EARNINGS REVIEW
2027年3月期 第2四半期(中間期) 決算レビュー
証券コード 6954(東証プライム)/ 対象 2026年4月〜9月(中間期)/ 開示 2026年10月23日
全部門・全地域で伸びた、文句のつけようがない中間決算です。売上高は4,737億円と前年同期を16.2%上回り、営業・経常・純利益はいずれも35〜41%の増益。先行指標の受注高は第2四半期で前年比+49%と、過去最高級の水準まで跳ね上がりました。 会社はこの勢いを受けて通期予想を上方修正し、年間売上高は初めて1兆円を超える見込みに。けん引役は、AIデータセンタ・半導体・人型ロボットの部品加工に沸く中国とアジアの設備投資です。
売上高
営業利益
経常利益
純利益 ※
※ 親会社株主に帰属する中間純利益。1株当たり中間純利益 120.90円(前年 85.54円)。金額は決算短信の百万円値を億円に四捨五入して表示。営業利益率は24.6%(前年21.1%)。
01 ── PERFORMANCE
中間期として、主要な利益がすべて前年を大きく上回りました。地政学リスクなどで先行き不透明感はあったものの、設備投資需要は全般に堅調で、拡販・部品の安定調達・経費削減が重なって利益率を押し上げています。営業利益率は前年の21.1%から24.6%へ3.5ポイント改善しました。利益の伸びが売上(+16.2%)の伸びを上回っているのは、増えた売上の多くが利益として残る、収益性の高い中身だったことを示します。
主要利益の前年同期比較
単位:億円 / 前年中間期(2025年4月〜9月)と当中間期(2026年4月〜9月)
02 ── DRIVERS
増収の原動力は、AIデータセンタ・半導体関連・人型ロボットの部品加工に向かう旺盛な設備投資です。中国がこの流れをけん引し、日本・韓国・台湾でもAI・半導体・航空宇宙が、インドでは自動車・社会インフラ需要が好調に推移しました。米州は航空宇宙とロボットの自動化投資が堅調で、自動車関連にも上向きの兆し。これまで低調だった欧州にも、ようやく回復の兆しが見え始めています。全部門が増収となり、なかでもロボマシンは+31.2%と突出しました。上期の平均為替は1ドル159.37円・1ユーロ184.35円と前年より円安に振れ、海外売上と受取配当を下支えしています。
これから売上になる受注高は、第2四半期で3,060億円(前年同期比+49.0%・前四半期比+8.5%)と大きく伸び、当四半期の売上を上回りました。部門別ではFAが+130.1%(前年の約2.3倍)、ロボマシンが+72.3%と際立ち、地域別では中国+79.8%・アジア(中国以外)+111.9%・国内+54.3%が全体を押し上げています。受注が売上を上回る状態は手元の仕事量が積み上がっていることを意味し、下期以降の増収を後押しする材料です。
営業利益率は前年の21.1%から24.6%へと3.5ポイント改善しました。数量増による工場の稼働率向上に加え、円安、そして経費削減の取り組みが効いています。売上の伸び(+16.2%)以上に営業利益(+35.7%)が伸びたのは、固定費を売上増が上回る、製造業らしい「数量効果」が強く表れたためです。
03 ── SEGMENTS
同社は会計上は単一セグメントですが、商品群で「FA」「ロボット」「ロボマシン」「サービス」の4部門に分けて開示しています。中間期はすべての部門が前年を上回り、とりわけロボドリル・ロボショット・ロボカットが中国・インドで好調だったロボマシンが+31.2%と牽引しました。売上の最大構成はロボット(41%)で、米州・国内・中国の自動化需要を取り込んでいます。
部門別の売上構成
当中間期 売上高の内訳(部門別・構成比)
| 部門 | 売上高 | 前年比 | 主な中身 |
|---|---|---|---|
| FA | 1,199億 | +15.4% | CNC装置・サーボ。中国・インド・国内の工作機械需要が牽引 |
| ロボット | 1,943億 | +12.6% | 米州・国内の自動車/一般産業、中国の一般産業が堅調 |
| ロボマシン | 833億 | +31.2% | ロボドリル・ロボショット・ロボカットが中国・インドで好調 |
