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夕暮れの金融街に立つオフィスタワーのガラス外壁

EARNINGS REVIEW

三菱UFJフィナンシャル・グループ

2027年3月期 第1四半期 決算レビュー

証券コード 8306(東証・名証)対象期間 2026年4月〜6月決算発表 2026年8月3日

経常利益1兆1,179億円、前年同期比+57.8%。三菱UFJフィナンシャル・グループの2027年3月期第1四半期は、純利益8,094億円で通期目標2兆7,000億円の30.0%(算出)を3か月で積んだ。ROEは14.40%と、前年同期の10.78%から3.6ポイント上がっている。 ただし増益額4,094億円の中身は一様ではない。株式等関係損益と持分法による投資損益、この2項目の増加分だけで増益額の42.1%(算出)を占める。銀行本体の稼ぎである連結業務純益も+48.5%と伸びてはいるが、決算の強さがどこから来ているのかは分けて読んでおきたい。

経常収益

3兆9,075億円
+20.1%前年同期比

経常利益

1兆1,179億円
+57.8%前年同期比

親会社株主帰属四半期純利益

8,094億円
+48.2%通期目標比 30.0%

ROE(東証基準)

14.40%
+3.62pt前年同期 10.78%
銀行の決算に「売上高」が出てこない理由 ── 経常収益とは
銀行は商品を仕入れて売る商売ではないため、損益計算書の一番上が売上高ではなく経常収益になります。中身は貸出金の利息や有価証券の利息配当金(資金運用収益)、振込手数料や投資信託の販売手数料(役務取引等収益)などの合計です。ここから資金調達費用(預金に払う利息など)や営業経費を引いた残りが経常利益になります。市場予想を集計するサイトでは、この経常収益が「売上高」の欄に入れられていることが多く、本レポートでもその対応で比較しています。
業務粗利益・業務純益とは ── 銀行の「本業の利益」を見る段階
経常利益には、保有株式の売却益や出資先から取り込む利益といった、銀行業務そのものではない損益が混じります。そこで銀行は本業だけを取り出す独自の段階を使います。資金利益・信託報酬・役務取引等利益・特定取引利益・その他業務利益を足したものが業務粗利益、そこから人件費と物件費(営業費)を引いたものが業務純益です。一般企業でいえば業務粗利益が売上総利益、業務純益が営業利益に近い位置づけになります。今1Qの連結業務粗利益は1兆7,360億円、連結業務純益は8,202億円でした。
預貸金利回差(利ざや)とは ── 銀行の収益力を決める0.01%の世界
貸出金から受け取る利率(貸出金利回)と、預金に払う利率(預金等利回)の差です。銀行は集めた預金を貸し出して、この差を収益にしています。額が巨大なため、0.1%動くだけで利益が数百億円単位で変わります。三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行を単純合算した国内業務部門の利回差は、前年同期の0.89%から今1Qは1.14%へ0.25ポイント広がりました。国内の金利水準が上がる局面では、貸出の利率が預金の利率より速く上がるため差が広がりやすくなります。
与信関係費用とは ── 貸したお金が返ってこないリスクへの備え
貸出先の経営が悪化したときに備えて計上する引当金や、回収できないと判断して落とした損失の合計です。景気が悪化すると増え、利益を押し下げます。逆に、過去に積んだ引当金が不要になれば戻し益として利益に戻ります。今1Qの与信関係費用は1,032億円で前年同期の836億円から23.4%増えました。ただし戻し益や償却債権取立益まで含めた総額では720億円の費用(前年469億円)で、いずれも利益の規模に対しては小さい水準にとどまっています。
持分法による投資損益とは ── 出資先の利益を持ち分だけ取り込む
支配はしていないが重要な影響力を持つ出資先(関連会社)について、その会社が出した利益のうち出資比率に相当する分を自社の損益として取り込む会計処理です。配当としてお金が入ってくるわけではなく、あくまで会計上の利益になります。三菱UFJフィナンシャル・グループの今1Qは2,616億円で、経常利益1兆1,179億円の23.4%(算出)を占めました。前年同期は1,580億円。出資先の業績次第で振れる項目のため、本業の実力とは分けて見る必要があります。
自己資本比率5.2%は危ないのか ── 短信の数字と規制上の比率は別物
短信に載っている自己資本比率5.2%は、純資産から新株予約権と非支配株主持分を引いた金額を総資産で割った単純な比率です。銀行は預金という負債を大量に抱えて資産を膨らませる業態なので、この計算だと必ず数%になります。銀行の健全性を測る国際的な規制上の自己資本比率(バーゼル規制のCET1比率など)は、貸出のリスクに応じて重みを付けた資産で割るまったく別の計算式で、桁が違います。決算短信では開示されないため、本レポートでは短信記載の5.2%をそのまま扱い、規制上の健全性の判断には使いません。
市場予想(コンセンサス予想)とは ── 決算の合否を決めているものさし
証券会社のアナリストが出した業績予想を集計した平均値です。株価にはこの平均値があらかじめ織り込まれているため、決算の評価は前年比よりも「市場予想を上回ったか、届かなかったか」で決まる場面が多くなります。本レポートでは株予報Pro(IFISコンセンサス)が2026年8月3日時点で公表している数値を市場予想として扱います。集計対象のアナリスト数や更新時点によって数値は動くため、絶対的な正解ではなく目安として見てください。

