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夕暮れの青い空の下、窓から暖かな明かりがこぼれる2階建ての住宅と、手前に広がる芝生の庭。右側は暗い余白になっている

EARNINGS REVIEW

積水ハウス

2027年1月期 中間期 決算レビュー

証券コード 1928(東証・名証)対象期間 2026年2月1日〜7月31日決算発表 2026年9月10日

売上高1兆9,656億円は前年同期比△2.5%。それでも営業利益は1,803億円で+16.0%、経常利益は1,690億円で+23.8%、親会社株主に帰属する中間純利益は1,250億円で+23.1%だった。会社は、営業・経常・中間純利益の3つがいずれも中間期として過去最高になったと説明している。 売上が減って利益が過去最高。この組み合わせを生んだのは、国内と米国の明暗だ。米国の戸建住宅事業は引渡戸数が6,064戸から4,572戸へ減り、のれん償却などを含む営業損益は△125億円の赤字に沈んだ。国際事業全体の営業利益は152億円から10億円へ。その穴を、積水ハウス・リート投資法人への物件売却が進んだ都市再開発事業(営業利益+437.7%)と、大阪・渋谷の大型マンションの引渡しが埋め、さらに上に積み上げた。 会社は通期の売上高予想を4兆3,530億円から4兆2,600億円へ930億円引き下げた一方、営業利益3,500億円は据え置き、経常利益と純利益は引き上げている。米国戸建の年間引渡計画は1万1,500戸から9,500戸へ。数字の置き方そのものが、この会社の重心がいまどこにあるかを示している。

売上高

1兆9,656億円
△2.5%国際事業が△20.8%

営業利益

1,803億円
+16.0%営業利益率 9.2%

経常利益

1,690億円
+23.8%為替差益・持分法益が寄与

親会社株主帰属 中間純利益

1,250億円
+23.1%EPS 192円90銭
積水ハウスの決算期 ── 1月決算、今回は「2026年度」の上半期
積水ハウスは1月31日を決算日とする会社です。今回の「2027年1月期 第2四半期(中間期)」は、2026年2月1日から7月31日までの半年間を指します。会社の説明資料ではこの1年を「2026年度」と呼んでおり、決算短信の「2027年1月期」と同じ期間です。3月決算の会社より2か月早く1年が始まるため、同じ「上半期」でも見ている期間が少しずれます。第7次中期経営計画(2026年度〜2028年度)の初年度の折り返しにあたる決算です。
4つの事業モデル ── 請負型・ストック型・開発型・国際事業
積水ハウスは事業を4つの型で括っています。請負型は注文を受けて建てる事業で、戸建住宅、アパートなどの賃貸・事業用建物、建築・土木が入ります。ストック型は建てたあとの建物から収益を得る事業で、賃貸住宅「シャーメゾン」の管理と、戸建・賃貸のリフォームです。開発型は自ら土地を仕入れて開発・販売する事業で、仲介・不動産、分譲マンション「グランドメゾン」、都市再開発(賃貸マンションやオフィスを開発・保有し、投資家やREITに売却する)が入ります。国際事業は米国の戸建住宅・コミュニティ開発・賃貸住宅開発と、豪州・シンガポールなどの事業です。型ごとに利益の出方がまったく違い、請負型とストック型は毎年の変動が小さく、開発型と国際事業は物件の売却時期によって大きく振れます。
都市再開発の利益 ── 物件をREITへ売ったときにまとめて出る
都市再開発事業は、都市型の賃貸マンションなどを開発して一定期間保有し、入居が安定した段階で売却して利益を確定させる事業です。売却先の中心はグループの積水ハウス・リート投資法人です。今回の中間期は、東京都世田谷区の「プライムメゾン用賀砧公園」など6物件の売却が進み、営業利益が50億8,600万円から273億5,200万円へ5倍強に増えました。この種の利益は、売却した期に一度に計上されます。会社の通期計画でも都市再開発の営業利益は275億円で、上半期でほぼ使い切った形です(算出の進捗率99.5%)。下半期に同じ規模の上積みを期待する数字ではありません。
「のれん等控除前」の営業利益 ── 米国の買収に伴う償却を分けて見る
積水ハウスは米国で戸建住宅会社を買収しており、買収時に取得した資産や負債を時価で評価し直すPPA(取得原価の配分)を行っています。この結果、のれんや商標権の償却、評価替えした棚卸資産の原価計上といった、現金の出入りを伴わない費用が毎期の営業利益を押し下げます。会社は米国戸建の実力を見るために、これらを除いた「のれん等控除前」の営業利益を併記しています。今回の中間期は、控除前が38億円(前年同期191億円)、控除後が△125億円(同△29億円)でした。控除前でも前年から152億円減っており、償却の重さだけで赤字になったわけではありません。
D/Eレシオとハイブリッド社債 ── 借入の重さを測る物差し
D/Eレシオは有利子負債を自己資本で割った値で、1倍なら借入と自己資本が同じ大きさという意味です。積水ハウスの中間期末は0.85倍(前期末0.88倍)でした。会社は、発行済みのハイブリッド社債(借入でありながら一部を資本とみなせる社債)の資本性1,000億円を考慮した値も示しており、こちらは0.77倍(同0.80倍)です。不動産を仕入れて売る開発型と国際事業を抱える会社としては、借入の水準は抑えられています。長期格付は日本格付研究所(JCR)がAA、格付投資情報センター(R&I)がAA−、S&PグローバルがBBB+です。

