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無印良品の店舗イメージ(無垢材の什器と生成りのテキスタイル)

EARNINGS REVIEW

無印良品(良品計画)

2026年8月期 通期 決算レビュー

証券コード 7453(東証プライム)/ 対象 2025年9月〜2026年8月(通期)/ 開示 2026年10月14日

本業のもうけである営業利益が初めて1,000億円を超え、営業収益・各段階利益がそろって過去最高を更新した通期決算でした。営業収益は9,235億円(前期比+17.7%)、営業利益は+40.1%と売上の伸びを大きく上回る増益です。牽引したのは海外事業で、円安効果も追い風になりました。全事業地域が黒字となり、会社は来期に営業収益1兆円突破を見込んでいます。

営業収益

9,235億円
+17.7%前年 7,846億円

営業利益

1,034億円
+40.1%前年 738億円

経常利益

1,046億円
+44.8%前年 723億円

純利益 ※

764億円
+50.3%前年 508億円

※ 親会社株主に帰属する当期純利益。1株当たり当期純利益 143.98円(前年 95.92円、株式分割後ベースに換算)。金額は百万円未満を切り捨てのうえ億円単位に丸めています。

日本基準の「利益の呼び方」を押さえておく
同社は日本基準で開示しています。売上に相当する営業収益から売上原価・販管費を引いたものが営業利益(本業のもうけ)。そこに為替差益などの営業外損益を加減したものが経常利益、さらに特別損益・税金を差し引いた最終利益が親会社株主に帰属する当期純利益です。小売業は売上高ではなく「営業収益」で表記されることが多く、ここにはテナント賃料やライセンス収入なども含まれます。
今期の数字を読むうえでの前提(株式分割・一過性の利益)
同社は2025年9月1日付で普通株式1株を2株に分割しました。1株当たりの数値(純利益・純資産・配当)は、前年も分割後ベースに換算して比較しています。また当期の純利益には、営業増益に加え為替差益・政策保有株式の売却益・在外子会社での繰延税金資産の計上といった一過性の押し上げ要因が含まれます。来期の純利益予想が微減となるのは、この反動によるものです(本業の増益トレンドが崩れたわけではありません)。

01 ── PERFORMANCE

3段階の利益がそろって4〜5割増、営業利益は初の1,000億円台

営業利益・経常利益・純利益は、いずれも大幅な増益でした。増収率(+17.7%)を利益の伸びが上回っているのは、稼ぐ効率そのものが改善したことを示します。生産体制の内製化による原価低減と値下げの抑制で売上総利益率が上がり、営業利益率は前期の9.4%から11.2%へ1.8ポイント改善しました。

主要利益の前年比較(通期)

単位:億円 / 前期(2024年9月〜2025年8月)と当期(2025年9月〜2026年8月)の通期

900億 600億 300億 0 738 723 508 1,034 1,046 764 営業利益 経常利益 純利益 +40.1% +44.8% +50.3%
前期(2025年8月期) 当期(2026年8月期)
経常利益が営業利益を上回るのは、営業外収益に為替差益などが含まれるためです。

営業利益、初の1,000億円突破

営業利益1,034億円は、同社として初めての大台です。背景は「作り方」と「売り方」の両輪。生産の内製化で原価を下げ、安易な値下げを抑えたことで売上総利益率が改善し、同時に売上拡大で販管費率も下がりました。利益率11.2%は、数年前の5〜6%台から着実に積み上げた水準です。

02 ── DRIVERS

伸びをつくったのは海外と円安、そして一過性の最終益押し上げ

増益の主役は海外事業です。国内外の出店で店舗数が増えたことに加え、とりわけ中国大陸を含む東アジアの売上が大きく伸びました。円安も海外売上の円換算額を押し上げています。本業の利益がしっかり増えたうえに、最終利益にはそれ以外の要因も重なりました。

本業(営業利益)が伸びた理由

  • 海外事業の売上が大幅に伸長し、全事業地域が黒字化
  • 生産体制の内製化による原価低減と、値下げの抑制で売上総利益率が改善
  • 売上拡大に伴い販管費の効率化が進み、営業利益率は11.2%へ

最終利益(純利益+50.3%)に含まれる一過性の押し上げ

純利益の伸びは営業利益の伸び(+40.1%)を上回りました。これは、為替差益、政策保有株式の売却益、そして在外子会社で将来の課税所得の見込みに基づき計上した繰延税金資産が最終利益を押し上げたためです。いずれも毎期続く性質のものではないため、来期の純利益はこの反動で微減が見込まれています。

国内ECのシステム障害

国内事業では、上期(2025年10〜12月)のシステム障害でEC売上が前年を下回りました。ただし既存店売上が伸び、国内の売上合計では前年を上回っています。会社は来期、この反動でEC売上が回復に向かうと見込んでいます。

03 ── SEGMENTS

全4地域が増収増益、海外の伸びが際立つ

セグメントは国内と海外3地域の計4区分です。国内が全体の約55%を占める土台である一方、利益率では東アジアが21.0%と頭ひとつ抜けています。海外3地域はいずれも3割前後の増収で、「国内で稼ぎ、世界で伸ばす」構図が鮮明になりました。

セグメント別 営業収益(当期・通期)と営業利益率

単位:億円 / カッコ内は前期比。右端は各セグメントの営業利益率

国内 東アジア 東南アジア・ オセアニア 欧米 5,110 +8.7% 2,938 +32.2% 665 +32.8% 523 +24.1% 利益率 12.4% 利益率 21.0% 利益率 13.8% 利益率 15.5%
国内 東アジア 東南アジア・オセアニア 欧米
各セグメント利益の合計からグローバル販管費(約391億円)を差し引いた額が、連結営業利益1,034億円に対応します。
セグメント営業収益前期比セグメント利益前期比利益率
国内事業5,110億円+8.7%634億円+21.6%12.4%
東アジア事業2,938億円+32.2%617億円+44.2%21.0%
東南アジア・オセアニア事業665億円+32.8%92億円+64.1%13.8%
欧米事業523億円+24.1%81億円+17.0%15.5%

