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基板上に整列した積層セラミックコンデンサのマクロイメージ

EARNINGS REVIEW

村田製作所

2027年3月期 第2四半期(中間期) 決算レビュー

証券コード 6981(東証プライム) / 対象期間 2026年4月〜9月 / 決算発表 2026年10月30日

売上収益1兆908億円、営業利益2,459億円。村田製作所の上期(4〜9月)は、売上・営業利益ともに過去最高を更新した。増収率20.8%に対して営業利益は48.9%伸び、利益率は18.3%から22.5%へ上がっている。同じ10月30日、会社は7月に出したばかりの通期営業利益予想を4,300億円から5,200億円へ、わずか3か月で900億円引き上げた。 けん引役ははっきりしている。AIサーバー向けを中心にしたデータセンター需要だ。ただ、数字の中身を追うと論点も残る。ひとつは稼ぎの偏りで、営業利益の実質は電子部品を束ねるコンポーネント事業がほぼ丸ごと生んでおり、デバイス・モジュール事業は上期も営業損益がマイナス圏にとどまった。もうひとつは、上方修正した計画の重心が下期に寄っていること、そして同時に発表した5年で約1兆円というMLCCの能力増強投資が、この先の利益にどう跳ね返るかだ。

売上収益

1兆908億円
+20.8%前年同期比・過去最高

営業利益

2,459億円
+48.9%利益率 22.5%・過去最高

税引前中間利益

2,484億円
+42.1%前年同期比

親会社の所有者に帰属する中間利益

1,862億円
+40.6%前年同期比
積層セラミックコンデンサ(MLCC)とは ── 村田の稼ぎ頭
電気を一時的にためて放出し、電流のノイズや電圧の揺れをならす小さな部品です。米粒よりはるかに小さいものが主流で、スマートフォン1台に1,000個前後、電気自動車には1万個を超えて載ります。AIサーバーは電力の変動が激しいぶん搭載数が多く、村田製作所はこの分野で世界首位。今回のコンデンサ売上6,056億円は、連結売上の55.5%を占めます。今回の決算説明会では、このMLCCの生産能力を2030年度に向けて大きく増やす計画が公表されました。
IFRSの利益区分 ── 経常利益にあたる段階がない
村田製作所はIFRS(国際財務報告基準)を採用しており、日本基準でおなじみの経常利益にあたる段階がありません。並びは営業利益 → 税引前中間利益 → 中間利益で、営業利益の下に金融収益・金融費用が入り、その合計が税引前中間利益になります。中間期とは、通期(1年)の前半6か月(この決算では2026年4月〜9月)を指します。
操業度益とは ── 工場が忙しくなるほど利益率が上がる仕組み
工場の設備や人件費の多くは、生産量が増えても大きくは変わらない固定費です。生産量が増えるとこの固定費が製品1個あたりに薄く割り振られ、原価が下がって利益率が改善します。この効果を操業度益と呼びます。村田製作所が増益要因の筆頭に挙げているのがこれで、上期の生産高は9,090億円から1兆1,080億円へ増えました。売上の伸び20.8%より営業利益の伸び48.9%が大きくなった主な理由がこれです。
BBレシオ(受注比率)とは ── 次の四半期以降の売上の種
受注高を売上高で割った値です。1を超えていれば、売った分より新しく受けた注文の方が多い状態で、先々の売上が積み上がっていく目安になります。1を下回れば逆に注文の消化が先行していることになります。村田の上期BBレシオは1.34で、全社の受注高は過去最高を更新しました。データセンター関連と通信向けが引っ張った形です。
進捗率とは ── 通期予想に対する中間実績の割合
中間期(上期)の実績を通期予想で割った値です。上期と下期が均等なら50%が目安になりますが、季節性や計画の置き方によってずれます。今回は売上収益48.3%、営業利益47.3%(いずれも算出)で、どちらも50%をわずかに下回りました。残りを下期で積む計画になっています。
ROIC(税引後)とは ── 投じた資本がどれだけ利益を生んだか
営業利益(税引後)を、事業に投じている資本(設備・在庫・売掛金などから買掛金を引いたもの)で割った指標です。会社が資産をどれだけ効率よく利益に変えているかを示します。村田は通期のROIC計画を前回の13.9%から16.6%へ引き上げました。利益の増加に加え、資本の使い方の効率も改善する見込みという置き方です。

