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AIデータセンターに並ぶGPUサーバーラックのイメージ

EARNINGS REVIEW

NVIDIA(エヌビディア)

2027年1月期 第2四半期 決算レビュー

NASDAQ NVDA / 対象期間 2026年5月〜7月(4月27日〜7月26日) / 決算発表 2026年8月26日(米国時間)

売上高は962億ドル(約15.3兆円)、前年同期比+106%。1年で2倍を超え、営業利益は637億ドルで+124%です。 売上の92%を占めるデータセンター事業が+117%と伸び、成長率の加速は4四半期連続になりました。 次の四半期の売上見通しは1,080億ドル、来期(2028年1月期)は「供給が許す範囲で+70%」と会社が明言しています。 一方、部品の購入約束は3か月で1,190億ドルから2,790億ドルへ膨らみ、OpenAI向けデータセンターに最大1,050億ドルの債務保証を差し入れました。 このレビューでは、①2倍になった売上の中身、②75%という粗利率の持続性、③急拡大する約束と保証、の3つで読み解きます。

売上高

962億ドル
+106%前四半期比 +18%

営業利益

637億ドル
+124%利益率 66.2%(+5.4pt)

データセンター売上

890億ドル
+117%全売上の 92.5%

希薄化EPS(GAAP)

$2.46
+128%非GAAP $2.22(+120%)
NVIDIA(エヌビディア)とは ── AI計算基盤をまるごと売る会社
GPU(画像処理装置)を起点に、いまはAI向けの計算チップ、それをつなぐネットワーク機器、CPU、ソフトウェアまでを一体の「AIファクトリー」として販売する会社です。本社はカリフォルニア州サンタクララ、上場はNASDAQ(ティッカーNVDA)。決算期は1月末で、今回は2027年1月期の第2四半期(4月27日〜7月26日)に当たります。会社は「FY27 Q2」と呼びます。開示区分はデータセンター(クラウド事業者・AI企業・政府向け)とエッジコンピューティング(PC向けGPU、ワークステーション、自動運転、ロボット)の2つです。
Hyperscale と ACIE ── データセンター売上の2つの顧客層
Hyperscale(ハイパースケール)は、Microsoft・Google・Amazonのような巨大クラウド事業者。ACIEは AI Clouds, Industrial, & Enterprise の略で、AI専業クラウド(CoreWeaveなど)、一般企業、政府(ソブリンAI)をまとめた区分です。今四半期はハイパースケールが487億ドル、ACIEが403億ドルで、ACIEの伸び率(+138%)がハイパースケール(+102%)を上回りました。買い手が「一部の巨大企業」から広がっていることを示す数字です。
GAAPと非GAAP ── 保有株式の値上がりを含むか含まないか
GAAPは米国の会計基準どおりの数字、非GAAPは会社が「本業の実力」を示すために一部の損益を除いた数字です。NVIDIAの場合、いちばん大きな差は保有株式の評価益。今四半期は78億ドルの評価益がGAAP純利益に入っています。非GAAP純利益は540億ドルで、これを除いた「実力」でも前年比+118%です。なお今期から非GAAPでも株式報酬費用を除かなくなったので、以前の非GAAP数字より保守的になっています。
コミットメントと保証 ── まだ財務諸表に載っていない「約束」
コミットメントは、将来支払うことを契約した金額です。部品(主にメモリ)の購入約束、クラウドの利用契約、データセンターの賃借契約、出資の約束などが含まれ、合計は3,660億ドル。保証は、取引先が家賃を払えなくなったときに代わりに負担する約束で、最大1,085億ドル。いずれも今日の損益には出ませんが、需要が想定どおり来なかったときの負担になり得るので、この決算では損益計算書と同じくらい注目されています。

01 ── PERFORMANCE

売上は1年で2.06倍。営業利益率は66%に

売上高962億ドルは四半期として過去最高です。前四半期(816億ドル)から3か月で146億ドル増えました。この増分だけで、1年前の四半期売上の3割に相当します。営業利益は637億ドル、営業利益率は66.2%。前年同期の60.8%から5.4ポイント上がりました。研究開発費が+64%、販管費が+21%と費用も増えていますが、売上の伸びがそれをはるかに上回っています。

粗利率は75.0%で、前年同期の72.4%から2.6ポイント改善。前四半期(74.9%)とはほぼ横ばいでした。CFOのコレット・クレス氏は「Blackwell Ultraの構成比が上がったことによる改善」と説明しています。

