EARNINGS REVIEW
2027年2月期 第2四半期(中間期) 決算レビュー
証券コード 8227(東証プライム) / 対象期間 2026年2月〜8月 / 決算発表 2026年9月28日
上期の売上高は3,572億円、営業利益は331億円。ともに中間期として過去最高で、増収増益がきれいにそろった。経常利益は+7.3%、中間純利益は+5.6%と、利益は売上の伸び(+4.0%)を上回っている。 ただし中身を四半期で割ると、景色は前後で変わる。1Q(3〜5月)の売上は前年比+7.9%。ところが2Q(6〜8月)は±0.0%と、伸びがぴたりと止まった。梅雨と相次ぐ台風で夏物が動かず、上期の増収は実質的に1Qの貯金でできている。それでも利益を落とさなかったのは、売上総利益率を35.0%へ0.1ポイント上げ、粗利で守ったからだ。 会社は通期予想を据え置いた。売上7,291億円・営業利益668億円(+8.7%)。上期の営業利益の進捗は49.6%とほぼ半分だが、この通期を届かせるには下期に営業利益+12.3%(算出)という、上期の倍以上の加速が要る。読むべきはそこにある。
売上高(中間期)
営業利益
親会社株主帰属 中間純利益
通期営業利益(予想・据え置き)
01 ── PERFORMANCE
売上高3,572億6,000万円は前年同期の3,435億7,700万円から137億円の増加。営業利益は314億6,100万円から331億2,900万円へ、経常利益は325億5,600万円から349億4,800万円へ。親会社株主に帰属する中間純利益は229億100万円から241億9,100万円になった。売上・各利益とも、中間期としてはこれまでで最も大きい。
利益が売上より速く伸びた理由は、大きくない。売上総利益率が34.9%から35.0%へ0.1ポイント上がり、販管費比率は25.9%でほぼ横ばい。粗利がわずかに改善した分が、そのまま営業利益率9.2%→9.3%に乗った。経常利益が+7.3%と営業利益(+5.3%)より伸びたのは、営業外収益が10億9,600万円から18億2,000万円へ7億円増えたため。中身は受取利息・受取配当金などで、手元資金を有価証券で運用している効果が出ている。
売上高と営業利益 ── 前年同期との比較
単位:億円 / 2025年2-8月 vs 2026年2-8月
| 連結(2026年2-8月) | 前年同期 | 当中間期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 343,577百万円 | 357,260百万円 | +4.0% |
| 売上総利益 | 119,788百万円 | 124,863百万円 | +4.2% |
| 売上総利益率 | 34.9% | 35.0% | +0.1pt |
| 販売費及び一般管理費 | 89,010百万円 | 92,392百万円 | +3.8%(算出) |
| 販管費比率 | 25.9% | 25.9% | ±0.0pt(算出) |
| 営業利益 | 31,461百万円 | 33,129百万円 | +5.3% |
| 営業利益率 | 9.2% | 9.3% | +0.1pt |
| 経常利益 | 32,556百万円 | 34,948百万円 | +7.3% |
| 税金等調整前中間純利益 | 32,242百万円 | 34,500百万円 | +7.0%(算出) |
| 法人税等 | 9,340百万円 | 10,308百万円 | +10.4%(算出) |
| 親会社株主帰属中間純利益 | 22,901百万円 | 24,191百万円 | +5.6% |
| 1株当たり中間純利益 | 103円85銭 | 116円51銭 | +12.2%(算出) |
| 中間包括利益 | 24,142百万円 | 24,085百万円 | △0.2% |
決算短信より。1株当たり中間純利益は前期首の株式分割(1→3)を反映した遡及ベース。数字が純利益(+5.6%)より速く伸びているのは、期中平均株式数が2億2,052万株から2億763万株へ約5.8%減ったため(算出)。前期に実施した自己株式の取得が効いている。