01 ── PERFORMANCE

増収20.8%を営業利益の+48.9%が追い越した。利益率は18.3%から22.5%へ

上期の売上収益1兆908億円は、前年同期の9,028億円から1,880億円の増加。コンデンサがデータセンターや代理店、モビリティ向けで幅広く伸び、EMI除去フィルタや電源モジュールもデータセンター向けで積み上がった。ここに為替が乗る。対米ドルの平均レートは1ドル146円04銭から159円37銭へ、13円33銭の円安に振れた。会社は為替の影響を除いた増収率を14.2%と開示しており、2割増収のうち6ポイント強は円安によるかさ上げだったことになる。

利益の伸び方に特徴がある。売上が20.8%増えるあいだに、営業利益は1,651億円から2,459億円へ48.9%増えた。売上総利益は3,809億円から4,988億円へ1,179億円の増加で、粗利率は42.2%から45.7%へ3.5ポイント上がっている。生産量が増えて固定費が薄まる操業度益と円安が効いた形だ。販管費は1,383億円から1,649億円へ266億円増えたが、売上に対する比率は15.3%から15.1%とほぼ横ばい。粗利の増加分が費用増を丸ごと吸収した。為替の影響を除いた営業利益の伸びは30.7%で、こちらでも3割の増益になっている。

売上収益と営業利益 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 2026年3月期 上期 vs 2027年3月期 上期

12,000 8,000 4,000 0 9,028 10,908 1,651 2,459 売上収益 営業利益
2025年4-9月 2026年4-9月
決算短信の百万円単位の開示値を億円に丸めて表示(売上収益902,778→1,090,764百万円、営業利益165,136→245,907百万円)。
連結(2026年4-9月・中間期)実績前年同期比
売上収益1兆908億円+20.8%
売上総利益4,988億円+31.0%(算出・粗利率45.7%)
営業利益2,459億円+48.9%(利益率22.5%)
税引前中間利益2,484億円+42.1%
親会社所有者帰属中間利益1,862億円+40.6%
基本的1株当たり中間利益102円43銭+42.7%(前年71円77銭)
中間包括利益1,796億円+20.8%

利益率の改善 ── 前年同期との比較

単位:% / 売上総利益率と営業利益率

60 40 20 0 42.2 45.7 18.3 22.5 売上総利益率 営業利益率
2025年4-9月 2026年4-9月
開示数値からの算出(売上総利益率=売上総利益÷売上収益、営業利益率=営業利益÷売上収益)。

円安がどれだけ効いたかは、会社が開示している

今回の短信は、増収増益の要因から為替の影響を除いた数字を示している。為替影響を除けば増収は14.2%、増益は30.7%で、2割増収・5割増益のうちそれぞれ6ポイント強・18ポイント分が円安によるかさ上げだったことになる。それでも実力ベースで3割の増益は十分に強い。ただし通期の下期の前提レートは1ドル155円で据え置かれており、ここから円高に振れれば同じ数量を売っても円建ての金額は目減りする。村田は1円の円高が年間で約45億円の営業利益減少につながると開示している。

02 ── SEGMENT

利益を生んでいるのはコンポーネント。デバイス・モジュールは上期も営業赤字

事業は大きく2つに分かれる。コンデンサとインダクタ・EMIフィルタを束ねたコンポーネント、高周波モジュールや電池、センサを束ねたデバイス・モジュールだ。売上構成は67.9%対31.2%。ところが利益の姿はまったく違う。コンポーネントの営業利益は上期で2,556億円、利益率は34.3%に達する(説明会資料・当社推計値)。前年同期の1,577億円・利益率27.5%から大きく伸びた。

いっぽうデバイス・モジュールは、売上こそ3.4%増やしたものの、営業損益は上期で48億円のマイナスだった。前四半期(第1四半期単独)の129億円の赤字からは黒字に転じて赤字幅を縮めたが、通期ではまだプラスに届いていない。電源モジュール事業での一時的な損失や、製品価格の値下がり、材料価格の高騰が重しになった。全社の営業利益2,459億円は、実質的にコンポーネントが丸ごと生み、デバイス・モジュールと全社調整で約100億円を持ち出している構図にある。

