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朝もやの製油所で、巨大な石油タンクの外壁に沿って点検用ドローンが飛んでいる。右側はかすんだ空の暗い余白になっている

EARNINGS REVIEW

テラドローン

2027年1月期 中間期 決算レビュー

証券コード 278A(東証グロース)対象期間 2026年2月1日〜7月31日決算発表 2026年9月14日

売上高22億3,500万円は前年同期比+15.1%。営業損失は6億6,600万円から8億1,900万円へ広がり、親会社株主に帰属する中間純損失は3億9,400万円から6億8,000万円になった。数字だけ見れば、増収で赤字が深まった半年だ。 それでも、この決算でいちばん大きく動いたのは損益計算書の外にある。7月の時点では「4社のうちの1社として実証試験の機材に選ばれた」段階だった防衛装備庁の迎撃ドローンは、自社のTerraB1だけが試験を通り、量産調達契約を結んだ。7月に発行した新株予約権は、9月14日までにステージ1〜4の行使が終わり、累計約120億円を調達した。現金及び預金は半年で20億1,900万円から72億8,500万円へ増えている。 会社は通期予想(売上高50億7,300万円・営業損失16億5,800万円)を据え置いた。ただし説明資料では、この予想に防衛事業の売上を1円も織り込んでいないことと、第3四半期から防衛の売上が立ち始め、通期は期初想定を上回る見通しであることを明記している。据え置かれた数字と、会社が口にする見通しのあいだに、今回の決算の読みどころがある。

売上高

22.3億円
+15.1%運航管理が2.2倍

営業損益

△8.2億円
損失 +1.5億円前年同期 △6.7億円

現金及び預金

72.9億円
+52.7億円前期末 20.2億円

自己資本比率

83.8%
+14.1pt前期末 69.7%
テラドローンの決算期 ── 1月決算、今回は上半期の6か月
テラドローンは1月31日を決算日とする会社です。今回の「2027年1月期 中間期」は2026年2月1日から7月31日までの半年間を指します。会社は立ち上げ中の事業が多く、売上の計上時期によって四半期ごとの業績が大きく振れると説明しています。そのため業績予想を修正するかどうかは、四半期の数字ではなく1年を通した見通しで判断する方針です。株価に関わる予定としては、1株を2株に分割する株式分割の効力発生日が2026年10月1日(基準日は9月30日)に控えています。本レポートの1株当たりの数値は、いずれも分割前の値です。
2つのセグメント ── ドローンソリューションと運航管理
ドローンソリューションは、ドローンを使った測量・災害復旧、プラントやインフラの点検、農薬散布などの農業サービスを提供する事業です。防衛事業もこの中で立ち上げています。運航管理は、空を飛ぶ多数のドローンの飛行計画の承認や飛行状況の監視を行うシステム(UTM:Unmanned Traffic Management)を提供する事業で、ベルギーの子会社Uniflyが中心です。売上の規模はドローンソリューションが19億600万円、運航管理が3億2,800万円で、赤字の規模はそれぞれ4億4,400万円と3億7,400万円。運航管理は売上に対して赤字が大きく、まだ先行投資の段階にあります。
迎撃ドローン早期取得プログラム ── 38社の応募から、量産契約は1社だけ
防衛装備庁が初めて迎撃ドローン(敵の無人機にぶつけて落とすためのドローン)を調達するために設けたプログラムです。自衛隊がドローンへの対処器材をすばやく手に入れることを目的に、約3か月で実証試験から量産調達まで進める仕組みになっています。38社が応募し、テラドローンを含む4社が実証試験の試供機材に選ばれました(他の3社は海外メーカーの製品)。そのうち試験を通過して量産調達契約を結んだのは、テラドローンのTerraB1だけでした。納入先は海上自衛隊です。契約の金額は説明資料に記載がありません。
ターゲット価額設定型の新株予約権 ── 株価が上がったときだけ資金が入る
新株予約権は、決められた価格で新しい株を受け取れる権利です。テラドローンは2026年7月6日、みずほ証券に割り当てる分と、代表取締役の徳重徹氏に割り当てる分を、それぞれ5つのステージに分けて発行しました。みずほ証券の分は、株価がステージごとの目標水準を上回ったときにだけ行使が進む設計で、会社は「株価上昇時にのみ行使が進行する」と説明しています。想定の調達額は約145億円、株数が増えることによる1株当たり価値の目減り(希薄化)は最大で約9.8%です。証券会社に払う手数料にあたるディスカウント率は5%に設定されました。会社は、下限行使価額を引き下げる修正条項は今後も発動しない方針を示しています。
調整後営業利益 ── 国内UTMの補助金を足し戻した会社独自の指標
テラドローンは、営業利益に国内UTM関連の補助金を加えた調整後営業利益を管理指標として開示しています。補助金は損益計算書上は営業外収益に入るため、営業利益だけを見ると国内の運航管理事業の実態より赤字が大きく見える、という考え方です。当中間期の連結の調整後営業利益は△7億8,100万円で、前年同期の△5億600万円から2億7,600万円悪化しました。営業損失の悪化幅(1億5,300万円)より大きいのは、国内の補助金が1億6,000万円から3,700万円に減ったためです。会計基準に基づかない数値なので、本レポートでは参考として扱います。