01 ── PERFORMANCE

売上は497億円減ったのに、売上総利益は303億円増えた。利益の質が入れ替わった半年

売上高は2兆154億円から1兆9,656億円へ、497億6,400万円の減少。減収の中身はほぼ国際事業で、同事業の売上は6,143億円から4,863億円へ1,280億円減った。国内の事業だけを足すと、むしろ増えている。

ところが売上総利益は3,984億円から4,287億円(+7.6%)へ303億円増えた。売上総利益率は19.8%から21.8%へ2.0ポイント上昇(算出)。利益率の高い都市再開発の物件売却と、分譲マンションの引渡しが売上の中で比重を増し、利益率の低かった米国戸建の売上が縮んだ。売上の構成が変わっただけで、粗利の水準が一段上がった。販売費及び一般管理費は2,429億円から2,484億円へ+2.2%にとどまり、営業利益は1,554億7,300万円から1,803億7,000万円、営業利益率は7.7%から9.2%へ上がった。

経常利益の伸び(+23.8%)が営業利益の伸び(+16.0%)を上回ったのは営業外の改善による。前年同期は20億円近い為替差損を計上していたが、今期は円安で38億円の為替差益に転じた(前年同期比+57億円)。シンガポール事業などの持分法による投資利益は47億円(同+27億円)。一方で支払利息は201億円と12億円増えている。特別利益には投資有価証券の売却益126億円が乗った。

通期予想に対する進捗 ── 利益は折り返し地点を越えた

中間期実績 ÷ 通期修正予想(9月10日公表) / 点線は1年の半分

売上高 売上高 46.1% 46.1% 営業利益 営業利益 51.5% 51.5% 経常利益 経常利益 53.5% 53.5% 親会社株主帰属純利益 親会社株主帰属純利益 55.8% 55.8% 1年の半分=50%
決算短信の中間期実績と修正後の通期予想から算出。売上高の進捗が46.1%にとどまるのは、米国賃貸住宅開発の物件売却(4物件の引渡しは2026年7月に完了、第3四半期に計上予定)が下期に入るため。利益は50%を上回っているが、上半期に都市再開発の売却益が集中した点は差し引いて読みたい。
連結(中間期・百万円)2026年1月期2027年1月期増減額増減率
売上高2,015,4081,965,644△49,764△2.5%
売上総利益398,456428,791+30,335+7.6%
売上総利益率19.8%21.8%+2.0pt(算出)
販売費及び一般管理費242,982248,421+5,439+2.2%(算出)
営業利益155,473180,370+24,897+16.0%
営業利益率7.7%9.2%+1.5pt
営業外収益8,03714,163+6,126+76.2%(算出)
営業外費用26,91025,452△1,458△5.4%(算出)
経常利益136,600169,081+32,481+23.8%
 うち投資有価証券売却益(特別利益)11,59112,643+1,052+9.1%
税金等調整前中間純利益147,802181,382+33,580+22.7%(算出)
親会社株主帰属中間純利益101,603125,053+23,450+23.1%
1株当たり中間純利益156円76銭192円90銭+36円14銭+23.1%(算出)
中間包括利益△19,356158,303+177,659

