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EARNINGS REVIEW

サンリオ

2027年3月期 第1四半期 決算レビュー

証券コード 8136(東証プライム)対象期間 2026年4月〜6月決算発表 2026年8月10日

売上高520億円、営業利益224億円。どちらも第1四半期として過去最高で、Q1ベースの増収増益は6期連続になった。ただし数字の伸び方はそろっていない。売上が+20.7%なのに対して営業利益は+11.1%で、伸び率がほぼ半分に落ちている。 この段差の大半は、事業が失速したせいではない。サンリオの海外子会社は12月決算で、日本の親会社と3か月ずれている。そのズレを連結でならす調整額が、前年は営業利益を20億円押し上げ、今期は3億円押し下げた。会社がそれを外して開示している調整後営業利益で見ると、220億円の+21.8%。売上とほぼ同じ歩幅になる。

売上高

520億円
+20.7%Q1として過去最高

営業利益

224億円
+11.1%利益率 43.1%

調整後営業利益

220億円
+21.8%決算期ズレを除いた実力値

親会社株主帰属 四半期純利益

155億円
+9.3%EPS 12円80銭
調整後営業利益とは ── この決算を読むうえで最初に押さえる指標
日本の親会社は3月期、海外子会社はすべて12月期です。日本の会計基準では親子で決算期が3か月までずれることが認められており、サンリオはこの形をとっています。連結するときは、子会社が親会社へ払うロイヤリティの計上期間が親側とずれるため、金額に大きな食い違いが出た場合は監査法人と協議のうえで子会社の売上原価を調整します。この調整を反映する前の営業利益が調整後営業利益です。近年は北米・中国・欧州のライセンス取引が伸びて調整額そのものが大きくなったため、実態を映す数字として会社が別建てで開示するようになりました。決算短信では「連結子会社の決算期相違による連結調整前営業利益」という名前で同じ数字が載っています。
貢献利益とは ── 海外セグメントの実力を測るサンリオ独自の指標
海外子会社はライセンス収入の約半分を、著作権を持つ日本の親会社にロイヤリティとして支払います。この支払いは子会社の売上原価になるので、海外セグメントの営業利益はその分だけ薄く見えます。逆に日本セグメントには、海外から入ってくるロイヤリティが売上として乗ります。そこで会社は、海外子会社の営業損益に本社へのロイヤリティ支払額を足し戻し、日本からは海外分のロイヤリティ収入を引いた数字を貢献利益と呼び、地域ごとの価値創造額を見る物差しにしています。報告セグメントの営業利益とは金額が大きく違いますが、どちらが正しいという話ではなく、見ている角度が違います。
海外の第1四半期は1〜3月 ── 日本と3か月ずれている
決算短信に明記されているとおり、すべての海外連結子会社の決算期は1月〜12月です。したがって今回の第1四半期に取り込まれている海外分は、2026年1月〜3月の業績になります。日本セグメントだけが2026年4月〜6月です。同じ「4-6月期」の話として海外の数字を読むと時期を取り違えるので、地域別を見るときは頭に入れておく必要があります。為替も同様で、期中平均は1米ドル152円→156円、1ユーロ160円→183円、1人民元20.9円→22.5円と、いずれも円安方向に動きました。
物販とロイヤリティ ── 売上の半分がライセンス料
サンリオの連結売上は、店舗やECで商品を売る物販その他と、キャラクターの使用許諾で受け取るロイヤリティの二階建てです。今1Qの外部顧客向け売上でみると、物販その他が251億円、ロイヤリティが268億円。ロイヤリティ比率は51.6%で、前年の50.6%からさらに上がりました(算出)。ロイヤリティは原価がほとんどかからないため、この比率が高いほど利益率が上がります。営業利益率43.1%という、小売業ではまず出ない水準はここから来ています。
1株を5株に分割した ── 配当69円が16円に見える理由
サンリオは2026年4月1日付で普通株式1株を5株に分割しました。株数が5倍になるので、1株あたりの金額はすべて5分の1の水準に置き換わります。前期の年間配当69円は分割前の実額で、分割後のものさしに直すと13円80銭(算出)。今期予想の16円は、そこから約16%の増配ということになります(算出)。1株当たり四半期純利益12円80銭も、前期の期首に分割があったものとして計算し直された数字で、前年同期の11円96銭と直接比べられます。
元常務をめぐる調査と訴訟 ── 損益の外側で進んでいること
2026年5月29日、サンリオは常務取締役による不適切な報酬受給の疑いについて、特別調査委員会から調査報告書を受領したことを公表しました。会社は事実関係の特定と原因分析を受けてグループ全体のガバナンス強化策を策定し、順次実行しているとしています。さらに2026年7月30日、当社元常務取締役に対する損害賠償請求訴訟を提起したことも開示されました。この件に関連する費用は営業外費用に「特別調査関連費用」として計上されていますが、営業外費用の合計そのものが当1Qで4億3千万円ほど(算出)にとどまり、経常利益への影響は限定的です。数字より、再発防止策が実際に回るかどうかを見る話になります。