| サービス | 762億 | +12.7% | 予防保全IoT(AIサーボモニタ等)。全市場で好調 |
小型切削加工機(ロボドリル)、電動射出成形機(ロボショット)、ワイヤ放電加工機(ロボカット)のいずれもが、中国やインドでの需要増を取り込みました。金額規模ではロボット部門が最大ですが、伸び率ではロボマシンが全部門で最も高く、AI・半導体・人型ロボット向けの部品加工需要の強さを映しています。
04 ── OUTLOOK
強い足元を受けて、会社は7月末に公表した通期予想を4項目すべて上方修正しました。売上高は9,481億円→1兆137億円(前回比+6.9%)、営業利益は2,180億円→2,407億円(+10.4%)、経常利益は2,712億円→3,088億円、純利益は1,980億円→2,283億円(+15.3%)。年間売上高は、過去最高だった前期(8,578億円)を大きく上回り、初めて1兆円を超える見込みです。前期比では売上+18.2%・営業+31.0%・純利益+37.1%と、通期でも大幅増益を計画しています。
| 通期予想 | 前回(7月末) | 今回修正 | 修正額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 9,481億 | 10,137億 | +656億 |
| 営業利益 | 2,180億 | 2,407億 | +227億 |
| 経常利益 | 2,712億 | 3,088億 | +376億 |
| 純利益 | 1,980億 | 2,283億 | +303億 |
通期予想に対する中間期の進捗率
点線 = 半年経過=1年の2分の1(50%)の目安ライン
中間期の進捗率は売上46.7%・各利益48〜49%で、いずれも50%の目安をわずかに下回ります。これは下期の為替前提を1ドル150円・1ユーロ175円と、上期の実績(159円・184円)より円高(保守的)に置いているためで、下期をやや慎重に見積もった結果です。足元の受注の強さがそのまま続けば、通期予想には上振れの余地があります。注目点は、過去最高級の受注がどのタイミングで売上・利益に転換していくかです。
05 ── BALANCE SHEET
総資産は前期末から440億円増えて2兆1,347億円。自己資本にあたる自己資本比率は88.7%と、前期末(89.2%)から小幅に下がったものの、製造業として突出して高い水準を保っています。手元資金(現金及び現金同等物)は5,512億円で、自己株式の取得などにより前期末比639億円の減少。本業で稼ぐ営業キャッシュ・フローは1,559億円の収入(前年同期比+279億円)と増加しました。株主還元も厚く、中間配当を前年の51.33円から72.54円へ増配。さらに決算と同時に、上限1,000万株・500億円の自己株式取得を決議しています。
総資産に占める、返済不要の自己資本の割合。借入にほとんど頼らない無借金経営に近い体質で、88%台は製造業では極めて高い水準です。純資産合計は1兆9,120億円(前期末比+291億円)に積み上がっています。
業績拡大を受けて中間配当を大きく引き上げました。期末配当は「公表が可能になった時点で速やかに開示」とし未定。加えて、資本政策の柔軟性確保を目的に、2026年10月26日〜2027年4月30日に上限500億円の自己株式取得(発行済株式の約1.08%)を行います。
06 ── SUMMARY
今回の決算は、売上・利益・受注・通期見通し・株主還元のすべてが上を向いた、死角の少ない内容でした。特に注目したいのが受注高です。第2四半期の受注は売上を上回る水準まで伸び、FA部門は前年の2.3倍。これはAIデータセンタや半導体、人型ロボットの部品加工に向かう設備投資の強さを映しています。一方で、設備投資はもともと波が大きく、好調の中心が中国・アジアの特定分野に偏っている点は意識しておきたいところです。会社が下期の為替を保守的に置いていることもあり、受注の勢いがそのまま続けば通期は上振れ、投資の一巡や円高が重なれば伸びは鈍る——その分かれ目を、次の四半期の受注動向で確認していくのが読みどころです。