売上高と営業利益 ── 前年同期との比較

単位:億ドル / 2025年5-7月期 vs 2026年5-7月期

1,000 500 0 467 962 284 637 売上高 営業利益
2025年5-7月 2026年5-7月
決算リリースの百万ドル単位の開示値を億ドルに丸めて表示(売上高46,743→96,221百万ドル、営業利益28,440→63,734百万ドル)。
連結(2026年5-7月・GAAP)実績前年同期比前四半期比
売上高962億ドル+106%+18%
粗利率75.0%+2.6pt+0.1pt
営業費用84億ドル+55%+10%
営業利益637億ドル+124%+19%
純利益597億ドル+126%+2%
希薄化EPS$2.46+128%+3%

純利益だけ前四半期比が+2%と小さいのは、前四半期に159億ドルの株式評価益が乗っていたためです。今四半期の評価益は78億ドル。営業利益で比べれば前四半期比+19%で、売上の伸びと歩調が合っています。

02 ── DATA CENTER

買い手が広がった。ACIEが+138%でハイパースケールを追い抜く

データセンター売上は890億ドル、前年同期比+117%、前四半期比+18%。牽引役はBlackwell Ultraの本格出荷です。内訳を見ると、巨大クラウド事業者向けのハイパースケールが487億ドル(+102%)、AI専業クラウド・企業・政府をまとめたACIEが403億ドル(+138%)。伸び率ではACIEが上回りました。CFOは「AIネイティブ企業、一般企業、ソブリン(政府系)の最終需要に加え、ハイパースケーラー自身がAIクラウドを使う動きもある」と説明しています。

ジェンスン・フアンCEOの言葉を借りれば、「1年前は1つの研究所が投資を引っ張っていた。いまは複数のフロンティア研究所が並行して規模を拡大し、オープンモデルのエコシステムが育ち、フィジカルAIが立ち上がりつつある」。買い手の顔ぶれが増えたことが、この四半期の最大のニュースだと思います。

データセンター売上の内訳 ── 顧客層別・前年同期との比較

単位:億ドル / Hyperscale(巨大クラウド)と ACIE(AIクラウド・企業・政府)

500 250 0 242 487 169 403 Hyperscale(+102%) ACIE(+138%)
2025年5-7月 2026年5-7月
CFOコメンタリーの「Revenue by Market Platform」より。今四半期に1社をACIEからHyperscaleへ組み替えており、前年の数字も同じ基準で組み替え済み。
市場別(2026年5-7月)売上高前年同期比前四半期比
データセンター890億ドル+117%+18%
 うち Hyperscale487億ドル+102%+13%
 うち ACIE403億ドル+138%+25%
エッジコンピューティング72億ドル+27%+13%
合計962億ドル+106%+18%

中国はほぼゼロ。エッジは+27%

中国向けのデータセンター製品(Hopper)の出荷はデータセンター売上の1%未満でした。次の四半期の見通しにも中国向けは一切織り込んでいません。つまりこの成長は、中国抜きで達成された数字です。もう一方のエッジコンピューティングは72億ドルで+27%。Blackwell搭載ワークステーションが好調だった一方、メモリとシステム価格の上昇で消費者向けPCの販売は鈍ったと説明されています。

03 ── PROFITABILITY

粗利率75%は維持。非GAAPでも純利益は2.2倍

NVIDIAの決算で毎回問われるのが、この粗利率がいつまで持つかです。今四半期は75.0%。Blackwellアーキテクチャが売上の大半を占める状態が続いており、前四半期からほぼ変わりませんでした。次の四半期は74.0%(±0.5ポイント)の見通しで、1ポイント下がります。メモリ価格の上昇と新製品Vera Rubinの立ち上げが背景にあると読めますが、それでも7割台半ばです。

純利益597億ドルには、保有株式の評価益78億ドルが含まれています。これを除いた非GAAP純利益は540億ドル、前年比+118%。EPSは$2.22で+120%。評価益を外しても2倍を超える増益で、Alphabetの前四半期のように「純利益の大半が評価益」という構図ではありません。

四半期売上の推移と次期見通し

単位:億ドル / 2027年1月期 第1四半期・第2四半期実績、第3四半期は会社見通し(±2%)

1,200 600 0 816 962 1,080 26年2-4月 5-7月(今回) 8-10月(見通し)
前四半期実績 今四半期実績 会社見通し
実績は決算リリース、見通しはCFOコメンタリー「Outlook」の中央値。見通しは中国向けデータセンター売上をゼロと仮定している。

