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明るいアパレル旗艦店の棚にたたまれた衣料品が並ぶイメージ

EARNINGS REVIEW

ファーストリテイリング

2026年8月期 通期(本決算)レビュー

証券コード 9983(東証プライム)/ 対象 2025年9月〜2026年8月(通期)/ 開示 2026年10月8日

通期決算は5期連続で過去最高の業績となりました。売上収益は3兆9,633億円と前期を16.6%上回り、 本業のもうけを示す事業利益は30.4%増の7,184億円。営業利益は初めて7,000億円を超えました。牽引役は海外ユニクロ事業で、 ユニクロは全地域で増収増益を達成。好業績を背景に、年間配当は500円から850円へ350円の大幅増配を予定しています。

売上収益

3兆9,633億円
+16.6%前期 3兆4,005億円

事業利益

7,184億円
+30.4%前期 5,511億円

営業利益

7,431億円
+31.7%前期 5,642億円

純利益 ※

5,425億円
+25.3%前期 4,330億円

※ 親会社の所有者に帰属する当期利益。基本的1株当たり当期利益 1,768.08円(前期 1,411.44円)。金額は決算短信の百万円値を億円に丸めて表示。

IFRS基準の「利益の呼び方」を押さえておく
同社は国際会計基準(IFRS)を採用しており、日本基準の「経常利益」は使いません。利益は次の順で示されます。売上収益から売上原価・販管費を引いたものが事業利益(=本業そのものの実力。同社が最重視する指標)。そこに為替差益などの「その他収益・費用」や持分法損益を加減したのが営業利益。さらに金融収益・費用(利息・為替など)を加減して税引前利益、税金を引いて残るのが当期利益で、そのうち親会社の株主に帰属する分が実質的な純利益にあたります。

01 ── PERFORMANCE

本業の利益が3割増、5期連続で過去最高益

事業利益・営業利益・純利益はいずれも大幅な増益となりました。増収率(+16.6%)を利益の伸びが上回っているのは、稼ぐ効率そのものが改善したためです。売上総利益率は前期から1.4ポイント改善して55.2%、売上高販管費比率は0.5ポイント改善して37.1%となり、事業利益率は16.2%から18.1%へ高まりました。事業利益・営業利益がともに初めて7,000億円台に乗り、税引前利益も初めて8,000億円を超えています。

主要利益の前期比較

単位:億円 / 前期(2025年8月期)と当期(2026年8月期)の通期

6,000億 4,000億 2,000億 0 5,511 5,642 4,330 +30.4% 7,184億 +31.7% 7,431億 +25.3% 5,425億 事業利益 営業利益 純利益
前期(2025年8月期) 当期(2026年8月期)
税引前利益は8,025億円(+23.4%)。純利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。事業利益=売上収益−売上原価−販管費。

02 ── DRIVERS

成長の柱は「海外ユニクロ」、欧米が初めて最大に

好業績を牽引したのは海外ユニクロ事業です。売上収益は2兆4,111億円(前期比26.2%増)、事業利益は4,398億円(同44.1%増)と大幅に伸び、すべての地域が二桁の増益となりました。注目すべきは地域構成の変化です。北米(3,649億円・+34.6%)と欧州(5,126億円・+38.7%)を合わせた欧米の売上規模が、グレーターチャイナ(7,240億円)や韓国・東南アジア地区(8,094億円)を初めて上回り、グループ成長をけん引する太い柱に育ちました。

海外ユニクロ 地域別の売上収益

単位:億円 / 2026年8月期 通期 ( )内は前期比

韓国・東南アジア・インド・豪州 8,094億 +30.7% グレーターチャイナ 7,240億 +11.3% 欧州 5,126億 +38.7% 北米 3,649億 +34.6%
地域別事業利益:欧州917億円(+69.0%)、北米679億円(+53.3%)、韓国・東南アジア地区1,683億円(+44.0%)、グレーターチャイナ1,120億円(+24.6%)。中国大陸は構造改革が進み、現地通貨ベースで売上約3%増・事業利益約18%増と再成長の手応え。

国内ユニクロも過去最高、既存店は5.1%増

国内ユニクロ事業は売上収益1兆848億円(+5.7%)、事業利益1,960億円(+8.1%)と、こちらも過去最高を更新しました。既存店売上高は5.1%増。ウルトラストレッチパンツやUVカットなどの機能性商品、バレルパンツといったトレンドを捉えた商品が販売をけん引しています。人件費比率・賃借料比率の低下で、販管費比率は0.4ポイント改善しました。

稼ぐ効率が着実に改善

売上100円あたりに本業で残る利益(事業利益率)は、前期の16.2円から当期は18.1円へ。海外ユニクロの事業利益率は全地域で上昇し、18.2%に高まりました。規模拡大とマージン改善が同時に進んでいます。

03 ── SEGMENTS

売上の約6割を海外ユニクロが占める

事業は「海外ユニクロ」「国内ユニクロ」「ジーユー」「グローバルブランド」の4区分。海外ユニクロが売上の約6割を占め、成長・利益の中心です。4事業のうち3事業が増収、全4事業が増益となりました。

セグメント別の売上構成

当期 売上収益の事業別内訳(構成比は4事業合計に対する割合)