決算短信の中間連結損益計算書より(百万円未満切捨て)。利益率・販管費と営業外損益の増減率は算出値。中間期の決算短信は公認会計士または監査法人のレビューの対象外。

包括利益が△194億円から+1,583億円へ ── 為替の向きが逆になった

前年の中間期は、円高で海外子会社の資産を円に換算し直した目減り(為替換算調整勘定)が△1,105億円に達し、純利益が出ていながら包括利益はマイナスだった。今期は同じ項目が+431億円に転じ、包括利益は1,583億円になった。会社資料による米ドルの中間期平均レートは149.01円から158.30円。米国に大きな資産を持つ会社なので、為替の振れは純資産に直接響く。今回はそれが追い風に回った半年だった。

02 ── SEGMENT

開発型が+319億円、国際事業が△141億円。営業利益の構成は半年でここまで変わった

事業モデル別に営業利益の増減を並べると、この決算の骨格が見える。開発型は279億6,000万円から598億6,500万円へ+319億円(+114.1%)国際事業は152億3,400万円から10億3,600万円へ△141億円(△93.2%)。ストック型は+66億円、請負型は△12億円。つまり増益幅249億円のほぼ全部を、開発型1つが生み出している。

営業利益の増減 ── 前年中間期1,554億円から当中間期1,803億円へ

単位:百万円 / 事業モデル別のセグメント利益の増減で分解

200,000 150,000 100,000 50,000 0 前年中間期 155,473百万円 請負型 △1,217百万円 ストック型 +6,656百万円 開発型 +31,905百万円 国際事業 △14,198百万円 その他・ +1,749百万円 当中間期 180,370百万円 155,473 △1,217 +6,656 +31,905 △14,198 +1,749 180,370 前年中間期 請負型 ストック型 開発型 国際事業 その他・ 消去 当中間期
決算短信のセグメント別内訳(前年中間期は組替後)から算出。「その他・消去」はその他事業△17と消去又は全社+1,766の合計。各セグメントの金額は百万円未満切捨てのため、増減を積み上げた値(180,368)と連結の営業利益(180,370)は2百万円ずれる。

開発型 ── REITへの6物件売却と、グラングリーン大阪の引渡し

都市再開発事業の売上は356億円から984億円(+176.2%)、営業利益は50億8,600万円から273億5,200万円(+437.7%)。積水ハウス・リート投資法人に「プライムメゾン用賀砧公園」など6物件を売却した。会社は、戦略エリアの良好な売却環境を背景に売却が期初計画以上に進んだとして、通期の売上高と営業利益を上方修正している。マンション事業は売上がほぼ横ばい(△2.3%)ながら、営業利益は85億6,400万円から157億4,200万円(+83.8%)へ。「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」「グランドメゾン渋谷大山町」といった高価格帯の引渡しが計画どおり進み、営業利益率は14.9%から28.0%に跳ねた。仲介・不動産事業も住宅用地を中心とした販売用不動産の売却が進み、+17.2%。

ストック型 ── 入居率98.4%の管理事業が安定して伸びた

賃貸住宅管理事業は売上3,680億円(+2.9%)、営業利益417億4,500万円(+12.7%)。シャーメゾンの入居率は前年同期の97.9%から98.4%へ上がった。空室期間の短縮と、入居者の入れ替え時に設備を更新して賃料を引き上げるバリューアップが効いている。リフォーム事業は売上+12.8%、営業利益+14.8%。補助金を使った断熱改修や省エネ設備の導入提案が伸びた。

請負型 ── 戸建は単価で踏ん張り、利益は横ばい圏

戸建住宅事業は売上2,441億円(△1.1%)、営業利益239億9,000万円(△5.2%)。会社は住宅ローン金利と建設コストの上昇、中東情勢に端を発したインフレで購入者の心理に冷え込みが見えると書きつつ、引合いは概ね安定していたとしている。受注高は2,500億円で+0.8%、1棟あたりの単価は5,642万円から5,846万円に上がった。賃貸・事業用建物は営業利益がほぼ横ばい(+0.1%)、建築・土木は前年の大型工事の反動で減収(△5.0%)ながら、採算のよい追加・変更工事で利益率10.0%を保った。