営業費用は+55%。それでも売上の1割以下

営業費用は84億ドルで前年比+55%。増加の主因は自社の計算インフラ費用と人件費です。金額だけ見ると大きな増加ですが、売上に対する比率は8.7%。前年同期の11.6%から下がっており、費用の増加を売上が完全に吸収しています。次の四半期は約92億ドル(GAAP)の計画です。

04 ── COMMITMENTS

3か月で購入約束が2.3倍。OpenAI向けに最大1,050億ドルの保証

この決算でいちばん読み込む価値があるのは、損益計算書ではなくCFOコメンタリーの「Commitments」の節です。部品や生産能力の購入約束は、前四半期の1,190億ドルから2,790億ドルへ増えました。増加分の大半はメモリの調達です。クラウド利用契約290億ドル、データセンター賃借250億ドル、出資の約束250億ドルなどを加えた合計は3,660億ドル。今四半期の売上の3.8倍に当たる金額を、すでに支払うと約束していることになります。

将来のコミットメント(2026年7月26日時点)

単位:十億ドル / 合計 3,660億ドル

部品・生産能力(主にメモリ) クラウド利用契約 データセンター賃借 出資の約束 設備投資 279 29 25 25 8
CFOコメンタリー「Future commitments by fiscal year」の合計欄。部品・生産能力の約束は前四半期の1,190億ドルから2,790億ドルへ増加。第三者向けに転貸予定のAIクラウド契約360億ドル・賃借200億ドル(別表)は含まない。

PORTS-Pike ── 4.25GW、20年、保証上限1,050億ドル

8月、NVIDIAはSBエナジー(ソフトバンクグループ傘下)がオハイオ州に建設するPORTS-Pikeテクノロジーキャンパスについて、土地・電力・建屋の整備に対する信用補完(保証)を差し入れました。約4.25ギガワットの施設で、20年契約でOpenAIが借り、NVIDIAの機器だけを置きます。保証の上限は合計1,050億ドル。データセンターが稼働可能になるなど条件を満たすごとに段階的に有効になり、最初の発効は2029年1月期の見込みです。OpenAIが賃料を払っていくにつれて保証額は減ります。会社の説明では、この拠点にNVIDIAの機器が1世代入るごとに約150万個のGPU、売上にして1,500億〜2,000億ドルに相当するとのことです。

背景にある事情も率直に書かれています。AIクラウドやモデル開発企業は「バランスシートと信用力が追いつかない速さで成長している」。だから顧客が土地・電力・建屋を確保できるよう、NVIDIAが信用を貸す。同時にApollo、BlackRock、Blackstone、Brookfield、Goldman Sachs、KKRと組み、5,000億ドル超の第三者資金をAIインフラに呼び込む「計算資源ファイナンス」の枠組みも発表しています。自社の財務で抱え込まず、外部資本に肩代わりさせる設計です。

「顧客を支えて、その顧客に売る」構図をどう見るか

出資先や保証先がNVIDIAの製品を買うという流れは、需要の一部を自分で作っているように見えます。説明会でもこの「循環的な資金の流れ」は論点になりました。保証は条件付きで、発効は早くても2029年1月期。損益にすぐ響く話ではありません。ただし、AIクラウドの収益が想定を下回れば、保証の履行や転貸予定の賃借契約(200億ドル)がNVIDIAの負担に変わります。四半期ごとに「Guarantees」の欄を読む習慣をつけておく価値があります。

05 ── BALANCE SHEET

還元は過去最高の260億ドル。社債250億ドルを新たに発行

営業キャッシュフローは241億ドル、フリーキャッシュフローは213億ドルでした。前年同期(135億ドル)からは増えましたが、前四半期の486億ドルからは半減しています。理由は売掛金の増加です。売掛金は631億ドルで、回収までの日数(DSO)は45日から60日に伸びました。CFOは「投資適格の大口顧客との複数四半期にわたる契約で支払い条件を延ばした」と説明しています。在庫も258億ドルから316億ドルに増加。第3四半期に出荷が始まるVera Rubinの準備です。

株主還元は自社株買い197億ドルと配当60億ドルで、合計およそ260億ドル。四半期として過去最高です。自社株買いの残り枠は990億ドル。次回の四半期配当は1株0.25ドルで、10月1日に支払われます。一方で、この四半期に250億ドルの無担保社債を発行しました。長期負債は1月末の75億ドルから324億ドルへ増えています。現金と債券の残高は566億ドルで、還元と投資を進めながらも前四半期の503億ドルから増えました。