01 ── PERFORMANCE

売上+20.7%、営業利益+11.1%。開いた9.6ポイントの中身は、原価と販管費の両方にある

売上高520億3,500万円は前年同期の430億9,700万円から89億円の増加。営業利益は201億9,800万円から224億3,500万円へ22億円増えた。経常利益226億円、親会社株主に帰属する四半期純利益155億円。すべて第1四半期として過去最高になる。

気になるのは利益率だ。売上総利益率は80.7%から78.2%へ2.5ポイント、営業利益率は46.9%から43.1%へ3.8ポイント下がっている。売上原価が83億円から113億円へ+36.3%、販売費及び一般管理費が145億円から182億円へ+25.3%(いずれも算出)。どちらも売上の伸び+20.7%を上回った。

売上高と営業利益 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 2026年3月期1Q vs 2027年3月期1Q

600 400 200 0 430 520 201 224 売上高 +20.7% 営業利益 +11.1%
2026年3月期1Q 2027年3月期1Q
決算短信の百万円単位の開示値を億円に丸めて表示(売上高43,097→52,035百万円、営業利益20,198→22,435百万円)。両者を同じ軸で描いているため、営業利益の棒は小さく見える。
連結(2026年4-6月)前年同期実績増減率
売上高43,097百万円52,035百万円+20.7%
売上総利益34,765百万円40,683百万円+17.0%
売上総利益率80.7%78.2%△2.5pt
販売費及び一般管理費14,567百万円18,248百万円+25.3%(算出)
営業利益20,198百万円22,435百万円+11.1%
営業利益率46.9%43.1%△3.8pt
調整後営業利益18,126百万円22,077百万円+21.8%
EBITDA20,829百万円23,348百万円+12.1%
経常利益20,205百万円22,624百万円+12.0%
親会社株主帰属四半期純利益14,190百万円15,516百万円+9.3%
1株当たり四半期純利益11円96銭12円80銭+7.0%(算出)
四半期包括利益11,755百万円16,619百万円+41.4%

EBITDAは営業利益に減価償却費を加えた値で、決算説明資料の開示による(減価償却費は631→913百万円)。1株当たり四半期純利益は、2026年4月1日付の1株→5株の分割が前期首にあったものとして両期とも算定されている。

包括利益だけが+41.4%と跳ねている理由

四半期純利益155億円に対して、包括利益は166億円で+41.4%。差を作っているのは為替換算調整勘定で、前年の△22億円から当期は+14億円へ36億円動いた。海外子会社の資産・負債を円に換算し直すときに出る差額で、損益計算書の利益とは別枠で純資産に積まれる。円安が進んだ期に増える性質のもので、事業が急によくなったという話ではない。

02 ── ADJUSTMENT

営業利益と調整後営業利益の差が、前年の+20億円から今期は△3億円へ。ここが伸び率の段差を作った

サンリオの連結営業利益には、親会社(4-3月)と海外子会社(1-12月)の期間差を埋めるための調整が入っている。前年同期はこの調整が営業利益を20億7,200万円押し上げ、今期は逆に3億5,800万円押し下げた(いずれも算出)。振れ幅は24億円。営業利益の増加額22億円とほぼ同じ規模になる。

つまり、営業利益+11.1%という数字は、事業の勢いに調整の振れが重なった結果だ。調整を外した調整後営業利益は181億円から220億円へ+21.8%で、売上の+20.7%とほぼ並ぶ。会社が説明資料の1ページ目でこの指標を前に出しているのは、そのためである。ちなみに調整後営業利益率は42.1%から42.4%へ、わずかに上がっている(算出)。