営業利益の構成 ── 開発型が16.4%から31.0%へ、国際事業は8.9%から0.5%へ

単位:% / 事業モデル4区分の合計に対する比率(その他事業と消去又は全社を除く)

2026年1月期 中間 請負型 45.2%(76,910百万円) 45.2% ストック型 29.4%(50,125百万円) 29.4% 開発型 16.4%(27,960百万円) 16.4% 国際事業 8.9%(15,234百万円) 8.9% 2027年1月期 中間 請負型 39.1%(75,693百万円) 39.1% ストック型 29.4%(56,781百万円) 29.4% 開発型 31.0%(59,865百万円) 31.0% 国際事業 0.5%(1,036百万円) 国際事業 0.5%
請負型 ストック型 開発型 国際事業
決算短信のセグメント別営業利益から算出。4区分の合計は前年中間期170,229百万円、当中間期193,375百万円。ストック型の比率は29.4%で変わらず、請負型と国際事業が縮んだ分を開発型が引き受けた。
セグメント(百万円)売上高
前年中間
売上高
当中間
増減率営業利益
前年中間
営業利益
当中間
増減率利益率
当中間
請負型
戸建住宅247,001244,168△1.1%25,30823,990△5.2%9.8%
賃貸・事業用建物269,956264,951△1.9%36,64236,665+0.1%13.8%
建築・土木158,984151,013△5.0%14,95915,036+0.5%10.0%
ストック型
賃貸住宅管理357,812368,016+2.9%37,03241,745+12.7%11.3%
リフォーム92,885104,766+12.8%13,09215,035+14.8%14.4%
開発型
仲介・不動産200,010211,490+5.7%14,30916,771+17.2%7.9%
マンション57,48656,184△2.3%8,56415,742+83.8%28.0%
都市再開発35,63398,416+176.2%5,08627,352+437.7%27.8%
国際・その他
国際事業614,381486,353△20.8%15,2341,036△93.2%0.2%
その他2,8633,239+13.2%377360△4.3%11.1%
消去又は全社△21,608△22,956△15,133△13,367
連結2,015,4081,965,644△2.5%155,473180,370+16.0%9.2%

決算短信「参考資料 セグメント別内訳」より。当中間期から一部子会社を「その他」から「都市再開発事業」へ移し、全社費用の配分方法も見直したため、前年中間期は組替後の数値。利益率は決算短信の開示値。

03 ── UNITED STATES

米国戸建は引渡1,492戸減で赤字に。ただし受注残は1.8倍、賃貸開発の売却益は第3四半期に入る

米国戸建住宅事業の中間期は、売上高5,032億円から4,135億円(△17.8%)、のれん等控除後の営業損益は△29億円から△125億円。控除前でも191億円から38億円へ落ちた。引渡戸数は6,064戸から4,572戸、受注戸数は6,631戸から5,509戸。1戸あたりの引渡単価は54.0万ドルから55.3万ドルへむしろ上がっているので、落ちたのは値段ではなく戸数だ。

会社の説明は率直だ。米国経済の先行き不透明感で顧客の様子見が続き、利益率とのバランスをとった販売を選んだ結果、引渡戸数が減った。完成在庫の販売に注力し、購入者向けのインセンティブも付けたことで、PPAの影響を除いた売上総利益率も16.6%から15.9%に下がった。立て直しの手として挙げているのは2つ。注文を受けてから建てるBTO(Built-to-Order)への移行と、2026年1月に始動した「One Company」体制のもとでの拠点統廃合と人員削減による経費圧縮で、一般管理費を前期比5,000万ドル程度減らす計画だ。BTOへの移行は数字にも出ていて、戸建の受注残高は前期末の1,308億円(1,329戸)から2,371億円(2,266戸)に増えた。

米国戸建住宅の年間引渡戸数 ── 今期は9,500戸まで下げ、中計最終年に13,600戸を置く

単位:戸 / 塗り=実績、濃色=2026年度修正計画、破線=計画値 / 下段は各年度の売上総利益率

15,000 10,000 5,000 0 2025年度実績 11,712戸 11,712戸 2025年度 実績 粗利率 16.5% 2026年度期初計画 11,500戸 11,500戸 2026年度 期初計画 粗利率 17.0% 2026年度修正計画 9,500戸 9,500戸 2026年度 修正計画 粗利率 16.0% 2027年度中計 12,200戸 12,200戸 2027年度 中計 粗利率 19.0% 2028年度中計 13,600戸 13,600戸 2028年度 中計 粗利率 21.0%
決算説明資料「米国戸建住宅事業における第7次中期経営計画(再掲)」より。売上総利益率はPPAによる影響および連結調整を除く会社開示値。受注戸数の計画も期初12,500戸から修正後9,571戸へ下がった。2027年度と2028年度は2026年3月公表の中計数値のままで、今回は見直されていない。