01 ── PERFORMANCE

粗利は1億7,300万円増えた。販管費はその倍近い3億2,600万円増えた

売上高は19億4,300万円から22億3,500万円(+15.1%)。売上総利益は8億3,600万円から10億900万円(+20.7%)と売上より速く伸び、売上総利益率は43.1%から45.2%へ2.1ポイント上がった(算出)。農業事業の粗利率が8%から33%に戻ったことが大きい。

赤字が広がった理由は販管費にある。販売費及び一般管理費は15億300万円から18億2,900万円(+21.7%)へ3億2,600万円の増加(算出)。会社は、防衛事業、サウジアラビアの事業、点検用ハードウェアといった新しい事業の体制拡大に伴う増加で、期初の想定どおりだと説明している。粗利の増加分を、先に人と拠点に使った半年だった。

営業外では、為替差益6,400万円と国内UTM関連の補助金収入6,400万円が入った一方、支払利息1,700万円に加えて和解金3,900万円が出ている。経常損失は5億4,100万円から6億9,500万円。特別損失には契約解約損9,400万円が計上され、税金等調整前の中間純損失は7億9,900万円になった。中間純損失が営業損失の広がり以上に膨らんだ(3億9,400万円→6億8,000万円)のは、この特別損失と、子会社の赤字のうち少数株主が負担する分が1億7,100万円から1億2,900万円へ減ったためだ。

営業損失の増減 ── 前年中間期△666百万円から当中間期△819百万円へ

単位:百万円 / 売上総利益の増加と販管費の増加で分解

0 △300 △600 △900 前年中間期 営業損失 △666百万円 売上総利益の増加 +173百万円 販管費の増加 △326百万円 当中間期 営業損失 △819百万円 △666 +173 △326 △819 前年中間期 売上総利益の増加 販管費の増加 当中間期
決算短信の中間連結損益計算書から算出(百万円未満切捨て)。前年中間期の営業損失は損益計算書・セグメント情報の注記・決算説明資料の3か所で△666百万円。決算短信1ページ目のサマリー表だけが△681百万円と記載しており、本レポートは3か所で一致する△666百万円を採用した。
連結(中間期・百万円)2026年1月期2027年1月期増減額増減率
売上高1,9432,235+292+15.1%
売上総利益8361,009+173+20.7%(算出)
売上総利益率43.1%45.2%+2.1pt(算出)
販売費及び一般管理費1,5031,829+326+21.7%(算出)
営業損益△666△819△153損失拡大
営業外収益200
営業外費用77
経常損益△541△695△154損失拡大
 特別損失(うち契約解約損94)103
税金等調整前中間純損益△553△799△246損失拡大
親会社株主帰属中間純損益△394△680△286損失拡大
1株当たり中間純損益△41円61銭△69円26銭△27円65銭
調整後営業利益(会社指標)△506△781△276損失拡大