営業利益と調整後営業利益 ── 伸び率が倍ちがう

単位:億円 / 調整後=決算期相違による連結調整を反映する前の営業利益

250 200 150 100 50 0 201 224 181 220 営業利益 調整後営業利益 +11.1% +21.8%
2026年3月期1Q 2027年3月期1Q
決算短信および決算説明資料の開示値(営業利益20,198→22,435百万円、調整後営業利益18,126→22,077百万円)を億円に丸めて表示。調整後営業利益は決算短信では「連結子会社の決算期相違による連結調整前営業利益」として同額が記載されている。

この調整は通期でも効いてくる

会社の通期見通しは、営業利益895億円(+15.0%)に対して調整後営業利益888億円(+13.2%)。前期は営業利益778億円に対して調整後784億円だった。つまり通期では調整が営業利益を前期は6億円引き下げ、今期は7億円引き上げる形で置かれている(算出)。四半期ごとの振れは大きいので、1Qだけを取り出して前年と比べる読み方は、この会社では外しやすい。四半期の実力を見るなら調整後で追うほうが安全になる。

03 ── SEGMENT

売上は5地域すべて増収。ただしセグメント利益は北米△19.9%、アジア△4.9%で二極化した

報告セグメントは日本・欧州・北米・南米・アジアの5つ。外部顧客への売上高は日本294億円(+20.2%)、アジア120億円(+19.8%)、北米61億円(+6.0%)、欧州33億円(+56.0%)、南米10億円(+70.0%)で、全地域が伸びた。伸び率でいちばん高いのは南米、次いで欧州。金額で最大の増加は日本の49億円になる。

ところがセグメント利益は割れる。日本149億円(+25.0%)と欧州8億円(+38.9%)が伸びた一方、北米は27億円から22億円へ△19.9%、アジアは57億円から55億円へ△4.9%。会社は北米について「売上高は増加したもののマーケティング費用等の増加により減益」、アジアについて「売上高は増加したものの販売費及び一般管理費が増加した」と、いずれも費用を理由に挙げている。

セグメント別の外部顧客向け売上高 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 海外セグメントの対象期間は2026年1〜3月

300 225 150 75 0 244 294 100 120 57 61 21 33 6 10 日本 アジア 北米 欧州 南米 +20.2% +19.8% +6.0% +56.0% +70.0%
2026年3月期1Q 2027年3月期1Q
決算短信のセグメント注記(外部顧客への売上高、百万円)を億円に切り捨てて表示。増減率は決算短信の記載値。日本セグメントには海外子会社から受け取るロイヤリティは含まれない(連結消去のため)。
セグメント外部売上(前年)外部売上(当期)前年比利益(前年)利益(当期)前年比
日本24,46829,420+20.2%11,92714,915+25.0%
アジア10,06512,061+19.8%5,7945,510△4.9%
北米5,7886,133+6.0%2,7502,202△19.9%
欧州2,1453,346+56.0%616855+38.9%
南米6311,073+70.0%251280+11.7%
調整額△1,141△1,330
連結43,09752,035+20.7%20,19822,435+11.1%

単位:百万円。決算短信のセグメント注記より。当1Qから、従来「調整額」に含めていた社長室に係る費用を日本セグメントに含める変更があり、前年同期は組み替え後の数値。売上のうちロイヤリティは、外部顧客向けで21,826→26,838百万円(+23.0%)、物販その他が21,271→25,197百万円(+18.5%・算出)。

貢献利益で見ると、4地域すべてが増益になる

報告セグメントの利益は、海外子会社が本社に払うロイヤリティを原価として引いた後の数字だ。これを足し戻した貢献利益では、絵が変わる。日本38億円→54億円(+43.5%)、アジア80億円→91億円(+13.7%)、米州48億円→52億円(+7.1%)、欧州15億円→23億円(+56.6%)。北米を含む米州も、アジアも増益になる。

報告セグメントで北米が減益に見え、貢献利益では増益になるのは、ロイヤリティの計上期間の食い違いが北米に集中しているからだ。会社は「事業基盤の強化に向けた人件費等の販管費増も、円安効果もあり増益」と説明している。どちらの見方が正しいかではなく、報告セグメントは会計上の姿、貢献利益は事業の姿、と割り切って両方見るのが実際的だと思う。