01 ── PERFORMANCE

経常収益+20.1%を、経常利益の+57.8%が大きく追い越した

経常収益3兆9,075億円は前年同期の3兆2,539億円から6,536億円の増加。中身を開くと、貸出金利息が9,682億円から1兆1,390億円へ17.6%増え、有価証券利息配当金も4,120億円から5,391億円へ30.9%伸びている。資金運用収益の合計は2兆3,366億円で+15.5%。一方で払う側の資金調達費用は1兆4,543億円と+9.2%にとどまった。受け取る利息の伸びが、払う利息の伸びを上回っている。

利益の伸び方はさらに大きい。経常利益は7,085億円から1兆1,179億円へ4,094億円、率にして57.8%の増加。親会社株主に帰属する四半期純利益も5,460億円から8,094億円へ48.2%増えた。1株当たり四半期純利益は47円55銭から71円77銭へ50.9%(算出)伸びており、純利益の伸び率を2.7ポイント上回る。期中平均株式数が114億8,429万株から112億7,879万株へ1.8%減ったためで、自己株式の取得が1株当たりの数字を押し上げている。

経常収益・経常利益・純利益 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 2026年3月期1Q vs 2027年3月期1Q

40,000 30,000 20,000 10,000 0 32,539 39,075 7,085 11,179 5,460 8,094 経常収益 経常利益 純利益
2025年4-6月 2026年4-6月
決算短信の百万円単位の開示値を億円に丸めて表示(経常収益3,253,932→3,907,543百万円、経常利益708,535→1,117,934百万円、純利益546,068→809,427百万円)。
連結(2026年4-6月)前1Q当1Q前年同期比
経常収益3兆2,539億円3兆9,075億円+20.1%
 資金運用収益2兆225億円2兆3,366億円+15.5%(算出)
  うち貸出金利息9,682億円1兆1,390億円+17.6%(算出)
  うち有価証券利息配当金4,120億円5,391億円+30.9%(算出)
 役務取引等収益5,667億円6,821億円+20.4%(算出)
経常費用2兆5,453億円2兆7,896億円+9.6%(算出)
 資金調達費用1兆3,318億円1兆4,543億円+9.2%(算出)
  うち預金利息4,949億円5,542億円+12.0%(算出)
 営業経費7,967億円9,005億円+13.0%(算出)
経常利益7,085億円1兆1,179億円+57.8%
親会社株主帰属四半期純利益5,460億円8,094億円+48.2%
1株当たり四半期純利益47円55銭71円77銭+50.9%(算出)
四半期包括利益1,355億円1兆1,407億円+741.3%

本業の利益は8,202億円、+48.5%

決算短信に添付された説明資料には、銀行本体の稼ぎを取り出した数字が並んでいる。連結業務粗利益は1兆3,584億円から1兆7,360億円へ27.8%増加。内訳では資金利益が6,907億円から8,823億円へ27.7%、役務取引等利益が4,616億円から5,581億円へ20.9%、特定取引利益が427億円から1,327億円へ210.1%(いずれも算出)伸びた。営業費は8,154億円から9,270億円へ13.7%(算出)増えたものの、粗利益の伸びがそれを大きく上回っている。