事業別セグメントの売上収益 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 2026年3月期 上期 vs 2027年3月期 上期

4,000 2,000 4,549 6,056 2,027 1,985 コンデンサ インダクタ ・EMI 高周波・通信 エナジー ・パワー 機能 デバイス
2025年4-9月 2026年4-9月
コンデンサ+インダクタ・EMIフィルタ=コンポーネント、高周波・通信+エナジー・パワー+機能デバイス=デバイス・モジュール。高周波・通信のみ前年割れ。
事業別セグメント(上期)売上収益構成比前年同期比
コンデンサ6,056億円55.5%+33.1%
インダクタ・EMIフィルタ1,349億円12.4%+21.8%
コンポーネント7,405億円67.9%+30.9%
高周波・通信1,985億円18.2%−2.1%
エナジー・パワー787億円7.2%+5.1%
機能デバイス637億円5.8%+22.1%
デバイス・モジュール3,409億円31.2%+3.4%
その他94億円0.9%+27.5%
売上収益計1兆908億円100.0%+20.8%

2つの事業の「体力差」をどう読むか

コンポーネントの利益率34.3%に対し、デバイス・モジュールは上期で営業赤字。高周波・通信は樹脂多層基板や高周波モジュールがスマートフォン向けで減ったことから、セグメントで唯一、前年を下回った。会社は設備投資の増額分を主にデバイス・モジュール製品の将来需要に充てるとしており、この事業が赤字から抜け出せるかが、全社の利益率をもう一段押し上げられるかの分かれ目になる。セグメント別の営業利益は決算短信の本体ではなく説明会資料の推計値に基づくため、目安として見てほしい。

03 ── DEMAND

データセンター関連が前年比2倍。コンピュータ用途が全体を引き上げた

どの最終用途に向けて部品が流れたかを見ると、この決算の正体がはっきりする。用途別で突出して伸びたのはコンピュータで、前年同期の1,459億円から2,351億円へ61.2%増えた。その内側にあるデータセンター関連の売上は817億円から1,649億円へ、101.8%の増加。ちょうど前年の2倍で、上期売上全体の15.1%を占めるまでになった。AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサ、電源モジュール、リチウムイオン二次電池がそろって伸びている。

他の用途も底堅い。産業・その他が代理店・産業機器向けのコンデンサで39.8%増、モビリティが自動車向けのコンデンサ・EMIフィルタ・インダクタで14.6%増。いっぽう、ボリュームの大きい通信用途はスマートフォン向けの樹脂多層基板などが減った反面、基地局・端末向けのコンデンサが補って5.6%増にとどまり、家電は2.4%の減少だった。成長の中心が、従来の主戦場だったスマートフォンから、データセンターへ移りつつあることが読み取れる。

用途別の売上収益 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 当社推定値に基づく開示

2,000 1,000 2,351 1,459 通信 モビリティ コンピュータ 家電 産業・その他
2025年4-9月 2026年4-9月
金額は通信3,285→3,468億円、モビリティ2,345→2,688億円、コンピュータ1,459→2,351億円、家電734→716億円、産業・その他1,204→1,684億円。用途別は村田製作所の推定値に基づく。

受注は過去最高、BBレシオは1.34

この決算でいちばん先を語っているのは、売上ではなく受注のほうだ。全社の受注高は上期で過去最高を更新し、BBレシオ(受注高÷売上高)は1.34に達した。四半期ごとに見ても2026年度は第1四半期1.28、第2四半期1.34と、注文が出荷を上回るペースで入り続けている。けん引はデータセンター関連と通信向けで、円高による外貨建て受注残高の評価減を打ち返しての更新だった。

受注が示す先行きと、ひとつの但し書き

BBレシオが1を上回り続けているあいだは、原則として先々の売上が積み上がっていく状態にある。会社もこれを通期の上方修正の後ろ盾にしている。ただし会社自身、決算説明の中で「長納期案件の増加に加え、一部用途での前倒し受注の懸念」に引き続き注視するとしている。受注は契約であって売上ではない。データセンター向けの投資が反転すれば、キャンセルや納期の後ろ倒しという形で減る性質のものでもある。1.34という比率は、あくまで9月末時点の写真だ。