決算短信の中間連結損益計算書(千円表示)を百万円未満切捨てで表示。前年中間期の営業外損益と特別損失の内訳は本レポートでは扱っていないため「─」とした。調整後営業利益は決算説明資料の会社指標(営業利益+国内UTM関連補助金)で、会計基準に基づかない数値。1株当たりの数値は2026年10月1日の株式分割(1株→2株)の前の値。

02 ── SEGMENT

運航管理の売上は2.2倍、農業の粗利率は8%から33%へ。赤字の広がりはドローンソリューション側で起きた

ドローンソリューションは売上高19億600万円(前年同期比+1億1,600万円)、売上総利益8億8,900万円(+1億3,900万円)、営業損失4億4,400万円(損失が1億4,900万円拡大)。3つの事業すべてが増収だった。測量・災害復旧は国内が引っ張って11億9,400万円、粗利率49%を保った。点検は、今期の第1四半期から本格的に売り始めた点検用ハードウェアが伸びて2億7,500万円から3億3,900万円(+23.3%)。農業は第1四半期に減収だったが、大型案件の受注で第2四半期に増収へ転じ、3億7,200万円。前年同期にわずか8%だった農業の粗利率は33%まで戻った。粗利はしっかり増えている。赤字が広がったのは、防衛・サウジアラビア・点検ハードの体制づくりで販管費が先行したためだ。

運航管理は売上高が1億5,100万円から3億2,800万円と2.2倍になり、営業損失は3億7,400万円で前年とほぼ同じ(損失が300万円拡大)にとどまった。欧州のUniflyは売上2億8,200万円(+1億3,700万円)、国内は4,600万円(+4,000万円)。受注面の話題は大きく、Uniflyはベルギー国防省から軍の管轄空域向けUTMの導入・運用案件(約2億700万円・21か月)を受注した。会社は、国防軍向けのUTM受注は世界で初めてだとしている。欧州最大級の防衛企業MBDAとは、ドローン対処(カウンタードローン)のプラットフォームでパートナーシップ契約を結んだ。ドローンを見つけて、規制に合った機体か不審機かを見分ける工程に、UTMの仕組みが使える。運航管理が防衛事業とつながり始めた。

事業別の売上高 ── 4事業すべて増収、伸び率は運航管理が突出

単位:百万円 / 下段は売上総利益率(前年中間期→当中間期)

1,400 1,050 700 350 0 測量・災害復旧 前年中間期 1,177百万円 1,177 測量・災害復旧 当中間期 1,194百万円 1,194 測量・災害復旧 +1.4% 粗利率 50%→49% 点検 前年中間期 275百万円 275 点検 当中間期 339百万円 339 点検 +23.3% 粗利率 51%→52% 農業 前年中間期 338百万円 338 農業 当中間期 372百万円 372 農業 +10.1% 粗利率 8%→33% 運航管理 前年中間期 151百万円 151 運航管理 当中間期 328百万円 328 運航管理 +117.2% 粗利率 ─
前年中間期 当中間期
決算説明資料のドローンソリューション事業別内訳と運航管理の拠点別PLより。インドネシアとサウジアラビアの点検事業は、会社の管理区分上「測量・災害復旧」に含まれる。運航管理(Uniflyほか)の売上総利益は、現地の人件費の区分慣習が異なるため会社が参考値としており、粗利率は載せていない。
セグメント・事業(百万円)売上高
前年中間
売上高
当中間
増減営業損益
前年中間
営業損益
当中間
増減
ドローンソリューション
 測量・災害復旧1,1771,194+17
 点検275339+64
 農業338372+35
ドローンソリューション 計1,7911,906+116△294△444△149
運航管理
 Unifly(欧州)145282+137△291△330△39
 国内646+40△79△43+14
運航管理 計151328+177△371△374△3
連結1,9432,235+292△666△819△153