結果として、経費を粗利益で割った経費率は60.0%から53.4%(算出)へ6.6ポイント改善した。一般貸倒引当金繰入前・信託勘定およびのれん償却前の連結業務純益は5,523億円から8,202億円へ48.5%(算出)の増加。銀行の本業が伸びていること自体は、この数字が示している。

連結業務粗利益の内訳 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 資金利益・役務取引等利益・特定取引利益

8,000 6,000 4,000 2,000 0 6,907 8,823 4,616 5,581 427 1,327 資金利益 役務取引等利益 特定取引利益
2025年4-6月 2026年4-6月
決算短信の補足説明資料「損益状況【持株 連結】」より(資金利益690,788→882,398百万円、役務取引等利益461,602→558,166百万円、特定取引利益42,788→132,701百万円)。このほか信託報酬456億円、その他業務利益1,171億円を加えた合計が連結業務粗利益1兆7,360億円。

資金利益が伸びた理由は、利ざやの数字にはっきり出ている

三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行を単純合算した国内業務部門の貸出金利回は、前年同期の1.06%から今1Qは1.45%へ0.39ポイント上昇した。一方で預金等利回の上昇は0.17%から0.30%への0.13ポイントにとどまる。差し引きの預貸金利回差は0.89%から1.14%へ0.25ポイント広がった。政府等向け貸出金を除いたベースでも0.95%から1.16%へ拡大している。貸出金の平均残高が116兆7,721億円から122兆8,640億円へ増えており、広がった利ざやに大きくなった残高が掛かった形になる。

02 ── EARNINGS QUALITY

増益額4,094億円のうち1,722億円は、本業の外側から来ている

決算短信のセグメント注記には、部門別の営業純益の合計から連結の経常利益までを橋渡しする表が載っている。この表が、今回の決算の性格をいちばん正直に語っている。

本業の営業純益は5,422億円から8,205億円へ2,783億円増えた。ここまでは銀行業務の伸びだ。そこに株式等関係損益が303億円から989億円へ、持分法による投資損益が1,580億円から2,616億円へ乗ってくる。この2項目の合計は前年1,883億円から3,605億円へ1,722億円増えており、経常利益の増益額4,094億円に対して42.1%(算出)を占める。当1Qの経常利益に占める比率でも32.2%(算出)と、前年の26.6%から5.6ポイント上がった。

営業純益から経常利益への橋渡し前1Q当1Q増減
報告セグメント計(営業純益)5,422億円8,205億円+2,783億円
報告セグメント対象外の連結子会社△1億円△17億円△16億円
一般貸倒引当金繰入額+134億円+59億円△75億円
与信関係費用△836億円△1,032億円△196億円
償却債権取立益+233億円+253億円+20億円
株式等関係損益+303億円+989億円+686億円
持分法による投資損益+1,580億円+2,616億円+1,036億円
その他+251億円+106億円△145億円
経常利益7,085億円1兆1,179億円+4,094億円

決算短信「セグメント情報等の注記」の差異調整表より。億円未満を四捨五入しているため、内訳の合計と経常利益は一致しない場合がある。

株式等関係損益989億円が意味するもの

この項目は保有株式の売却損益と評価損の合計だ。内訳を見ると株式等売却益が1,067億円、売却損が33億円、償却が45億円。前年同期の売却益402億円と比べて2.7倍(算出)に膨らんでいる。政策保有株式の削減を進めれば、その分だけ売却益がこの欄に立つ。売る株がなくなれば止まる性質の利益でもある。

持分法による投資損益2,616億円は、出資先の会社が稼いだ利益を持ち分に応じて取り込んだ会計上の数字で、こちらは前年から65.6%(算出)増えた。この2つを足した3,605億円は、今1Qの純利益8,094億円の44.5%(算出)に相当する規模になる。

与信関係費用は増えている

貸出のリスクに備える費用は前年の836億円から1,032億円へ23.4%(算出)増えた。戻し益や償却債権取立益まで含めた与信関係費用総額でも469億円から720億円へ拡大している。利益の規模に対しては小さいものの、増益局面のなかで方向が逆を向いている項目として押さえておきたい。なお短信は追加情報として、中東情勢を含む地政学的な状況を踏まえた将来見込みによる引当の上乗せ額が284億円(前期末244億円)にのぼると開示している。