中間純利益が241億円と増えたのに、包括利益は240億円で前年(241億円)とほぼ同じ、わずかに△0.2%。差を作ったのはその他の包括利益で、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定といった「損益計算書を通さずに純資産へ積む評価損益」の部分だ。前年同期はここがプラスに効いていたが、当期はほぼ横ばい。事業の稼ぐ力(純利益)は伸びていて、市況による評価の上乗せが前年ほど乗らなかった、という読み方になる。純資産そのものは利益剰余金の増加を主因に162億円増えている。
02 ── QUARTER
上期を四半期で割ると、伸びは前半に偏っている。1Q(3〜5月)の売上は1,816億6,300万円で前年比+7.9%。春物が順調に動き、営業利益は178億9,000万円だった。ところが2Q(6〜8月)の売上は1,755億9,600万円で、前年比は±0.0%。ほぼ前年と同じ水準まで伸びが止まり、営業利益も152億3,900万円と1Qから水準を下げた。
理由は天候だ。会社の説明によれば、6月から7月中旬にかけての梅雨空と相次ぐ台風の接近が夏物需要の鈍化を招き、梅雨明け後は全国的な猛暑、8月には各地で急な大雨や雷雨が頻発した。気温に振り回される衣料品にとって、この夏は売りにくい夏だった。
ただ、崩れてはいない。2Qは売上が横ばいでも、売上総利益は前年比+2.9%と伸びており、原価率がむしろ改善している。値引きに頼らず粗利率で利益を守ったことで、天候の逆風を受けた四半期でも採算は保たれた。上期全体が増収増益で着地したのは、この2Qの守りと、1Qの貯金の合わせ技になる。
四半期別の売上高と営業利益 ── 当期(2027年2月期)の内訳
単位:億円 / 1Q=3〜5月、2Q=6〜8月
03 ── SEGMENT
売上の7割強を占める主力「しまむら」は2,629億7,600万円で+3.1%。上期の増収137億円のうち78億円をこの1業態が持ってきた計算になる。ただし伸び率で見ると、目立つのは規模の小さい業態のほうだ。雑貨のシャンブルが+19.5%、台湾の思夢樂が円換算で+19.1%(現地通貨ベース+17.2%)。若者向けのアベイルも+7.5%と、しまむらの2倍以上の速さで伸びている。
シャンブルは新型レイアウトの催事売場や来店スタンプカード、キッチンカー誘致などで客数を増やした。アベイルはサプライヤーとの共同開発ブランド(JB)やキャラクター商品を軸に、人気ファッションイベントへの出演で知名度を上げている。一方、赤ちゃん・子ども用品のバースデイは+1.8%と最も鈍い。夏物の天候影響を受けやすい季節商材の構成が響いた。
台湾の思夢樂は、日本のPB(自社開発ブランド)やインフルエンサー企画で品揃えを拡充し、都市部への出店でブランド知名度を高めた。規模はまだ54億円と連結の1.5%だが、6業態で最も速く伸びている。海外はこの思夢樂1本で、通期予想でも+9.3%の増収を見込む。
業態別の売上高 ── 前年同期比(増収率)
単位:% / 中間期(2026年2-8月)の売上高前年同期比
| 業態 | 売上(前年) | 売上(当期) | 増減率 | 店舗数 | 通期予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| しまむら | 255,149 | 262,976 | +3.1% | 1,423 | 535,710(+3.1%) |
| アベイル | 34,875 | 37,493 | +7.5% | 323 | 74,800(+6.3%) |
| バースデイ | 40,151 | 40,883 | +1.8% | 343 | 86,840(+6.7%) |
| シャンブル | 8,283 | 9,896 | +19.5% | 125 | 19,290(+11.8%) |
| ディバロ | 538 | 556 | +3.2% | 19 | 1,260(+20.9%) |
| 思夢樂(台湾) | 4,577 | 5,452 | +19.1% | 45 | 11,293(+9.3%) |
| 連結 | 343,577 | 357,260 | +4.0% | 2,278 | 729,193(+4.2%) |
単位:百万円。売上・店舗数は決算短信および決算概況、増減率は算出(思夢樂は円換算ベース、現地通貨ベースは+17.2%)。店舗数は上期末(2026年8月20日)時点。上期は全業態で純増か横ばいで、しまむらは5店開設・5店閉店、シャンブルは1店開設・1店閉店。決算短信の正式なセグメント注記は「日本(売上351,807・利益32,683)」「海外(売上5,452・利益445)」の2区分。