04 ── GUIDANCE

通期営業利益を4,300億円から5,200億円へ。ただし計画の重心は下期にある

7月31日に出したばかりの通期予想を、3か月で引き上げた。売上収益は2兆1,100億円から2兆2,600億円へ1,500億円(+7.1%)、営業利益は4,300億円から5,200億円へ900億円(+20.9%)の上積み。税引前利益は4,510億円から5,320億円へ、親会社帰属当期利益は3,380億円から3,960億円へ引き上げている。理由はデータセンター関連需要のさらなる高まりと、生産高の増加に伴う操業度益・品種構成の良化。下期の為替前提は1ドル155円のまま据え置かれた。税引後ROICの計画も13.9%から16.6%へ上がっている。

2027年3月期 通期予想7月31日公表10月30日修正修正幅前期比
売上収益2兆1,100億円2兆2,600億円+1,500億円+23.4%
営業利益4,300億円5,200億円+900億円+84.5%
税引前当期利益4,510億円5,320億円+810億円+72.4%
親会社所有者帰属当期利益3,380億円3,960億円+580億円+69.3%
ROIC(税引後)13.9%16.6%+2.7pt─
設備投資2,550億円2,700億円+150億円─
減価償却費1,820億円1,860億円+40億円─
研究開発費1,740億円1,780億円+40億円─

通期予想(修正後)に対する中間期の進捗率

単位:% / 点線=上期・下期が均等な場合の目安(50%)

50%(上期・下期が均等なら) 売上収益 営業利益 税引前利益 当期利益 48.3% 47.3% 46.7% 47.0%
中間期実績÷通期修正予想の算出値。4項目とも50%の目安をわずかに下回る=計画は下期にやや厚い。

下期でもう一段伸ばす、という置き方

通期営業利益5,200億円から上期の2,459億円を引くと、下期に計画されている営業利益は2,741億円(算出)になる。前年の下期は1,167億円(前期通期2,818億円−前年上期1,651億円・算出)だったので、約2.3倍の増益を下期で見込んでいることになる。売上でも下期に1兆1,692億円(算出)を置き、前年下期の9,281億円から2割以上伸ばす計画だ。会社が見込むデータセンター向けの需要と増産が、下期に計画どおり出荷まで到達するかどうかが、通期達成の分岐点になる。

上方修正は達成の約束ではない

売上の進捗率48.3%、営業利益47.3%はいずれも50%割れ。残り6か月で、上期を上回るペースの出荷を続ける前提になっている。受注が過去最高という後ろ盾はあるものの、増産のスピードと為替の水準、そしてデータセンター投資が勢いを保つかどうかが、計画の実現度を左右する。前提が1ドル155円で据え置かれている点も、円高方向に振れれば下振れ要因になりうる。

05 ── CAPACITY & RETURN

5年で約1兆円。MLCCの生産能力を2030年度に向けて倍増させる

今回の決算説明会で会社が時間を割いたのは、足元の数字以上に、その先の設備投資の計画だった。村田は積層セラミックコンデンサ(MLCC)の生産能力を拡大するため、2026〜2030年度の5年間で約1兆円を投じると公表した。内訳は建屋投資が約3,500億円、生産設備投資が約6,500億円。これによって2030年度のMLCC売上高を、2025年度比で約2倍以上に引き上げることを想定している。背景にあるのは、データセンター・エッジデバイス・モビリティ・ロボティクスなど、AIの社会実装に伴って広がる需要だ。

国内では島根県安来市と岡山県瀬戸内市に新しい生産棟を建てる。岡山村田製作所では2030年までに1,500〜2,000人規模の雇用を計画する。海外ではタイとフィリピンで生産設備・インフラの整備を進める。通期予想で設備投資を2,550億円から2,700億円へ150億円積み増したのも、この流れの一部だ。能力増強は将来の売上の土台になる一方、建屋・設備が立ち上がる局面では減価償却費が先行して増える。投資のリターンが出荷の増加として返ってくるまでには時間差がある点は、頭に置いておきたい。