地域別の貢献利益 ── 本社へのロイヤリティ支払いを足し戻した実力値

単位:億円 / 日本は海外からのロイヤリティ収入を控除した後

100 75 50 25 0 38.2 54.9 80.8 91.9 48.9 52.3 15.1 23.6 日本 アジア 米州 欧州 +43.5% +13.7% +7.1% +56.6%
2026年3月期1Q 2027年3月期1Q
決算説明資料P.3の開示値(百万円)を億円に換算。4地域の単純合計は前年18,305・当期22,277百万円で、開示された合計18,126・22,077百万円との差△179・△200百万円は調整分(算出)。貢献利益の合計は調整後営業利益と一致する。

04 ── JAPAN

日本の伸びを作ったのはロイヤリティ。63億円から90億円へ+43.2%

日本セグメントの売上高(内部取引を含む報告ベース)は316億円から385億円へ+21.8%。内訳を開くと、物販が147億円→166億円、ロイヤリティが63億円→90億円、サンリオエンターテイメント(ピューロランドとハーモニーランド)が41億円→50億円、その他が63億円→76億円になる。増加額69億円のうち27億円がロイヤリティで、いちばん大きい(算出)。

物販は客数が押し上げた。国内のサンリオショップ直営店・委託店・消化店の合計で、客数が前年同期比+17%。会社はインバウンド売上比率が中国からの渡航者減少で下がった一方、日本人顧客の来店が増えたと説明している。訪日客に頼った伸びではない、という点はこの四半期の日本を読むうえで効いてくる。

テーマパークは2つ合わせて客数51万4千人、前年から3万4千人増えて+7%。ピューロランドは平日の来場も伸びて第1四半期として過去最高の来場者数になった。ハーモニーランドは35周年イベントを回した一方、人員体制の強化と修繕で販管費が増えている。

日本セグメントの売上内訳

単位:億円 / 報告セグメントの売上高(内部取引を含む)

400 300 200 100 0 147 63 166 90 316 384 2026年3月期1Q 2027年3月期1Q +21.8%
物販 ロイヤリティ サンリオエンターテイメント その他
決算説明資料P.5の開示値(百万円)を億円に換算。「その他」には本社コスト、海外子会社から本社に支払われたマスターライセンス料の控除分、国内連結子会社が含まれる。積み上げの合計は前年31,600→当期38,477百万円。

キャラクター側で起きていたこと

  • 30周年の『ポムポムプリン』が「サンリオキャラクター大賞2026」で1位。大賞の総得票数は過去最多の7,064万票
  • SNSとYouTubeのフォロー数がグローバル合計で1億を超えた。
  • 会員サービス「Sanrio+」の会員数は6月末で約348万人。3月末から22万人増えた。
  • ライセンスは家庭雑貨を軸に、カプセルトイ・菓子食品・雑貨まで広がり、ライセンシーあたりの収益性も上がった。

05 ── COST

販管費は145億円から182億円へ+25.3%。ただし約20億円は2Q以降に期ずれする

販売費及び一般管理費の増加額は36億8,100万円。売上の伸びを上回ったので、売上に対する販管費比率は33.8%から35.1%へ1.3ポイント上がった。中身で最も大きいのは人件費で、54億9,900万円から65億3,200万円へ10億3,300万円の増加(+18.8%・算出)。会社は事業基盤の強化・拡大のための人件費と、グローバルで幅広いキャラクターを浸透させるための戦略的マーケティング投資を理由に挙げている。

ここで1つ、次の四半期の見え方に効く注記がある。会社は1Qで計上を想定していた販管費のうち約20億円が2Q以降に期ずれすると書いている。裏を返せば、1Qの営業利益224億円には本来この四半期に出るはずだった費用20億円が乗っていない。会社自身が「想定よりは若干上振れ」と表現しているのはこの意味で、通期の販管費見通しに変更はない。

販売費及び一般管理費の内訳前年同期当1Q増減増減率(算出)
人件費5,4996,532+1,033+18.8%
諸経費3,5124,674+1,162+33.1%
使用資産費1,9682,558+590+30.0%
販売費1,6141,940+326+20.2%
宣伝費1,2821,616+334+26.1%
物流費689925+236+34.3%
販管費 合計14,56718,248+3,681+25.3%

単位:百万円。決算説明資料P.13の内訳より。各項目は百万円未満切り捨てのため、内訳の単純合計(14,564/18,245)は合計欄と3百万円ずれる。売上に対する販管費比率は33.8%→35.1%。

