となりました。増収率(+16.9%)を利益の伸びが上回っているのは、稼ぐ効率そのものが改善したためです。生産体制の内製化による原価低減と、安易な値下げの抑制で営業総利益率(粗利率)が改善し、営業利益率は前年の約10.1%から11.7%へ高まりました。特に経常利益は前年578億円から824億円へ、4割を超えて伸びています。

主要利益の前年同期比較

単位:億円 / 前年(2024年9月〜2025年5月)と当期(2025年9月〜2026年5月)の9か月累計

900億 600億 300億 0 594 578 436 +36.0% 808億 +42.5% 824億 +34.3% 586億 営業利益 経常利益 純利益
前年同期 当期
包括利益は822億円(+131.4%)。純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。

02 ── DRIVERS

成長の柱は海外事業

好業績を牽引したのは海外事業です。東アジア事業は営業収益2,128億円(前年同期比29.3%増)・利益454億円(同39.6%増)、東南アジア・オセアニア事業は営業収益491億円(同34.7%増)・利益70億円(同55.5%増)と大きく伸びました。中国大陸は生活雑貨と食品を中心に全部門で売上が伸長し、販管費率の改善も重なって増益。台湾・香港・韓国もそろって増収増益です。当第3四半期末の無印良品の店舗数は、国内外あわせて1,463店舗(国内708・海外755)となりました。

国内も堅調、原価低減が全体の利益率を押し上げ

国内事業は営業収益3,911億円(+8.9%)・利益512億円(+23.9%)。「無印良品週間」や年末年始の「良いね祭」、ポイントが5倍付く「GOOD POINT WEEK」といった施策が奏功しました。システム障害で落ち込んでいたEC売上は、復旧後の第3四半期に入って徐々に回復傾向にあります。内製化による原価低減と値下げ抑制で粗利率が改善し、利益を押し上げました。

稼ぐ効率が着実に改善

売上100円あたりに本業で残る利益(営業利益率)は、前年の約10.1円から当期は11.7円へ。生産体制の内製化による原価低減と、安易な値下げを抑えたことが効いており、規模拡大と収益性の改善が両立しています。

03 ── SEGMENTS

4事業すべてが増収増益

事業は「国内」「東アジア」「東南アジア・オセアニア」「欧米」の4区分。売上の過半は依然として国内が占めますが、伸び率で見ると海外の勢いが際立ちます。4事業がそろって増収かつ増益となりました。

セグメント別の売上構成

当期 営業収益 6,908億円の内訳(外部顧客への営業収益)

国内事業 57% 東アジア 31%
国内事業 3,911億(57%) 東アジア事業 2,128億(31%) 東南アジア・オセアニア 491億(7%) 欧米事業 378億(5%)
セグメント営業収益前年比セグメント利益前年比
国内事業3,911億+8.9%512億+23.9%
東アジア事業2,128億+29.3%454億+39.6%
東南アジア・オセアニア491億+34.7%70億+55.5%
欧米事業378億+21.9%55億+3.8%
セグメント利益は各事業の本業利益。上記のほかグローバル調達事業(その他)と全社費用等の調整額があり、合計は営業利益808億円に一致します。

東アジアが国内に次ぐ稼ぎ頭に

東アジア事業の利益454億円は、国内の512億円に迫る規模まで育っています。中国大陸では店舗のスクラップアンドビルド(不採算店の閉鎖と好立地への再出店)を進行中。東南アジアでは2025年11月に開いたタイ・ベトナムの旗艦店が好調で、現地のブランド認知度向上に寄与しました。

04 ── OUTLOOK

通期予想を上方修正

好調を受けて、会社は通期(〜2026年8月)予想を上方修正しました。通期の営業利益予想は980億円(前期比+32.7%)。9か月が経過した第3四半期時点で、利益はすでに通期予想の8割超に到達しており、暦の上での目安となる75%を各段階で上回っています。

通期予想(上方修正後)に対する第3四半期の進捗率

点線 = 9か月経過=1年の4分の3(75%)の目安ライン

75% 営業収益 76% 営業利益 83% 経常利益 83% 純利益 87%
通期予想:営業収益9,070億円(+15.6%)/営業利益980億円(+32.7%)/経常利益990億円(+36.9%)/純利益670億円(+31.8%)。1株当たり当期純利益 126.19円。

進捗の高さには一時的な要因も ── 見方に注意

利益の進捗率が75%を上回っていますが、粗利率の改善という実力に加え、純利益には政策保有株式の売却益システム障害の補償金といった一時的な要因も含まれています。また第4四半期はコスト要因や前期の反動が読みにくく、上振れをそのまま織り込むのは早計です。とはいえ、上方修正と高い進捗は好調さの裏付けであり、為替と海外景気が今後の振れ要因となります。

05 ── BALANCE SHEET

財務は盤石、配当は実質増配へ

総資産は前期末から937億円増えて6,565億円。純資産は687億円増の4,046億円で、利益剰余金の積み増し(419億円)に加え、繰延ヘッジ損益・為替換算調整勘定の改善が寄与しました。自己資本比率は前期末の59.0%から60.4%へ上昇し、財務基盤はさらに高まっています。年間配当は分割後ベースで前年を上回る見通しです。

自己資本比率 60.4%

総資産に占める、返済不要の自己資本の割合。60%超は財務的にきわめて安定した水準です。現金及び預金の増加(338億円)や有形固定資産の増加(193億円)で総資産が積み上がる一方、純資産も厚みを増しています。

年間配当 32円(実質増配)

中間16円+期末16円(予想)で、前回予想からの修正はありません。前期の年間50円は株式分割前の金額のため、分割後ベースに換算すると25円相当。今期予想の32円はこれを上回り、実質的には増配の見通しです。1株当たり四半期純利益も110.33円(前年82.25円)と伸びています。

06 ── SUMMARY

評価と、見ておくべき論点

評価できる点

  • 3段階の利益がすべて3〜4割増。増収率を上回る質の高い増益
  • 内製化と値下げ抑制で営業利益率が11.7%へ改善
  • 東アジア(+29.3%)・東南アジア(+34.7%)を軸に海外が全域で伸長
  • 財務は盤石(自己資本比率60.4%)、上方修正+実質増配

留意すべき点

  • 純利益には政策保有株の売却益・補償金という一時要因を含む。
  • EC売上はシステム障害から回復途上で、完全復調のペースは要観察。
  • 海外比率の上昇で為替・中国景気の影響を受けやすくなる。

目指す方向 ── 海外を軸にした成長投資

北米での出店再開、2027年8月期に予定するパリ旗艦店、東南アジアの旗艦店展開と、成長投資の軸は海外に置かれています。国内で磨いた「生産体制の内製化による原価低減」という収益構造を、拡大する海外店舗網へどこまで横展開できるかが、次の利益率を決めます。今四半期は、その戦略が全事業の増収増益という形で表れた決算といえます。

つづけて読む

次のレポート安川電機 2027年2月期 第1四半期読む →
レポート一覧へ戻る →