通期の修正計画は、売上高8,735億円(前年度比△13.1%)、のれん等控除前の営業利益173億円(△56.2%)、控除後の営業損益は△152億円。期初計画比では米国戸建だけで営業利益を168億円押し下げている。ここで気になるのは中計との距離だ。2028年度に引渡13,600戸・売上総利益率21.0%・営業利益率9.6%という目標は据え置かれた。今期の9,500戸・16.0%・2.0%から、2年で戸数を4割以上増やし、粗利率を5ポイント上げる道筋になる(算出)。

米国の中でも明るい事業はある。コミュニティ開発事業(宅地を造成して住宅会社などに販売する事業)は、2025年に取得した物件の寄与もあって売上467億円(+68.2%)、営業利益111億円(+22.7%)。賃貸住宅開発事業は前年同期の物件売却の反動で中間期は売上158億円(△71.4%)にとどまったが、シアトルの「The Ayer」、サンディエゴの「West」の住宅部分など4物件の売買契約を結び、7月に引渡しを終えている。この収益は第3四半期に計上される予定で、通期計画は売上高2,584億円、営業利益369億円。国際事業の受注残高が2,951億円から6,034億円(+104.5%)へ倍増したのは、この売却契約と、戸建のBTO移行による受注残の積み上がりが重なったためだ。

国際事業は、下期に470億円を稼ぐ計画

国際事業の通期営業利益計画は480億円。中間期の実績は10億3,600万円なので、下半期だけで約470億円を積む計算になる(算出)。その柱が第3四半期に計上予定の米国賃貸住宅開発の物件売却で、同事業の通期計画369億円に対し中間期の実績は59億円。売却契約と引渡しはすでに終わっているため、実現の確度は高い部類に入る。一方、米国戸建は下期も赤字の計画で、会社は期初計画比で為替の円安が+34億円の追い風になると見込んでいる。為替が円高に振れれば、この部分は逆に働く。

04 ── GUIDANCE

売上は930億円の下方修正、営業利益3,500億円は据え置き。国内の+165億円で米国の△85億円を吸収

9月10日に修正した通期予想は、売上高4兆2,600億円(前期比+1.5%)・営業利益3,500億円(+2.5%)・経常利益3,160億円(△3.6%)・親会社株主に帰属する当期純利益2,240億円(△3.5%)。3月5日の期初予想と比べると、売上高は930億円減、営業利益は変わらず、経常利益は20億円増、純利益は60億円増。1株当たり当期純利益は336円30銭から345円55銭になった。

営業利益が変わらない理由を、会社は分解して示している。国内事業は期初計画を+165億円上回る見込みで、内訳は都市再開発+125億円、賃貸住宅管理+35億円、建築・土木+30億円、リフォーム+20億円など。ただしこの中には、中東情勢などの市況変化に伴う資材価格高騰の影響△65億円(戸建住宅△30億円、賃貸・事業用建物△35億円)が織り込まれている。国際事業は△85億円で、米国戸建が△168億円、米国賃貸住宅開発が+69億円、コミュニティ開発が△15億円、為替影響が+34億円。これに消去・全社の△80億円を加えて差し引きゼロになる。為替の前提は米ドル145円から155円、豪ドル100円から108円に見直された。