03 ── SEGMENT

7部門すべてが増益。伸び率の上位は市場、グローバルCIB、法人・ウェルスマネジメント

事業本部別の営業純益は、7つの区分すべてで前年同期を上回った。合計は5,422億円から8,205億円へ51.3%(算出)の増加。顧客部門6区分の小計が5,340億円から7,398億円へ38.5%(算出)伸び、市場事業本部が809億円から1,486億円へ83.7%(算出)と最も高い伸び率になった。

金額でいちばん大きいのはコーポレートバンキング事業本部の2,019億円で、前年の1,474億円から37.0%(算出)の増加。次いでグローバルCIB事業本部が1,094億円から1,802億円へ64.8%(算出)伸び、金額でも2番手に上がった。法人・ウェルスマネジメント事業本部は869億円から1,332億円へ53.3%(算出)。一方でグローバルコマーシャルバンキング事業本部は+13.6%、受託財産事業本部は+8.9%(いずれも算出)と、伸びは相対的に控えめだった。

事業本部別の営業純益 ── 前年同期との比較

単位:億円 / 7区分すべてが増益

664 852 869 1,332 1,474 2,019 871 990 369 402 1,094 1,802 809 1,486 リテール・デジタル 法人・ウェルス コーポレートバンキング グローバル商業銀行 受託財産 グローバルCIB 市場 0 500 1,000 1,500 2,000
2025年4-6月 2026年4-6月
決算短信のセグメント情報より。図では部門名を短縮して表示(法人・ウェルス=法人・ウェルスマネジメント事業本部、グローバル商業銀行=グローバルコマーシャルバンキング事業本部、市場=市場事業本部)。このほかに「その他」が△727億円→△679億円あり、7区分との合計が報告セグメント計8,205億円になる。
事業本部(2026年4-6月)粗利益経費営業純益営業純益 前年比
リテール・デジタル事業本部2,941億円2,088億円852億円+28.4%
法人・ウェルスマネジメント事業本部2,553億円1,221億円1,332億円+53.3%
コーポレートバンキング事業本部3,090億円1,071億円2,019億円+37.0%
グローバルコマーシャルバンキング事業本部2,253億円1,263億円990億円+13.6%
受託財産事業本部1,575億円1,173億円402億円+8.9%
グローバルCIB事業本部3,064億円1,262億円1,802億円+64.8%
顧客部門 小計1兆5,479億円8,081億円7,398億円+38.5%
市場事業本部2,360億円874億円1,486億円+83.7%
その他△215億円462億円△679億円赤字縮小
合計1兆7,624億円9,418億円8,205億円+51.3%

粗利益は一般企業の売上高に代わる指標で、資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計。経費は人件費と物件費。前年比は開示値からの算出。当1Qより事業本部間の粗利益・経費の配賦方法が変更されており、前年同期の数値も変更後の方法に組み替えられている。

市場事業本部の+83.7%をどう見るか

市場事業本部は国債や外国債券、為替、デリバティブなどの運用・トレーディングを担う部門で、粗利益が1,602億円から2,360億円へ47.4%(算出)伸びた。相場環境の影響を最も受けやすい部門でもある。この四半期の粗利益の13.4%(算出)を市場事業本部が稼いだことになり、前年の11.7%から比重が上がった。金利や為替の水準が変われば、伸び率は同じ幅で逆方向にも振れる。

04 ── BALANCE SHEET

株式の含み益は3兆1,911億円まで拡大。同じ金利上昇が、債券には含み損として出ている

6月末の総資産は433兆9,134億円で、3月末の431兆7,315億円から2兆1,819億円の増加。貸出金は133兆7,994億円から134兆4,543億円へ0.5%(算出)増え、有価証券は85兆7,147億円から88兆1,327億円へ2.8%(算出)増えた。一方で預金は239兆4,392億円から236兆9,373億円へ1.0%(算出)減っている。純資産は23兆7,441億円から24兆1,820億円へ増加し、短信ベースの自己資本比率は5.2%で3月末と同水準だった。

この四半期の財務でいちばん動いたのは、保有する有価証券の含み損益だ。その他有価証券のうち株式の評価損益は3月末の+2兆8,183億円から6月末は+3兆1,911億円へ3,728億円拡大した。株価の上昇がそのまま含み益になっている。ところが債券は逆を向く。満期保有目的の債券の評価損益は3月末の△1兆1,193億円から△1兆2,569億円へ、含み損が1,376億円広がった。うち国債だけで△1兆1,689億円にのぼる。