売上原価の増え方は、決算期ズレの調整とつながっている

売上原価は83億3,100万円から113億5,200万円へ+36.3%(算出)。売上総利益率が2.5ポイント下がったのはこのためだ。物販とロイヤリティの構成で言えば、原価のかからないロイヤリティの比率はむしろ50.6%から51.6%へ上がっているので、構成の悪化だけでは説明がつかない。会社の説明どおり、決算期相違に基づく子会社の売上原価の調整がここに乗っている。調整後営業利益が売上並みに伸びている事実と合わせて読むと、粗利率の低下を事業の採算悪化と受け取るのは早い。

06 ── GUIDANCE

通期は据え置き。営業利益895億円に対して1Qの進捗は25.1%で、ちょうど4分の1に乗せた

2027年3月期の通期見通しは、6月23日に公表した売上高2,298億円(+18.4%)、営業利益895億円(+15.0%)、経常利益902億円(+13.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益638億円(+16.8%)から変更なし。調整後営業利益888億円(+13.2%)も同じだ。前提為替は1米ドル155円、1ユーロ185円、1人民元22.5円。

1Qの進捗率は売上22.6%、営業利益25.1%、経常利益25.1%、純利益24.3%(いずれも算出)。売上だけ25%に届いていないが、これは会社の想定でもある。第2四半期累計の見通しは売上1,072億円・営業利益423億円なので、差し引いた2Q単独の想定は売上551億円・営業利益198億円。1Qの224億円より26億円少ない置き方になっている(算出)。1Qに乗らなかった販管費20億円が2Qに回ることを踏まえると、この置き方はつじつまが合う。

通期見通しに対する第1四半期の進捗率

単位:% / 点線=1年の1/4(25%)

25%(1年の1/4) 売上高 営業利益 調整後営業利益 経常利益 親会社株主帰属利益 22.6% 25.1% 24.9% 25.1% 24.3%
第1四半期実績÷通期見通しの算出値。売上52,035÷229,800、営業利益22,435÷89,500、調整後営業利益22,077÷88,800、経常利益22,624÷90,200、親会社株主帰属利益15,516÷63,800(いずれも百万円)。
2027年3月期前期実績2Q累計予想通期予想通期の前期比
売上高194,088107,200229,800+18.4%
売上総利益150,062178,600+19.0%
売上総利益率77.3%77.7%+0.4pt
営業利益77,85942,30089,500+15.0%
営業利益率40.1%38.9%△1.2pt
調整後営業利益78,45342,40088,800+13.2%
経常利益79,33542,60090,200+13.7%
親会社株主帰属当期純利益54,60830,60063,800+16.8%
1株当たり当期純利益25円24銭52円62銭

単位:百万円(1株当たりを除く)。決算短信および決算説明資料P.15より。2Q累計予想の前年同期比は売上+22.3%、営業利益+8.0%、経常利益+7.3%、純利益+11.2%。前提為替は155円/USD・185円/EUR・22.5円/CNY(前期実績150円・169円・20.9円)。

見通しを読むときの前提

  • 通期の営業利益率は前期の40.1%から38.9%へ、1.2ポイント下がる想定で置かれている。マーケティング投資と人件費の増加を織り込んだ計画。
  • 前提為替は155円/USD・185円/EUR。1Qの実績平均は156円・183円で、ほぼ前提どおり。ここから円高に振れれば海外の円換算額は目減りする。
  • 海外子会社の1Qは1〜3月。4月以降の関税や中国の消費動向は、まだ数字に入っていない部分がある。
  • 中国は前年同期にロイヤリティ計上の期ずれによる一時的な上振れがあり、見かけの成長率は弱含むと会社自身が説明している。
  • 1Qで計上予定だった販管費約20億円が2Q以降にずれる。通期の販管費見通しは変えていない。

07 ── BALANCE SHEET

ネットキャッシュは1,235億円へ120億円増加。自己資本比率65.9%

6月末の総資産は2,477億円で、3月末から130億円の増加。増えたのはほぼ現金及び預金で、1,254億円から1,360億円へ106億円積み上がった。負債側は843億円で56億円の増加。支払手形及び買掛金が20億円、契約負債が18億円増えた一方、未払法人税等が45億円減っている。

