EARNINGS REVIEW
2026年8月期 第3四半期 決算レビュー
証券コード 7581(東証プライム)/ 対象期間 2025年9月〜2026年5月(3Q累計)/ 決算発表 2026年7月15日
第3四半期累計は増収増益で、本業のもうけが売上を上回って伸びました。売上高は2,213億円と前年同期を17.5%上回り、 営業利益は25.6%増、経常利益も24.9%増と大きく伸びています。牽引したのは国内で、既存店の客数・客単価が増加し、DX(QR注文)による効率化で日本セグメントの営業利益は約2.2倍に。 あわせて年間配当を30円→35円へ増配する予想も発表しました。一方で、純利益の伸びが営業・経常より鈍い点と、アジアの採算には目配りが要ります。
売上高
営業利益
経常利益
純利益
01 ── PERFORMANCE
営業利益・経常利益はともに前年同期を25%前後上回りました。売上の増加(+17.5%)を利益の伸びが上回っており、規模拡大と同時に稼ぐ効率が高まったことを示しています。ただし最終的な純利益の伸びは+11.8%と、営業・経常より小幅にとどまりました(理由は次章)。
利益の前年同期比較
単位:億円 / 前年同期(2024年9月〜2025年5月)と当期(2025年9月〜2026年5月)の比較
02 ── DRIVERS
増益の主役は国内事業です。日本セグメントの営業利益は前年同期の約2.2倍(+120.7%)へ拡大しました。値上げに頼るのではなく、既存店の客数・客単価の増加と、効率化によるコスト構造の改善が同時に効いています。
国内単体では、売上に対する販売管理費の比率が前年の51.9%から48.7%へ、3.2ポイント改善しました。QRコードと来店客の携帯端末を使った注文方式を2025年12月末に全店へ導入し終え、省人化と接客効率が進んだことが大きな要因です。既存店の客数・客単価が増え、固定費が売上に対して相対的に軽くなったことも寄与しました。この結果、国内単体の営業利益率は2.0%から3.7%へ改善しています。
円安による食材価格の上昇で、国内単体の売上原価率は前年から1.4ポイント悪化しました。それでも、販管費率の3.2ポイント改善がこれを上回り、営業利益率は差し引き1.7ポイント改善。コスト増を効率化で吸収した点に、今四半期の質の高さがあります。
営業利益・経常利益が25%前後の増益だった一方、純利益は+11.8%にとどまりました。営業・本業の実力とは別に、以下の3点が最終利益を圧縮しています。
これらは本業の収益力とは別の一時的・構造的要因です。税引前利益の伸び(+17.5%)まで戻せば、本業の好調さがより明確に見えてきます。
03 ── SEGMENTS
店舗売上の内訳は、実質的に日本が約7割、アジアが約3割です(豪州は食材製造が中心でグループ内取引が大半)。利益面では、アジアの営業利益がグループ最大で、日本がこれに次ぎます。ただし今四半期は、日本・豪州が大幅増益となった一方、アジアは増収でも減益となりました。
店舗売上の構成(日本・アジア)
外部顧客向け売上の比率 / 豪州は食材製造でグループ内取引が中心のため除外
| セグメント | 売上高 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 | 店舗数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 1,498億 | +19.6% | 55.9億 | +120.7% | 1,063 |
| アジア | 715億 | +13.4% | 73.0億 | △6.3% | 675 |
| 豪州 | 98億 | +19.5% | 4.6億 | +70.6% | ― |
アジアは増収(+13.4%)でも営業利益は6.3%減となりました。好調なのは香港(営業利益+20.2%)・シンガポール(+23.5%)・台湾(+10.5%)で、堅調に増収増益です。一方、減益の主因は中国本土で、上海は増収でも営業利益が24億→18億へ約6億円減少、広州も小幅減益となりました。加えて、武漢(中国)・ベトナム・マレーシアといった新規出店エリアが先行投資で赤字を計上し、アジア全体の利益を押し下げています。
当四半期末の総店舗数は前期末から56店増えて1,738店。内訳は国内1,063店・海外675店で、海外比率は38.8%に高まりました。この9か月の純増56店のうち46店が海外で、成長の軸足を海外出店に置いていることがわかります。アジアの一部で出た先行赤字は、この積極出店の裏返しでもあります。
04 ── OUTLOOK
会社が公表する通期予想(〜2026年8月)は、2026年4月に公表した内容から変更していません。第3四半期までで1年の4分の3(75%)が経過しており、その目安に対する進捗率を示したのが下図です。売上・各利益とも73〜74%台で、ほぼ計画どおりに進んでいます。
通期予想に対する第3四半期累計の進捗率
点線 = 1年の4分の3(75%)の目安ライン
3Q累計の純利益が営業・経常より伸び悩んだのは前述の一時要因によるものですが、通期予想に対する進捗率で見ると4指標とも73〜74%台にそろっています。通期の純利益予想(+5.7%)自体が営業利益予想(+17.4%)より控えめに置かれており、会社が最終利益をやや保守的に見込んでいることがうかがえます。
05 ── BALANCE SHEET
総資産は前期末から283億円増えて2,077億円。増加の主因は、店舗や工場への投資による有形固定資産の増加(+171億円)と、手元資金の増加(+47億円)です。自己資本比率は62.9%と高水準を保っています。あわせて、年間配当を前期の30円から35円へ引き上げる増配を発表しました。
総資産に占める返済不要の自己資本の割合。60%超は財務的にかなり安定した水準です。積極出店にともなう資産の増加で前期末(65.0%)からわずかに下がったものの、健全性に懸念はありません。
株主還元の強化として、2026年8月期の年間配当を前期比5円の増配とする予想を発表。配当の実施は、12月開催予定の定時株主総会での承認が条件となります。
| 財政状態(主要項目) | 当3Q末 | 前期末 |
|---|---|---|
| 総資産 | 2,077億円 | 1,794億円 |
| うち有形固定資産 | 855億円 | 684億円 |
| 現金及び預金 | 719億円 | 672億円 |
| 純資産 | 1,314億円 | 1,172億円 |
06 ── SUMMARY
今四半期は、国内の効率化(QR注文の全店導入・既存店の客数客単価増)で足元の利益を伸ばしつつ、海外(中国広州の新工場、武漢・ベトナムなどへの出店)に先行投資を続ける姿が数字に表れました。効率化が生む利益で成長投資をまかなう構図であり、アジアの先行赤字が将来の収益に転じるかが、次の注目点になります。