連結には為替換算を経る台湾(思夢樂)が含まれる。日本国内だけを取り出すと、売上3,518億700万円(+3.8%)、営業利益326億8,300万円(+4.6%)、経常利益345億4,200万円(+6.7%)、中間純利益238億7,300万円(+5.0%)。国内の営業利益率は9.3%(32,683÷351,807、算出)で、海外の8.2%を上回る。台湾は伸び率こそ最速だが、利益率ではまだ国内が主役という構図だ。会社は2026年度のグループ統一テーマを「ネクスト・チャレンジ 3rd『進化する挑戦』」とし、中期経営計画2027の最終年度として、PB(FIBER DRY、CLOSSHI PREMIUM)とキャラクター商品の拡充を進めている。
04 ── FORECAST
会社は通期予想を、2026年3月30日に公表した数字から変更していない。売上高7,291億9,300万円(+4.2%)、営業利益668億4,200万円(+8.7%)、経常利益688億2,500万円(+8.1%)、当期純利益473億2,100万円(+6.4%)。上期の進捗は売上49.0%、営業利益49.6%、経常利益50.8%、中間純利益51.1%(いずれも算出)で、ほぼ半分に来ている。
ここで一段踏み込むと、留意点が見えてくる。上期の営業利益は前年比+5.3%だった。しかし通期予想は+8.7%を掲げている。逆算すると、下期(8月21日〜2月20日)の営業利益は前年比+12.3%(算出)が必要になる。上期の実績(+5.3%)の倍以上のペースだ。売上でみても、上期+4.0%に対して下期は+4.3%(算出)を織り込んでいる。会社は下期=秋冬・年末商戦での加速を前提に置いている。
通期予想に対する上期の進捗率
中間期実績 ÷ 通期予想 / 点線は1年の折り返し(50%)
予想を変えなかったこと自体は、上期がおおむね計画線だったことを意味する。ただし営業利益の進捗49.6%は、通期+8.7%の達成を下期の加速に委ねた形でもある。下期は秋冬物と年末商戦という小売の稼ぎ時で、しまむらの事業構造上もともと利益が乗りやすい半期だ。とはいえ、夏場に売上の伸びが止まった直後であり、賃上げの一方で食料品・輸入物価の上昇が家計の節約志向を根強くしている環境も続く。会社が見込む下期の加速が、天候と消費者心理という上期と同じ変数にどこまで左右されるか。次の確認点は、冬物が本格化する第3四半期(3月〜11月20日)の決算になる。
05 ── BALANCE SHEET
上期末の総資産は5,769億2,200万円で、前期末比+4.0%(+222億円)。純資産は5,047億4,000万円で+162億円。利益剰余金の積み上がりが主因だ。自己資本比率は88.1%から87.5%へ0.6ポイント下がったものの、依然として小売業では突出して高い。負債は721億8,100万円で、有利子負債にほとんど頼らない財務構造は変わっていない。
目を引くのは現金の動きだ。現金及び現金同等物は期首の1,271億円から427億円へ、846億円減っている(算出)。ただしこれは資金の流出ではなく、置き換えだ。同じ期に有価証券が452億9,400万円、投資有価証券が39億3,200万円増え、店舗用の土地も168億3,500万円増えた。手元資金を、利回りのある運用資産と出店用地に振り向けた形になる。投資キャッシュ・フローが△1,036億9,000万円と前年より436億円ふくらんだのも、有価証券の取得(3,400億円)が大きい。
本業の稼ぐ力は落ちていない。営業キャッシュ・フローは271億9,400万円で、前年同期から38億円増えた。税金等調整前中間純利益345億円・減価償却費38億円が支えで、法人税の支払い93億円・売上債権の増加42億円を吸収している。財務では配当金79億5,400万円を支払った。総資産が増えるなかでの現金の減少は、資金繰りの悪化ではなく資産構成の入れ替えと読むのが正確だ。
| 財政状態 | 前期末 | 上期末 |
|---|---|---|
| 総資産 | 554,667 | 576,922 |
| 純資産 | 488,545 | 504,740 |
| 負債合計 | 66,121 | 72,181 |