財政状態(2026年7月26日)今回2026年1月25日
総資産3,203億ドル2,068億ドル
現金・現金同等物+市場性債券566億ドル497億ドル
市場性株式+非上場株式(出資)939億ドル351億ドル
売掛金631億ドル385億ドル
在庫316億ドル214億ドル
長期負債324億ドル75億ドル
株主資本(自己資本比率)2,290億ドル(71.5%)1,573億ドル(76.1%)

目を引くのは出資の膨らみ方です。市場性株式と非上場株式を合わせた残高は半年で351億ドルから939億ドルへ。CFOコメンタリーによれば投資先は「AIモデル開発企業、インフラの資金提供者、その他の非公開企業」です。総資産は半年で55%増え、うち3割近くが出資という構成になりました。この出資の評価損益が、今後の純利益を四半期ごとに大きく揺らす要因になります。

06 ── OUTLOOK

次期1,080億ドル、来期は「供給が許す範囲で+70%」

第3四半期(8〜10月)の売上見通しは1,080億ドル±2%。今四半期比で+12%です。粗利率は74.0%±0.5ポイント、営業費用はGAAPで約92億ドル。通期の税率は16〜18%の想定です。決算前のアナリスト予想は1,040億ドル前後でしたから、見通しは市場の想定を上回りました。

説明会ではさらに先の数字も出ています。CFOは2028年1月期の売上成長率を+70%と示し、これは「供給制約付き」の見通しだと付け加えました。フアンCEOは「70%成長分の供給は確保している。需要はそれよりずっと大きい」と話しています。2,790億ドルの部品購入約束は、この供給確保の裏付けです。

製品面では、次世代プラットフォームVera Rubinの量産出荷が8月上旬に始まりました。CoreWeave、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle、Nebiusで既にラックが稼働しています。AIエージェント向けCPU「Vera」、推論アクセラレータ「Groq 3 LPX」、ストレージ処理の「BlueField-4 STX」が新しい成長ドライバーとして挙げられました。日本については、政府と産業界と組んで「国家AIインフラ」を立ち上げると発表しています。

株価の反応 ── 発表直後は下落、説明会で反転

決算発表直後の時間外取引で株価は一時1.3%下げました。売上・EPSともに予想を上回っていたにもかかわらず、です。反転したのは説明会でCFOが来期+70%の見通しを口にしてから。終了時点では4.4%高でした。「数字が良いのは織り込み済み。次の物語があるか」を市場が見ていたことが分かる値動きです(Kiplingerのライブ速報より。終値ではありません)。

07 ── SUMMARY

評価できる点と、見ておきたい点

評価できる点

  • 売上+106%、営業利益+124%。成長率の加速は4四半期連続
  • ACIE(AIクラウド・企業・政府)が+138%。買い手が巨大クラウド以外に広がった。
  • 粗利率75.0%を維持。評価益を除く非GAAP純利益でも+118%
  • 中国向けをゼロと置いて、次期1,080億ドル・来期+70%の見通し。Vera Rubin量産開始。

見ておきたい点

  • 部品購入約束が3か月で1,190億→2,790億ドル。需要が鈍れば在庫と減損の火種に。
  • OpenAI向けPORTS-Pikeに最大1,050億ドルの保証。出資先・保証先が顧客という循環構図。
  • 売掛金の回収日数が45日→60日。大口顧客の支払い条件を緩めている。
  • 出資残高939億ドルの評価損益が、四半期ごとの純利益を大きく揺らす。

総括 ── 「売る会社」から「AIインフラを組成する会社」へ

本業の数字に弱点は見当たりません。売上が2倍、利益率は上がり、顧客の幅も広がった。この四半期で変わったのは、NVIDIAが引き受けるリスクの種類です。メモリを2,790億ドル分押さえ、顧客のデータセンターに1,050億ドルの保証を付け、出資残高は939億ドル。チップを売って現金を受け取る商売から、AIインフラ全体の資金繰りを設計する立場へ踏み込みました。来期+70%という見通しが実現するなら、この踏み込みは正しかったことになります。確かめるべきは、売掛金の回収日数と保証の欄。損益計算書の外側にある2つの数字を、次の四半期以降も追っていくのがこの銘柄との付き合い方だと思います。

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