東アジアは中国大陸が生活雑貨・食品を中心に全部門で伸び、台湾・香港・韓国もそろって増収増益。東南アジア・オセアニアはタイ・ベトナムの旗艦店出店が効きました。欧米は欧州・北米ともに既存店とECが好調ですが、来期の欧州旗艦店に向けた先行経費が利益率をやや抑えています。

04 ── STORES

店舗数は74店増えて1,486店、北米出店を再開

当期末の無印良品(ライセンスドストアを含む)の店舗数は、国内外計1,486店舗となりました。国内は郊外の生活圏を中心に純増40店の723店舗、海外は東アジア・東南アジアを中心に純増34店の763店舗です。海外が国内を上回る店舗数となり、成長の主軸が海外に移りつつあることを示しています。中断していた北米での出店も再開しました。

区分前期末当期末純増
国内事業683723+40
海外事業729763+34
 うち東アジア557579+22
 うち東南アジア・オセアニア124135+11
 うち欧米4849+1
合計1,4121,486+74

会社は来期末(2027年8月期)に1,584店舗まで増やす計画で、純増の大半を海外が占めます。欧州ではパリ・ロンドンへの出店再開、北米ではペースアップを掲げています。

05 ── OUTLOOK

来期は営業収益1兆円突破へ、営業利益は二桁増益計画

2027年8月期の会社計画は、営業収益1兆140億円(+9.8%)・営業利益1,140億円(+10.2%)・経常利益1,110億円(+6.0%)・純利益730億円(△4.5%)です。営業収益・営業利益はともに4期連続で過去最高を更新する見通し。純利益だけが減益計画なのは、当期に計上した一過性利益(為替差益・株式売却益・繰延税金資産)の反動によるもので、これを除いた本業比較では増益を計画しています。

営業利益の推移と来期計画

単位:億円 / 2026年8月期までは実績、2027年8月期は会社計画。点線は当初3ヶ年計画(2024年11月公表)の2027年8月期目標

1,200億 900億 600億 300億 0 当初3ヶ年計画 790億 561 738 1,034 1,140 24/8期 25/8期 26/8期(実績) 27/8期(計画)
当期実績(初の1,000億円台) 来期計画
当初の3ヶ年計画では2027年8月期の営業利益を790億円と見込んでいましたが、実際は当期(2026年8月期)時点で既に1,034億円に到達。計画を1年以上前倒しで上回っています。

中期計画を前倒しで達成

2024年11月に公表した3ヶ年ローリング計画では、2027年8月期の目標を営業収益8,800億円・営業利益790億円としていました。当期の実績(営業収益9,235億円・営業利益1,034億円)は、その最終年度の目標を1年以上前倒しで上回っています。会社は「8つの成長ドライバーは今中期でほぼ完了し、来中期の計画を前倒しする」と総括しています。

06 ── FINANCE & DIVIDEND

自己資本比率61.1%、年間配当は13円増配の38円

財務基盤はさらに厚くなりました。総資産は6,723億円、純資産は4,193億円で、自己資本比率は前期の59.0%から61.1%へ上昇。営業キャッシュフローは994億円と前期(734億円)から大きく増え、期末の現金及び現金同等物は1,692億円に積み上がっています。稼いだ資金を成長投資(投資CF▲301億円)と株主還元(財務CF▲438億円)に回しつつ、手元資金を厚くした格好です。

自己資本比率

61.1%
+2.1pt前年 59.0%

営業キャッシュフロー

994億円
+35.5%前年 734億円

ROE(自己資本当期純利益率)

20.6%
+4.3pt前年 16.3%

年間配当38円(前期の分割後換算25円から13円の増配)

業績の伸びを踏まえ、期末配当を1株22円とし、年間配当は従来予想の32円から38円へ増額しました(中間16円+期末22円)。株式分割後ベースに換算した前期の年間25円と比べると13円の増配です。配当性向は26.4%。来期(2027年8月期)も年間38円(中間・期末各19円)を維持する予定で、配当性向30%を目安に安定配当を続ける方針です。

SUMMARY ── 総括

「国内で稼ぎ、世界で伸ばす」体制が形になった一年

強み

  • 営業利益が初の1,000億円台、利益率11.2%へ。生産内製化と値下げ抑制で収益体質が改善
  • 全4地域が黒字で、海外3地域はそろって3割前後の増収。東アジアの利益率は21.0%
  • 自己資本比率61.1%・営業CF994億円と財務は盤石。中期計画を前倒しで達成

留意点

  • 最終利益には為替差益・株式売却益・繰延税金資産など一過性要因が含まれ、来期純利益は△4.5%の計画
  • 円安の為替予約レート悪化・原材料高・欧米の旗艦店先行投資が来期のコスト要因
  • 国内ECはシステム障害からの回復度合い、海外は地政学・関税の不確実性が変数

中期の方向性

来期は営業収益1兆円突破と営業利益二桁増益を掲げ、設備投資を前期比26%増の420億円へ拡大します。重点は海外の店舗投資とサプライチェーン・EC基盤。営業キャッシュフローの約60%を成長投資に回し、配当性向30%を目安とした安定還元を両立させる財務方針です。新たに合同会社MUJI ENERGYを連結に加えるなど、事業領域の広がりも続きます。

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