| 現金及び現金同等物 | 127,185 | 42,743 |
| 1株当たり純資産 | 2,346円 | 2,431円 |
| 自己資本比率 | 88.1% | 87.5% |
| キャッシュ・フロー | 前年同期 | 当期 |
|---|---|---|
| 営業活動 | 23,374 | 27,194 |
| 投資活動 | △60,024 | △103,690 |
| 財務活動 | △7,724 | △7,959 |
| 減価償却費 | 3,242 | 3,878 |
| 期末 現金同等物 | 161,859 | 42,743 |
| 営業CFの増減 | ─ | +3,819 |
単位:百万円(1株当たり純資産のみ円)。決算短信より。現金及び現金同等物の期首は前期末(2026年2月20日)残高。上期末残高427億円は、前年同期末(1,618億円)と比べると1,191億円少ないが、これは有価証券・投資有価証券(+約492億円)と土地(+168億円)への振り替えによるもの。自己資本比率の低下(△0.6pt)は、純資産の増加以上に総資産が増えたため。
06 ── DIVIDEND
9月28日の取締役会で、中間配当を1株あたり40円と決議した(2026年8月20日を基準日、支払開始は10月30日)。期末配当も40円を予想し、年間は80円の見込み。予想からの修正はない。
ここで前期と比べるときに、株式分割をそろえる必要がある。しまむらは2026年2月21日付で1株を3株に分割した。前期の年間配当215円(中間100円+期末115円)は分割前の数字なので、分割後に換算すると約71.67円相当。今期の年間予想80円は分割後の数字だ。つまり「215円→80円」という見かけの落差は単位の違いで、実際には年間で約11.6%の増配(算出)になる。中間配当だけを取り出しても、前期の実質33.33円相当から今期40円へ、約20%の引き上げ(算出)だ。
予想EPS227円92銭に対する年間配当性向は35.1%(算出)。9割近い自己資本比率と、有価証券で運用に回せるほどの手元資金を持ちながら、配当性向はまだ3割台にとどまる。株主還元の余地という点では、財務の厚みが下支えになっている。
| 配当(1株当たり) | 中間 | 期末 | 年間 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 実績(分割前) | 100円00銭 | 115円00銭 | 215円00銭 |
| 2026年2月期 実績(分割後換算) | 約33円33銭 | 約38円33銭 | 約71円67銭 |
| 2027年2月期(中間=実績・期末=予想) | 40円00銭 | 40円00銭 | 80円00銭 |
| 実質増減率(分割後ベース・算出) | 約+20.0% | 約+4.4% | 約+11.6% |
決算短信および「中間配当に関する取締役会決議」(2026年9月28日)より。分割後換算値と実質増減率は、前期実績を1株→3株の比率でそろえて比較した算出値。配当性向35.1%は年間配当80円÷予想1株当たり当期純利益227円92銭。
07 ── SUMMARY
この上期のしまむらは、派手な決算ではない。売上+4.0%、営業利益+5.3%という数字だけを見れば、堅実な中間決算にしか見えない。だが四半期に割ると、性格が浮かぶ。前半の1Qで+7.9%と稼ぎ、後半の2Qは天候で売上が止まった。それでも増収増益で着地できたのは、値引きを抑えて粗利率をわずかに上げ、逆風の四半期でも採算を崩さなかったからだ。守りで勝った半期、と言っていい。
成長の担い手も入れ替わりつつある。伸び率の上位はシャンブルと台湾の思夢樂で、主力しまむらの+3.1%を大きく超える。規模はまだ小さいが、雑貨と海外という別の柱が育ち始めているのは、単一業態への依存を薄める意味で悪くない。9割近い自己資本比率と、運用に回せるほどの手元資金は、こうした挑戦を支える土台になる。
焦点は下期にある。会社は通期予想を据え置き、下期に営業利益+12.3%(算出)の加速を織り込んだ。秋冬物と年末商戦はしまむらが本来得意とする半期だが、それは上期に売上を止めたのと同じ「天候」と「節約志向」に左右される半期でもある。会社が見込んだ加速が実際に来るのか。答え合わせは、冬物が立ち上がる第3四半期の決算になる。