株主還元 ── 中間配当は35円、通期予想70円。自己株取得1,500億円は予定どおり

中間配当は1株35円で、前年同期の30円から5円の増配。通期の年間配当予想は70円(前期は65円)で、前回公表からの修正はない。配当支払開始は11月30日の予定。あわせて会社は、今期に予定している1,500億円の自己株式取得を当初方針どおり実施すると説明した。2025年・2026年の2年間で合計2,500億円の自社株買いを実行する計画の一環で、手元資金や将来の投資機会を見ながら進めるとしている。1兆円規模の能力投資と、継続的な株主還元を並行させる姿勢を示した格好だ。

06 ── BALANCE & CASH

自己資本比率84.9%。設備投資と自社株買いを自前のキャッシュで回している

財務の厚みは変わらない。中間期末の資産合計は3兆2,492億円で、3月末から501億円の増加。営業債権の増加が効いた。純資産にあたる資本合計は2兆7,581億円で、利益剰余金の積み上がりにより403億円増えた。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率にあたる)は84.9%で、3月末の85.0%からほぼ横ばい。借入にほとんど頼らない、現金に厚いバランスシートが続いている。

キャッシュの流れを見ると、本業で稼ぐ力と投資・還元のバランスがよくわかる。営業キャッシュフローは2,155億円のプラスで、前年同期から477億円増えた。投資キャッシュフローは1,125億円のマイナスで、生産能力増強と生産棟の建設を中心とした有形固定資産の取得に976億円を使っている。財務キャッシュフローは1,467億円のマイナスで、自己株式の取得に761億円、配当の支払いに637億円を充てた。能力増強の投資も株主還元も、外部からの資金調達ではなく自前のキャッシュでまかなっている構図だ。

財政状態(中間期末)金額3月末比
資産合計3兆2,492億円+501億円
負債合計4,912億円+99億円
資本合計2兆7,581億円+403億円
自己資本比率84.9%−0.1pt
キャッシュフロー(上期)金額前年同期比
営業活動+2,155億円+477億円
投資活動−1,125億円−471億円
財務活動−1,467億円−81億円
(うち自己株取得)−761億円─

投資活動・財務活動のキャッシュフローはマイナス(支出)が本来の姿。前年同期比の「−」は支出が増えたことを示す。減価償却費は上期で916億円。

07 ── SUMMARY

総括 ── 強い決算。論点は「偏り」と「下期」と「投資の回収」

上期は売上・営業利益ともに過去最高を更新し、会社は通期営業利益を4,300億円から5,200億円へ一気に引き上げた。実力ベース(為替影響除き)でも3割の増益で、AIサーバー向けを中心としたデータセンター需要が本物であることを、受注の強さ(BBレシオ1.34)が裏づけている。この決算を「強い」と評価することに異論は少ないだろう。

評価できる点

  • 上期の売上・営業利益がともに過去最高。営業利益率は18.3%から22.5%へ4.2ポイント改善した
  • データセンター関連売上が前年の2倍(817億円→1,649億円)。成長の軸がスマホからデータセンターへ移った
  • 受注高が過去最高でBBレシオ1.34。先々の売上の後ろ盾があり、通期予想の上方修正につながった
  • 自己資本比率84.9%。1兆円規模の能力投資も自社株買いも自前のキャッシュでまかなっている

留意しておきたい点

  • 利益の偏り。全社営業利益はコンポーネントが丸ごと生み、デバイス・モジュールは上期も営業赤字が続いた
  • 計画の重心が下期へ。通期達成には下期で前年比約2.3倍の営業利益が要り、進捗率は4項目とも50%割れ
  • 為替前提は1ドル155円で据え置き。円高に振れれば1円あたり年約45億円の営業利益が目減りする
  • 5年で約1兆円の能力投資。売上の土台になる一方、立ち上げ局面では減価償却費が先行して増える

中期の絵は明快だ。AIの普及でMLCCの需要が構造的に伸びるという読みのもと、5年で約1兆円を投じて2030年度に売上を倍増させ、同時に株主還元も続ける。問われるのは、その需要の勢いが下期そして来期も続くか、デバイス・モジュールが黒字化して利益の偏りが解けるか、そして巨額投資が狙いどおりのリターンを生むか。足元の数字が強いぶん、次に見るべきはこの3点になる。

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