有価証券の含み損益 ── 3月末と6月末の比較

単位:億円 / 右が含み益、左が含み損

その他有価証券 ── 株式 その他有価証券 ── 債券 満期保有目的の債券 +28,183 +31,911 △2,892 △2,878 △11,193 △12,569 △10,000 0 +10,000 +20,000 +30,000
2026年3月末 2026年6月末
決算短信の補足説明資料「有価証券【持株 連結】」より。その他有価証券の評価損益は貸借対照表に反映され純資産の増減になるのに対し、満期保有目的の債券は取得原価で計上されるため含み損は純資産に反映されない。

債券の含み損は、いま損失として出ているわけではない

満期保有目的の債券は満期まで持ち切る前提で取得原価のまま計上されるため、△1兆2,569億円の含み損は貸借対照表にも損益計算書にも表れない。満期を迎えれば額面で償還されるので、途中で売らない限り損失は実現しない。金利が上がれば既存の低い利率の債券の値段は下がる、という関係がそのまま数字になっているだけだ。ただし、含み損を抱えた債券を持ち続けるあいだは、より高い利率で運用する機会を逃していることにもなる。

財政状態3月末6月末
総資産431兆7,315億円433兆9,134億円
貸出金133兆7,994億円134兆4,543億円
有価証券85兆7,147億円88兆1,327億円
預金239兆4,392億円236兆9,373億円
純資産23兆7,441億円24兆1,820億円
自己資本比率(短信ベース)5.2%5.2%
銀行法・再生法に基づく債権3月末6月末
破産更生債権等3,037億円2,745億円
危険債権6,670億円6,449億円
要管理債権4,899億円3,184億円
小計1兆4,607億円1兆2,380億円
正常債権150兆2,127億円152兆1,090億円
不良債権比率0.96%0.80%

いずれも部分直接償却後・連結ベース。債権合計は3月末151兆6,734億円、6月末153兆3,470億円。不良債権比率は小計÷債権合計で、短信記載の開示値。

配当は年96円へ増配、自己株式の取得も進む

2027年3月期の配当予想は中間48円・期末48円の年96円で、5月に公表した予想からの修正はない。前期の年86円(中間35円・期末51円)から10円、率にして11.6%(算出)の増配になる。期末に集中していた配分を中間と期末で均等に置き直した点も変わった。

自己株式は3月末の5億8,010万株から6月末は6億1,194万株へ3,184万株増えた。発行済株式総数118億6,771万株は変わっていないので、市場から買い戻して保有している株が増えたことになる。期中平均株式数は前年同期比1.8%(算出)の減少。1株当たり利益が純利益の伸びを上回った理由がここにある。

05 ── GUIDANCE

通期目標は2兆7,000億円のまま据え置き。1Qで30.0%を積んだ

三菱UFJフィナンシャル・グループは、業績予想を出さない。経済情勢や相場環境に起因する不確実性が大きいという理由で、通期については「親会社株主に帰属する当期純利益の目標値」だけを示す形をとっている。今回示された目標は2兆7,000億円で、5月15日に公表した数字から変更はなかった。

1Qの純利益8,094億円をこの目標で割ると進捗率は30.0%(算出)。4四半期が均等なら25%が目安なので、5ポイント上回るペースになる。経常利益と経常収益については会社が目標を示していないため、市場予想を分母に置いて進捗を見ると経常利益28.2%、経常収益24.0%(いずれも算出)だった。

通期に対する第1四半期の進捗率

単位:% / 点線=1年の1/4(25%)

25%(1年の1/4) 純利益/会社目標比 純利益/市場予想比 経常利益/市場予想比 経常収益/市場予想比 30.0% 29.2% 28.2% 24.0%
第1四半期実績÷通期の会社目標または市場予想の算出値。会社は通期の業績予想を公表せず、純利益の目標値のみを開示している。

進捗30%は、そのまま通期の上振れを意味しない

1Qの利益には株式等関係損益989億円と持分法による投資損益2,616億円が乗っている。前者は保有株の売却タイミング次第、後者は出資先の四半期業績次第で、四半期ごとに大きく振れる。市場事業本部の営業純益1,486億円も相場環境に左右される。残り9か月で目標との差1兆8,906億円(算出)を積む必要があり、四半期平均に直すと6,302億円。1Q実績の8,094億円を下回る水準ではあるが、今1Qを押し上げた項目が同じペースで続くかどうかは別の話になる。