決算短信のセグメント情報および決算説明資料より(百万円未満切捨て)。事業別・拠点別の内訳は決算説明資料の管理数値で、合計と内訳の端数は一致しない場合がある。事業別の営業損益は開示されていない。国内の運航管理は補助金3,700万円(前年同期1億6,000万円)を加えた調整後営業利益が△600万円(同+8,000万円)。

03 ── DEFENSE

7月は「4社の1社」だった迎撃ドローンが、量産契約になった。ただし金額と売上規模はまだ見えない

7月22日の号外で扱ったとき、テラドローンの迎撃ドローンは、防衛装備庁のプログラムで実証試験の機材に選ばれた4社のうちの1社という位置にあった。量産で買ってもらえるかどうかは試験の結果しだいで、「採択」と「受注」を分けて読む必要があった。

今回の説明資料で、その答えが出た。試験を通過したのはTerraB1だけで、テラドローンは38社の応募の中でただ1社、量産調達契約を結んだ。他の3社はいずれも海外メーカーの製品だった。納入先は海上自衛隊。会社はこれを、性能に加えて「国産であること、供給能力」を公式に評価された結果だと受け止めている。今後は海上自衛隊からの追加受注と、航空自衛隊・陸上自衛隊への展開を目指す。防衛省の来年度(令和9年度)概算要求には、迎撃ドローン関連として76億円と事項要求が計上された。

もう1本、防衛装備庁との取引が数字で示された。2026年5月に受注したモジュール型UAV(汎用型・教育用)300式、約1億1,500万円で、同庁からの初受注にあたる。これは隊員の教育に使う機体で、実際に部隊に配備する同型機1,767式の入札が10月に行われる見込みだという。会社はこれを継続案件として取りにいく。

海外でも足場が増えた。中東ではUAEの防衛大手EDGEグループから受注し、アジアではマレーシアのDEFTECHと戦略的協業を始め、欧州ではベルギー国防省からUTMを受注した。米国法人「Terra Defense」の設立準備と、ウクライナ企業との協業による迎撃ドローンの開発も続けている。7月6日には国産ドローン向けのバッテリー事業への参入を発表し、部品を含めた国産のサプライチェーンづくりにも着手した。空港や製油所、発電所といった重要インフラを平時から守るC-UAS(ドローン対処システム)の開発も始めている。一方で、6月に発表していたBesomar社との合弁会社の設立は、条件が折り合わず中止になった。

防衛の売上は、まだ決算の数字に1円も入っていない

ここまでの進捗はすべて受注や契約の話で、中間期の損益にはほとんど表れていない。会社は防衛事業の売上について「第3四半期から計上が発生する見込み」とし、通期の業績予想には織り込んでいないと明記している。迎撃ドローンの量産契約の金額は開示されておらず、金額が分かっている防衛関連の受注はモジュール型UAVの約1億1,500万円(納期9月末)にとどまる。10月の1,767式の入札も、受注できるかどうかも金額も現時点では分からない。「上振れる見通し」という会社の言葉は、どれだけ上振れるかを示していない。次の第3四半期決算で、防衛の売上が初めて数字として出てくる。

04 ── GUIDANCE

通期予想は据え置き。下期の売上計画は、前年の下期とほぼ同じ水準に置かれている

2027年1月期の通期予想は、3月16日の公表から変えていない。売上高50億7,300万円(前期比+6.1%)・営業損失16億5,800万円・経常損失14億1,900万円・親会社株主に帰属する当期純損失12億6,600万円。中間期の売上高の進捗は44.1%、営業損失は通期予想額の49.4%をすでに計上している(いずれも算出)。

下期の中身を逆算するとこうなる。通期の売上高50億7,300万円から中間期の22億3,500万円を引くと、下期の計画は28億3,800万円。上期の1.27倍にあたる(算出)。会社は「3Q、4Qと段階的に売上高が増加していく」と書いており、下期偏重は会社の想定どおりだ。一方で、前期の通期売上高を予想の増収率(+6.1%)から逆算すると約47億8,000万円、前年の下期は約28億3,800万円になる(算出・概算)。下期の計画は前年の下期とほぼ横ばいで、今期の増収分はほぼ上期の伸び(+2億9,200万円)で説明がつく計算だ。この計画に防衛の売上が上乗せされる、というのが会社の見立てになる。