海外ユニクロ 61% 国内 27%
海外ユニクロ 2兆4,111億(61%) 国内ユニクロ 1兆848億(27%) ジーユー 3,367億(8%) グローバルブランド 1,285億(3%)
セグメント売上収益前期比事業利益前期比利益率
海外ユニクロ2兆4,111億+26.2%4,398億+44.1%18.2%
国内ユニクロ1兆848億+5.7%1,960億+8.1%18.1%
ジーユー3,367億+1.8%315億+11.0%9.4%
グローバルブランド1,285億−2.3%28億+6.8%2.2%
利益率は事業利益率。4事業の事業利益合計は6,701億円で、連結事業利益7,184億円との差は全社費用等の調整。グローバルブランドのコントワー・デ・コトニエ等は不採算店の集約で店舗数が前期98店→当期77店に減少。

ジーユーは秋冬コレクション刷新への過渡期

ジーユーは売上3,367億円(+1.8%)、事業利益315億円(+11.0%)と増収・大幅増益。ただし第4四半期は、2026年秋冬からの新コレクションへの切り替え時期にあたり、夏物需要への対応や商品構成のバランスに課題が残って販売に苦戦しました。会社は売れ筋への品番絞り込みでオペレーションの質を高めており、今期から商品全体を刷新して「低価格とファッション」を具現化する計画です。

04 ── OUTLOOK

来期も過去最高の見込み、ただし最終益の伸びは一服

会社は2027年8月期(〜2027年8月)も過去最高の業績を見込みます。売上収益は4兆4,500億円(+12.3%)、事業利益は8,300億円(+15.5%)と、本業は引き続き二桁成長の計画です。一方で親会社帰属の当期利益は5,600億円(+3.2%)と伸びが小さく見えますが、これには理由があります。

当期実績と来期予想(利益)

単位:億円 / 当期=2026年8月期実績、来期=2027年8月期会社予想

8,000億 6,000億 4,000億 2,000億 0 7,184 7,431 5,425 +15.5% 8,300億 +11.7% 8,300億 +3.2% 5,600億 事業利益 営業利益 純利益
当期実績(2026年8月期) 来期予想(2027年8月期)

純利益が+3.2%にとどまる理由 ── 本業外の利益の一巡

本業の事業利益は+15.5%と力強い計画です。にもかかわらず最終利益の伸びが小さく見えるのは、今期に膨らんだ為替差益など「本業以外の利益」が一巡するためです。今期は金融収益・為替で税引前利益が営業利益を大きく上回りましたが、会社は来期の金融収益・費用を593億円から500億円(−15.8%)へ保守的に見込んでいます。本業の実力(事業利益)で見れば、成長の勢いは衰えていません。来期末の店舗数は国内ユニクロ782・海外ユニクロ1,752・ジーユー490・グローバルブランド521の計3,545店を計画しています。

05 ── BALANCE SHEET

財務は盤石、年間配当は850円へ大幅増配

資産合計は前期末から6,901億円増えて4兆5,494億円。自己資本にあたる親会社所有者帰属持分比率は62.6%と、前期末(58.9%)からさらに高まり、財務基盤は極めて健全です。営業活動によるキャッシュ・フローは7,885億円(前期5,806億円)と大きく積み上がり、手元現金は1兆円を超えました。年間配当は前期の500円から850円へ、350円(+70%)の大幅増配を予定しています。

親会社所有者帰属持分比率 62.6%

総資産に占める、返済不要の自己資本の割合。60%超は財務的にきわめて安定した水準です。1株当たりの自己資本も7,408円から9,274円へ増え、内部に厚く資本を蓄えながら成長投資を続けています。

年間配当 850円(前期比+350円)

中間320円+期末530円で、前期の年間500円から70%の増配。配当性向は35.4%から48.1%へ高まりました。来期はさらに年間900円(中間450+期末450)を予想。成長投資を最優先としつつ、高い株主還元を両立させています。

06 ── SUMMARY

評価と、見ておくべき論点

評価できる点

  • ユニクロが全地域で増収増益、5期連続で過去最高益。
  • 海外ユニクロが急伸(事業利益+44.1%)、欧米が初の最大の柱に。
  • 粗利率・販管費率がともに改善し収益性が向上(事業利益率18.1%)。
  • 財務は盤石(自己資本比率62.6%)、年間配当は500円→850円へ大幅増配。

留意すべき点

  • 来期の純利益予想は+3.2%と鈍化(本業外の利益の一巡)。
  • 海外比率の上昇で為替・関税・地政学の影響を受けやすい。
  • グローバルブランド事業は減収で構造改革が道半ば。

目指す方向 ── 「世界一のブランド」へ

柳井正会長兼社長は今回、「世界一になる」と改めて決意を示しました。ユニクロは米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある企業100社」に選ばれ、インターブランドの「Best Global Brands 2025」で第47位にランクイン。会社は①経営人材の育成(チーム経営・全員経営) ②海外ユニクロを柱とした質の高い出店 ③2026年秋冬から刷新するジーユーの再成長 ④LifeWearを軸にした商品づくり、に注力しています。今期の決算は、その戦略が5期連続の過去最高益という形で表れた内容といえます。

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