06 ── MARKET VIEW

【市場予想】は会社目標を2.8%上回る線に置かれている

株価が見ているのは前年比ではなく、アナリストの平均予想だ。株予報Proが集計する市場予想は、2027年3月期の当期利益を2兆7,755億円としている。会社が示した目標2兆7,000億円に対して755億円、率にして2.8%(算出)高い水準だ。会社が目標を据え置いたのに対し、市場はそれを超えてくると見ていることになる。

経常収益は16兆2,622億円(前年比+11.2%)、経常利益は3兆9,705億円(同+16.4%)が市場予想。1Qの経常利益1兆1,179億円をこの分母で割った進捗率28.2%(算出)は25%を上回っており、少なくとも出だしは市場予想を超えるペースにある。

2027年3月期 通期会社市場予想1Q実績進捗率(算出)
経常収益目標なし16兆2,622億円3兆9,075億円24.0%
経常利益目標なし3兆9,705億円1兆1,179億円28.2%
親会社株主帰属当期純利益2兆7,000億円2兆7,755億円8,094億円30.0%/29.2%

市場予想は株予報Pro掲載のIFISコンセンサス(2026年8月3日時点)。純利益の進捗率は会社目標比30.0%/市場予想比29.2%。会社は通期の経常収益・経常利益の目標を公表していない。

目標株価と株価の距離

アナリストの目標株価の平均は3,912円で、株価との乖離率は9.67%。ここから逆算すると株価は約3,567円(算出)になる。レーティングは5段階平均で4.70と、強気寄りの評価が並んでいる。前週からの変化は0.00で、決算発表を織り込んだ改訂はこれから進む段階にある。

市場予想を読むときの3つの注意

  • コンセンサスは平均値であって、正解ではない。何人のアナリストが、いつ時点で出した予想を集計したかで数字は動く。
  • 決算発表の直後は、発表内容を反映していない改訂前の予想が混じっていることがある。今回の市場予想は8月3日時点のもので、今回の1Qを織り込んだ改訂はこれから進む。
  • 四半期単独の市場予想は公表されていない。1Q実績が市場の想定に対してどうだったかは、通期の進捗率と株価の反応から推し量るしかない。

07 ── SUMMARY

本業は確かに伸びた。ただし利益の3割超は、四半期ごとに振れる項目が支えている

評価できる点

  • 経常利益+57.8%、純利益+48.2%。ROEは10.78%から14.40%へ。
  • 預貸金利回差が0.89%から1.14%へ拡大。資金利益は+27.7%(算出)。
  • 経費率は60.0%から53.4%(算出)へ6.6ポイント改善。
  • 事業本部7区分すべてが増益。顧客部門小計で+38.5%(算出)。
  • 不良債権比率は0.96%から0.80%へ低下。要管理債権が1,715億円減少。
  • 年間配当は86円から96円へ増配予想。自己株式の取得も継続。

留意しておきたい点

  • 増益額4,094億円の42.1%(算出)は株式等関係損益と持分法投資損益の増加分。
  • 株式売却益は売る株がなくなれば止まる性質の利益。
  • 市場事業本部が営業純益の18.1%(算出)。相場環境で逆方向にも振れる。
  • 満期保有目的の債券の含み損は△1兆2,569億円へ1,376億円拡大。
  • 与信関係費用は836億円から1,032億円へ増加(+23.4%・算出)。
  • 会社は通期の業績予想を出さず、純利益の目標値のみを示している。

この四半期を一言でまとめるなら、金利のある世界が数字になって出てきた決算だ。貸出金利回が1.06%から1.45%へ上がり、預金に払う利率の上昇はその3分の1で済んだ。差し引きの利ざやが0.25ポイント広がり、そこに122兆円の貸出残高が掛かって資金利益が1,916億円増えた。銀行が長く待っていた構図が、そのまま損益計算書に表れている。

そのうえで、この号で見ておきたい数字は3つある。増益額の42.1%を占めた株式等関係損益と持分法投資損益、営業純益の18.1%を稼いだ市場事業本部、そして1兆2,569億円まで膨らんだ債券の含み損。1つ目は利益の持続性を、2つ目は相場への依存度を、3つ目は同じ金利上昇が資産側に与えている副作用を示している。会社が通期の目標を据え置き、上方修正に踏み込まなかった理由も、このあたりに読み取れる。

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