上期と下期の売上高 ── 下期計画は前年並み、そこに防衛が乗るかどうか

単位:百万円 / 塗り=実績、破線=逆算値(下期計画・前年下期)

3,200 2,400 1,600 800 0 上半期(2〜7月) 前年 1,943百万円 1,943 前年 上半期(2〜7月) 今期実績 2,235百万円 2,235 今期実績 上半期(2〜7月) 下半期(8〜1月) 前年(逆算) 2,838百万円 約2,838 前年(逆算) 下半期(8〜1月) 今期計画(逆算) 2,838百万円 2,838 今期計画(逆算) 下半期(8〜1月)
前年 今期
下期計画=通期予想5,073−中間期実績2,235(算出)。前年下期=前期の通期売上高(通期予想÷1.061で約4,781と逆算、算出・概算)−前年中間期1,943。前期の通期売上高は今回の2資料に記載がなく、増収率の丸めにより数百万円の幅がある。防衛事業の売上は会社予想に含まれていない。
2027年1月期 連結業績予想(百万円)中間期実績通期予想進捗(算出)下期(逆算)
売上高2,2355,07344.1%2,838
営業損益△819△1,65849.4%△839
経常損益△695△1,41949.0%△724
親会社株主帰属当期純損益△680△1,26653.7%△586
1株当たり当期純損益△69円26銭△131円88銭

決算短信の連結業績予想より。損益の「進捗」は通期予想の損失額のうち中間期までに計上した割合。業績予想の修正は無し。1株当たり当期純損益は株式分割前の値で、分割後は半分になる。

05 ── BALANCE SHEET & FINANCING

新株予約権で累計120億円。防衛に充てる予定の65億円を、発行から2か月あまりで上回った

中間期末の総資産は69億3,400万円から117億4,600万円へ48億1,100万円増えた。ほぼ全部が現金だ。現金及び預金は20億1,900万円から72億8,500万円へ52億6,600万円の増加。純資産は50億800万円から98億8,900万円になり、自己資本比率は69.7%から83.8%へ上がった。借入金は短期借入金5,500万円余りのみで、前期末はゼロだった。

キャッシュ・フローを見ると、本業はまだ現金を使っている。営業活動によるキャッシュ・フローは△4億5,800万円(前年同期△3,100万円)。投資活動は投資有価証券の減少などで+1億6,400万円。そこに財務活動の+57億9,100万円が入った。中身は新株予約権の行使に伴う株式の発行による収入57億3,500万円。これは7月末までの分で、説明資料によると9月14日までにステージ1〜4の行使が完了し、累計の調達額は約120億円に達した(中間期末以降の分は約63億円、算出)。株価が上がり、一部が当初の行使価額を上回る水準で行使されたため、ステージ1〜4の想定額約117億円を約2億9,000万円上回った。

資金の使い道は、防衛事業の立ち上げに65億円、UTM事業の本格化に23億円、M&Aや資本業務提携に27億円、既存事業の拡大に30億円(合計145億円)の予定。会社は「防衛事業への充当予定額65億円を超過する資金を確保しており、当面の事業展開は資金面での制約なく推進可能」と書いている。残るステージ5がすべて行使されても、今からの希薄化は約0.9%にとどまる。

純資産の内訳では、資本準備金29億円を取り崩して繰越利益剰余金の赤字を埋める欠損填補も行った。純資産の合計は変わらない会計上の振替だが、過去の赤字の累積を資本の側で整理したことになる。配当は前期・今期とも無配。