有利子負債は139億円から125億円へ減り、現預金から差し引いたネットキャッシュは1,114億円から1,235億円へ120億円増えた(会社開示値)。純資産は1,633億円で74億円の増加。自己資本比率は66.4%から65.9%へ0.5ポイント下がったが、これは分母の総資産が増えたことによる。無借金に近い状態で、投資の余地は広い。

財政状態3月末6月末
総資産2,346億円2,477億円
現金及び預金1,254億円1,360億円
固定資産661億円685億円
有利子負債139億円125億円
ネットキャッシュ1,114億円1,235億円
純資産1,559億円1,633億円
政策保有株式73億円74億円
自己資本比率66.4%65.9%
配当・その他前期今期
中間配当31円00銭8円00銭
期末配当38円00銭8円00銭
年間配当69円00銭16円00銭
分割調整後の前期年間配当13円80銭
実質の増配率(算出)+15.9%
減価償却費(1Q)631百万円913百万円
期中平均株式数(1Q)11.87億株12.12億株
政策保有株式/純資産4.7%4.6%

財政状態は決算説明資料P.14および決算短信より。ネットキャッシュは現金及び預金から有利子負債(転換社債型新株予約権付社債を含む)を差し引いた会社開示値。前期の配当69円は2026年4月1日付の1株→5株分割前の実額で、分割調整後は13円80銭(算出)。今期予想16円は配当予想の修正なし。期中平均株式数は分割調整後。

08 ── SUMMARY

キャラクターの人気が売上に変わる回路は動いている。次に見るのは、費用が乗ったあとの2Q

評価できる点

  • 売上520億円・営業利益224億円でどちらもQ1として過去最高。Q1の増収増益は6期連続。
  • 決算期ズレを外した調整後営業利益は+21.8%で、売上の+20.7%と歩幅がそろっている。
  • 外部売上は5地域すべてが増収。欧州+56.0%、南米+70.0%と、日本以外の裾野が広がった。
  • 貢献利益ベースでは4地域すべて増益。日本+43.5%、欧州+56.6%。
  • 日本の物販は客数+17%。インバウンド比率が下がるなかで日本人顧客が増えた。
  • ロイヤリティ比率が51.6%へ上昇(算出)。原価のかからない収益が過半を占める。
  • ネットキャッシュ1,235億円、自己資本比率65.9%。実質無借金。

留意しておきたい点

  • 営業利益率が46.9%から43.1%へ3.8ポイント低下。通期見通しでも38.9%まで下がる想定。
  • 報告セグメントの利益は北米△19.9%・アジア△4.9%。費用先行の局面に入っている。
  • 1Qの利益には、2Qへ期ずれした販管費約20億円が乗っていない。2Q単独の会社想定は198億円で1Qより26億円少ない(算出)。
  • 中国は前年同期にロイヤリティ計上の期ずれによる上振れがあり、成長率が見かけ上つぶれる。
  • 海外の1Qは1〜3月。関税や中国の消費環境の変化は反映が遅れて出てくる。
  • 元常務取締役に対する損害賠償請求訴訟を7月30日に提起。ガバナンス再構築は進行中。
  • 売上総利益率は80.7%から78.2%へ。連結調整の影響が大きいとはいえ、原価の増え方は追う必要がある。

この四半期のサンリオは、キャラクターの人気が売上に変換される回路が太くなっていることを示した。ポムポムプリンの30周年、過去最多7,064万票のキャラクター大賞、グローバル1億を超えたSNSフォロワー。それが日本では客数+17%に、欧州ではファストファッションや文具のライセンス契約に、南米では子供服と衛生商品に姿を変えている。ハローキティ1本に寄りかからない構造への移行が、地域別の数字で確認できるようになった。

一方で、この決算は費用の四半期でもある。人件費が10億円、諸経費が11億円増え、販管費比率は1.3ポイント上がった。北米はマーケティング費用で減益、アジアも販管費で減益。会社はこれを将来の利益成長につなげる投資だと説明していて、通期の見通しも変えていない。ただし1Qには本来出るはずだった20億円が乗っていない。費用が予定どおり乗った状態の利益は、次の四半期で初めて見えることになる。

確認したい点は2つ。2Q単独の営業利益が、会社の置いた198億円をどう上回るか。そして、通期の売上進捗22.6%を後半でどう埋めるか。答えは11月の第2四半期決算に出る。

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