セグメント別の進捗 ── 都市再開発は上半期でほぼ通期分、国際事業はこれから

中間期の営業利益 ÷ 2026年度修正計画の営業利益 / 点線は1年の半分

戸建住宅 戸建住宅 中間期23,990百万円/通期計画495億円=48.5% 48.5% 賃貸・事業用建物 賃貸・事業用建物 中間期36,665百万円/通期計画765億円=47.9% 47.9% 建築・土木 建築・土木 中間期15,036百万円/通期計画215億円=69.9% 69.9% 賃貸住宅管理 賃貸住宅管理 中間期41,745百万円/通期計画750億円=55.7% 55.7% リフォーム リフォーム 中間期15,035百万円/通期計画300億円=50.1% 50.1% 仲介・不動産 仲介・不動産 中間期16,771百万円/通期計画320億円=52.4% 52.4% マンション マンション 中間期15,742百万円/通期計画230億円=68.4% 68.4% 都市再開発 都市再開発 中間期27,352百万円/通期計画275億円=99.5% 99.5% 国際事業 国際事業 中間期1,036百万円/通期計画480億円=2.2% 2.2% 1年の半分=50%
決算短信の中間期セグメント利益と、決算説明資料の2026年度修正計画(億円)から算出。国際事業の進捗が2.2%と極端に低いのは、米国賃貸住宅開発の物件売却益を第3四半期に計上する計画のため。都市再開発は通期計画275億円に対し中間期で273億5,200万円に達している。
2026年度 通期計画(億円)売上高
前期実績
売上高
修正計画
期初比営業利益
前期実績
営業利益
修正計画
期初比
戸建住宅4,9645,000±0488495△15
賃貸・事業用建物5,4725,550△200748765△30
建築・土木3,0223,010△150220215+30
賃貸住宅管理7,1267,260△100687750+35
リフォーム1,8792,100+100259300+20
仲介・不動産3,9454,300±0284320±0
マンション1,2281,110±0175230±0
都市再開発1,8031,150+220481275+125
国際事業12,86313,440△840383480△85
その他5970±0510±0
消去または全社△387△390+40△319△340△80
連結41,97942,600△9303,4143,500±0

決算説明資料「2026年度 業績見通し【修正計画】」より。前期実績は組替後。期初比は2026年3月公表の期初計画との差。資料上「-」の項目は±0と表記した。

見落としやすいのは、この予想が下半期の減益を前提にしている点だ。通期予想から中間期実績を差し引くと、下半期の営業利益は1,696億円で前年下期(1,859億円)比△8.8%、経常利益は1,469億円で△23.2%、純利益は989億円で△24.2%になる(いずれも算出)。上半期に都市再開発の売却益が前倒しで出たこと、そして下期の資材高を会社が慎重に見ていることが、この数字の置き方に表れている。上期の進捗が5割を超えたからといって、通期の上振れを当然視できる構図ではない。

05 ── BALANCE SHEET & SHAREHOLDER RETURNS

自己資本比率44.0%、D/Eレシオ0.85倍。配当は145円で15期連続増配の計画、自社株買いは今期見送り

中間期末の総資産は5兆1,153億円で、前期末から1,087億円増えた。増加の中心は販売用不動産で、会社資料では3兆346億円から3兆1,761億円へ1,414億円増。そのうち国際事業が1,233億円を占める。米国で宅地や賃貸物件を仕込んでいる姿がここに出ている。有利子負債は1兆8,817億円から1兆9,156億円へ339億円増えたが、自己資本が2兆1,395億円から2兆2,494億円へ厚みを増したため、D/Eレシオは0.88倍から0.85倍に下がった。自己資本比率は42.7%から44.0%

キャッシュ・フローは前年から様変わりした。営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期の△129億円から+889億円へ、フリー・キャッシュ・フローは△588億円から+566億円へ転じた。現金及び現金同等物の中間期末残高は4,261億円。

株主還元は、1株当たり年間配当145円(中間72円・期末73円の予想)を期初計画から変えていない。前期の144円から1円の増配で、実現すれば15期連続の増配になる。配当性向は42.0%。第7次中計では「中期的な平均配当性向40%以上」「配当金の下限値145円」を掲げており、145円はその下限にあたる。一方で自己株式の取得は、成長投資と財務健全性のバランスを考慮し、今期は見送る方針と明記した。なお、発行済株式数は前期末の6億6,312万株から6億5,158万株へ1,153万株あまり減り、自己株式も1,488万株から318万株へ減っている。前期までに取得した自己株式を消却したとみられる(推測)。