新株予約権による調達 ── ステージ1〜4で累計120.0億円

単位:億円 / 9月14日時点。破線はステージ5(未行使)を含む想定合計

ステージ1 19.0億円 19.0 ステージ1 ステージ2 25.1億円 25.1 ステージ2 ステージ3 32.4億円 32.4 ステージ3 ステージ4 43.3億円 43.3 ステージ4 ステージ5(未行使) 想定の残り ステージ5 防衛事業への充当予定 65億円 累計 120.0億円 想定 145.8
決算説明資料の行使状況より。ステージ別の調達実現額は19.0/25.1/32.4/43.3億円。想定合計145.8億円はみずほ証券割当分と代表取締役割当分の合計。点線は資金使途のうち防衛事業の立ち上げに充てる予定額。中間期末(7月31日)までにキャッシュ・フロー計算書に入った株式発行収入は57億3,500万円。
財政状態(百万円)2026年1月末2026年7月末
総資産6,93411,746
 うち現金及び預金2,0197,285
負債1,9261,857
 うち借入金056
純資産5,0089,889
自己資本4,8359,840
自己資本比率69.7%83.8%
CF・株式(中間期)前年当期
営業活動CF(百万円)△31△458
投資活動CF(百万円)△1,242164
財務活動CF(百万円)365,791
現金同等物 期末(百万円)2,9007,285
発行済株式数(株)9,718,00010,397,100
年間配当0円0円(予想)

決算短信の中間連結貸借対照表・キャッシュ・フロー計算書より(百万円未満切捨て)。発行済株式数の左列は前期末(2026年1月31日)。借入金は短期借入金と長期借入金の合計(算出)。株式数は2026年10月1日の株式分割(1株→2株)の前の値。

06 ── SUMMARY

赤字は想定どおり広がり、お金と契約は想定以上に集まった。次は、それが売上になるか

評価できる点

  • 売上高+15.1%。測量・点検・農業・運航管理の4事業すべてが増収
  • 売上総利益率43.1%→45.2%。農業の粗利率が8%→33%に回復。
  • 迎撃ドローンで38社中ただ1社の量産調達契約。国内唯一の納入メーカーに。
  • ベルギー国防省から国防軍向けで世界初のUTMを受注(約2億700万円)。
  • 新株予約権で累計約120億円を調達。防衛への充当予定65億円を上回る。
  • 自己資本比率83.8%、借入はほぼゼロ。当面、資金の制約はない。

留意しておきたい点

  • 営業損失は△666百万円→△819百万円。販管費+21.7%が粗利の伸びを上回った。
  • 営業CFは△4億5,800万円。事業はまだ現金を生んでいない。
  • 通期予想は営業損失16億5,800万円のまま。下期も同規模の赤字の計画。
  • 迎撃ドローンの量産契約の金額は非開示。防衛売上は予想に未織込で規模が見えない。
  • 10月の配備用1,767式の入札は結果も金額も未確定
  • 株式数は前期末から+7.0%(算出)。資金は増えたが、1株あたりの持ち分は薄まった。
  • 特別損失に契約解約損9,400万円、営業外に和解金3,900万円。

この半年のテラドローンは、損益計算書と説明資料でまるで別の会社に見える。損益計算書のほうは、売上22億円に対して営業損失8億円、しかも赤字は前年より広がった。説明資料のほうは、防衛装備庁との量産契約、ベルギー国防省のUTM、UAEとマレーシアの防衛企業、120億円の資金。会社が「期初の想定どおり」と繰り返しているのは前者で、「上振れる見通し」と書いているのは後者だ。

7月の号外で、採択は受注ではないと書いた。その区別は、今回ひとつ先へ進んだ。量産契約は結ばれた。ただし契約の金額は出ておらず、売上として損益計算書に現れるのは第3四半期からになる。読む側が分けておくべき線は、「採択と受注」から「受注と売上」に移っただけで、消えてはいない。

次の第3四半期決算で確かめたい点は3つある。防衛事業の売上が、どんな規模で初めて数字に出てくるか。10月の1,767式の入札を取れたかどうか。そして、120億円で固めた体制に対して販管費がどこまで膨らみ、下期28億円の売上計画に防衛がどれだけ上乗せされるか。据え置かれた通期予想が修正されるなら、そこで会社の言う「上振れ」の大きさが初めて分かる。

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