財政状態(億円)2026年1月末2026年7月末
総資産50,06651,153
 うち販売用不動産30,34631,761
有利子負債18,81719,156
純資産21,88223,029
自己資本21,39522,494
自己資本比率42.7%44.0%
D/Eレシオ0.88倍0.85倍
同 ハイブリッド社債考慮後0.80倍0.77倍
還元・経営指標2025年度2026年度計画
1株当たり年間配当144円145円
 うち中間配当72円72円(実績)
配当性向40.2%42.0%
自己株式取得見送り
ROE11.3%10.1%
中間期 営業CF△129億円889億円
中間期 フリーCF△588億円566億円

決算短信・決算説明資料・決算補足資料より。億円表示は百万円の開示値を切り捨て。販売用不動産・有利子負債・D/Eレシオ・キャッシュ・フローは会社資料の開示値。中間期CFの左列は前年同期。ROEは通期の計画値で、第7次中計の最終年度(2028年度)は12%後半を目標としている。

ROEは11.3%から10.1%へ下がる計画

今期のROE計画は10.1%で、前期の11.3%から1.2ポイント下がる。純利益が△3.5%の予想であるうえ、自己資本は円安の換算差と利益の積み上げで膨らんでいく。自社株買いを見送れば、分母はさらに厚くなる。中計の最終年度に「12%後半」へ上げる道筋では、米国戸建に置いた営業利益率9.6%への回復が大きな柱になる。今期の還元の判断は、その成長投資に資金を回すという意思表示でもある。

06 ── SUMMARY

国内の稼ぐ力で最高益を出し、米国の立て直しに時間を買った半年

評価できる点

  • 営業・経常・中間純利益が中間期として過去最高。営業利益率は7.7%→9.2%
  • 売上総利益率が19.8%→21.8%。減収でも粗利は303億円増えた。
  • 都市再開発とマンションで開発型の営業利益が2.1倍。売却が期初計画以上に進んだ。
  • 賃貸住宅管理は入居率98.4%、営業利益+12.7%。景気に左右されにくい柱が育っている。
  • 米国賃貸住宅開発は4物件の売却と引渡しを終え、第3四半期に計上予定。
  • 営業CFが△129億円→+889億円。D/Eレシオは0.85倍へ低下。
  • 配当145円で15期連続増配の計画を維持。

留意しておきたい点

  • 米国戸建は引渡4,572戸(△1,492戸)で営業損益△125億円。通期も△152億円の計画。
  • 米国戸建の年間引渡計画を11,500戸→9,500戸へ下方修正。中計の13,600戸は据え置き。
  • 都市再開発は上半期で通期計画の99.5%を計上済み。下期の上積みは小さい。
  • 国内請負型に資材価格高騰△65億円を織り込んだ。中東情勢しだいで上下する。
  • 通期予想は下半期の営業利益△8.8%・純利益△24.2%を前提にしている(算出)。
  • ROEは11.3%→10.1%へ低下の計画。自社株買いは今期見送り。
  • 米国資産が大きく、為替が利益と純資産の両方を動かす。

この半年の積水ハウスを数字で言い直すと、国際事業が失った141億円を、国内の開発型が319億円で埋めたということになる。都市再開発で積水ハウス・リート投資法人へ6物件、マンションでグラングリーン大阪とグランドメゾン渋谷大山町。国内で仕込んできた不動産が、ちょうど米国の失速と同じ時期に利益へ変わった。売却の時期を選べる事業を複数持っていることが、この会社の決算を安定させている。

ただ、それは米国の問題が解けたことを意味しない。米国戸建は引渡戸数を落としてでも利益率を守る方針を選び、それでも粗利率は下がった。今期の引渡計画を2,000戸減らしながら、2年後の13,600戸・営業利益率9.6%という目標は変えていない。BTOへの移行で受注残は1.8倍に積み上がり、一般管理費も5,000万ドル程度削る。手は打っているが、その効果が出るかどうかは、米国の住宅ローン金利と購入者の心理という会社の外にある要因に左右される。

次の決算で確かめたい点は3つある。米国賃貸住宅開発の売却益が計画どおり第3四半期に入り、国際事業の営業利益が480億円の計画に向けて動き出すか。米国戸建の受注戸数が、BTOへの移行とともに下げ止まるか。そして、国内で織り込んだ資材高△65億円が、下期にどこまで膨らむか、あるいは縮むか。15期連続の増配を掲げながら自社株買いを止めた判断が正しかったかどうかは、この3つの答えで決まる。

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